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真理は話をはじめる

「私の生まれ育った町は、香川県にある小さな町で。

私が小学5年生のころ6つの町が合併して市になりました。

人口も少ない町だったのですが、実は入ってはいけないって言われている山があったんです。」


 近藤は、真理を背中に湯のみにお茶を注いでいたが、その手を止めて真理へと振り返る。


「入ってはいけない山?」


「はい。言い伝えみたいなものなんですけど、

おおはし様が棲む山って呼ばれていました。」


 近藤は、お茶を注ぐのを再開して「おおはし様ね」と小さな声でつぶやいた。


「おおはし様の山に入ったら神隠しにあうって言われてました」


 近藤は、お茶を真理の前にだし自分もソファに腰掛ける。


「どうぞ。・・・それは、どんな風に言い伝えられてたの?ただ、神隠しにあうってだけ?」


「いえ、、、おおはし様はすべてを見ておる。

そこに足を踏み込んだら最後現の世にはもどれないであろう?

そういう風に言い伝えられてたと思います。」


 真理は、少し不安そうに話した。近藤は、お茶をすすりながら


「あつっ。」

近藤は湯呑を勢いよくテーブルに置いた。


「熱いから気を付けて。ごめんね。話のこしをおってしまって」


「いえ」

 真理は、お茶に手をのばし湯呑を持つ。


「おおはし様は人なのかな?」


「いえ。それも全く分かりません。私自身記憶があいまいで…」


「記憶があいまい?」

 真理は、湯呑を持ったまま


「はい。中学2年生のとき家族全員で東京に引っ越したんです」


「引っ越しをした?それなら、おおはし様なんてどうだって」


「そうなんです」

 真理は強い口調で近藤に食って掛かる。近藤は、驚いて目を見開いた。


「忘れてたんです。あんな町。でも、これが届いて。」

 真理は、そう言って体の横に置いていたカバンから一通の白い封筒を取り出した。


「それは?」

 近藤は、手紙を食い入るように見つめる。

真っ白の封筒には切手も宛名も何も書いていないように見えた。


「1週間ほど前です。一人暮らしをしている家のポストに入ってました。差出人も何も書いてない白い封筒で最初はいたずらかと思ったんです。」


 そういって、真理は近藤に封筒を手渡す。

近藤は封筒を受け取ると封筒をまじまじと確認する。

封筒は、結婚式への案内状のような形式をとっていた。

ただ宛名に差出人がない、真っ白な状態なのだ。


「これ開けてもいいのか?」

真理は、近藤の目を見て頷いた。

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