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近藤昭雄

 近藤昭雄は、通帳を見ながら深いため息を吐いた。現在の通帳残高は、370,502。

一十百千万。指さしながらもう一度確認する。何度数えても37万502円だった。


 近藤は、もう一度溜息をはいて窓から外へと目を向けた。


 窓の外には、石畳の歩道に銀杏の木が5メートル間隔で植えられていて多くの人が行きかっている。

歩道の真ん中には2車線の車道に車が途切れることなく走っている。

近藤は、行きかう人や車を見ながら「こんなに人はいるのにな。」と小さくつぶやいた。


 近藤は探偵事務所をやっていた。

事務所は、東京23区ではないが東京都にあり、築32年。5階建て2階。家賃は月13万円。

光熱費などを考えると、来月には立ちいかなくなりそうだった。


 近藤が、探偵事務所を立ち上げたのは1年前にさかのぼる。

1年前までは、明光大学で講師として民族学の教鞭をとりながら研究に明け暮れていた。

明光大学では、教授が年齢のため退任。准教授が教授へと選ばれ准教授の椅子が空いた。

近藤は、チャンスだと思っていたが……


 ライバルであり同級生の河野真紀と争うことになったのだった。


 そして、近藤は負けた。


 あの女のことを考えると近藤は嫉妬と憎しみで支配されていく自分を感じた。大学で顔を合わせるのも嫌になり、大学を去ることにしたのだった。


 そして次に選んだ仕事が探偵だった。

 

 なぜ探偵かって?


近藤は自分の好きな伝承や神話についてお金をもらって調べれると安直な考えから始めたのだった。

大学の講師の仕事で貯めた180万円で


『神話・伝承・もろもろ解決いたします 近藤探偵事務所』


を立ち上げた。


 まあ、近藤自身も薄々分かっていたと思うが神話・伝承と謳っているが依頼は来たことがない。

むしろ、もろもろの部分で不倫調査や猫探し、なんでも屋として機能しているの事務所である。


 近藤が、外を眺め続けていると某コンビニのチャイムがなった。


ちゃららららら~ちゃらららら~


 近藤は、バッと勢いよく振り返ってドアを見た。



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