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フゥの結末


 俺の狭い部屋はエルフ達が大勢押し掛け、ベッドの上の俺とラィは周りを囲まれていた。


 「フゥ!早く風神の服に着替えろ!」


 ラィの叫びに俺はビクッとして空っぽになっていた頭をフル回転させ始めた。


 『何ボーッとしてたんだ!』


 俺はベルトに魔力を込めるといつもの白い耳付きフードの服に着替える。

 そして左の腕輪に魔力を込め盾を出して構えていつでも魔法を放てるように準備して周りを警戒した。


 

 「こんな所で魔神二人と戦う事になるとはこれは好機と言って良いでしょう!

 不完全な魔神なのですからね!」


 ヒラネスが鏡のような魔法道具を構えてラィに体当たりして来た。


 ラィはそれを飛んで躱すと雷の刃を部屋中に撃ち出す。


 ヒラネスは魔法道具の鏡で反射させラィに反撃していたが、他のエルフ達は刃を躱すのに精一杯で直撃した者は黒焦げになっていく。


 

 ラィの攻撃は激しさを増しエルフ達は部屋から出て態勢を整え始める。


 

 部屋では魔法道具を構えるヒラネスとそこに次々に魔法を撃ち込むラィの攻防が続いていたが、俺はベッドから離れて部屋の隅で盾を構えて見ている事しか出来ないでいた。



 「無駄ですよ。そんな不完全な姿ではね」


 ヒラネスはまだ余裕があるようだがラィはどんどんと魔力を消費している。


 「フゥ!ソイツの後ろから攻撃してくれ!」


 ラィが俺に叫ぶ。


 俺は咄嗟にヒラネスの背中に向けて風の刃を放つ。

 ヒラネスはラィの降り注ぐ雷の刃を防ぐ事で精一杯で俺の放った魔法を背中に受けて大きな傷を作る。


 「グハッ」


 ヒラネスは口から血を吐き出し背中からも大量の血を流していた。


 その時エルフ達が態勢を整え部屋に突入して来る。


 数人がラィの雷の刃と俺の風の刃を受けたが、銀色のマントのような物でそれを軽減し数の力で押し込んで制圧しようと迫る。


 一人がケレリスに回復魔法を掛けて他のエルフに俺は囲まれる。


 ラィは空中を飛び回り雷の刃を放つが銀色のマントの効果で致命傷を防ぎ圧倒的人数で交代と回復をし続けるエルフ達を突破する事は出来ないでいた。


 ラィの魔法で宿の俺の部屋は壊れていき壁も屋根も無くなってしまっていた。



 ラィはこのままではいずれ魔力が尽きてしまうと判断したのか、高く飛んで四本の腕を合わせると魔力を圧縮して大魔法を放つ。


 ラィから放たれた雷の渦は周りに光りの洪水を起こし全員の視界を奪う。


 それはラィも例外では無く視界を奪っていた。


 ラィの放った魔法の渦をヒラネスは魔法道具で受け止めて跳ね返す。

 しかし魔法の威力は大きくヒラネスの隣で回復魔法掛けていたエルフを蒸発させてしまう。

 ヒラネスも魔法道具を持つ腕を無くし魔法道具も消し飛んだ。

 そしてラィの魔法の半分を反射させ雷の渦がラィを空の彼方に吹き飛ばした。



 部屋は見る影もない状態になりエルフ達は動けなくなっていた。


 俺は部屋でただ一人盾とこの服のお陰で背中を倒れてきた壁の破片で打撲をしただけてすんだ。

 俺は袋から短槍を出すと倒れるエルフ達の間を抜け隣の部屋に向かった。


 

 そこには数人のエルフが銀色のマントで魔法の効果から避けて俺の部屋以外に被害を出さないように魔法道具を使っていた。


 俺は魔法道具から発せられる無効化魔法で盾が消え服も寝間着代わりの竜人族の服に替わるが、手にした短槍で魔法道具を壊しホチネ達の部屋を開かないようにしていた土魔法の壁とそれを保っていた銀色の布のような物を壊して扉を開ける。


 魔法道具を守っていたエルフは剣を構え俺を囲もうとしていたが俺の、

 「早く隣の部屋で倒れてる仲間に回復魔法を掛けないと死んでしまうぞ!」

 その言葉で隣の部屋に急ぐ。



 扉を塞ぐ物が消えた事でホチネ達も部屋を出て来て俺の部屋の惨状に驚きの声を発した。


 「音を聞いていただけてどんな事になっているかと思ったが、想像以上だね。

 この修繕費はエルフ達に払って貰えるよね?」


 ホチネはケレリスに言うと、

 

 「そうだろうね」


 ケレリスも苦笑いを浮かべた。



 「あたし宿の他の人に被害が無かったか確認して来るよ。

 宿の人にも説明しないとだしね!」


 「私は冒険者ギルドに行って来る。

 エルフ達に都合の良い事を言われる前にこちらの主張を伝えておかないとね!」



 ホチネとケレリスがそれぞれ部屋を出て行くとツラナと二人椅子に座り一息吐く事にした。


 「大変でしたね。

 ボクは音だけしか聞こえませんでしたが魔法神様の戦いは凄かったですか?」


 「ラィの最後の魔法は使っちゃダメなヤツだわ。

 それを半分でも反射したエルフの魔法道具も反則モノだったね。

 それとこの部屋を守ってた魔法道具もね」


 俺とツラナは破壊されて穴だらけの床で倒れているエルフ達を見た。



 ラィの最後の魔法を直接受けたヒラネスは片腕を無くし気を失っていたが回復魔法により命は助かったようで、意識を取り戻して叫び声を上げた。

 

 「アー!魔神がー!半端にしか封印が解けて無かったのに!」


 無事な方の手に持った剣を床に何度も叩き付けて悔しがっていたが、そんなヒラネスと俺は目が合ってしまう。


 「クソ!お前のせいだ!」


 ヒラネスは持っていた剣を隣の部屋から俺に投げ付けて来た。


 俺咄嗟の事に動けないでいると魔法石が光り盾が現れて剣を弾き飛ばす。


 「トトトトト、ドス!」


 ヒラネスの悪足掻きを凌いだ俺が立ち上がると背中に痛みが走った。


 「返すのよ!ワシの神の手様を返すのよ!」


 そこには銀色の粉を付けたナイフを持った血塗れのゴキムロンが立っていた。


 「ゴキムロン?」


 俺はその言葉しか言えずに口から血を吐いた。


 

 俺は駆け寄るツラナと走り去るゴキムロンをスローモーションを見ているように目で追っていたが頭の中は全然違う事を考えていた。



 『ツラナの結婚の為の宝石、預かったままだったな。

 このまま俺が死んだら宝石は袋から出せ無くなるのかな?

 それはかわいそうだな』


 俺はなぜかそんな事を思い袋から預かっていたツラナの宝石を出してツラナの手に乗せて笑った。


 「大切にしろよ」







 「フゥ君?フゥ君。フゥ君!」


 叫んだツラナの手には俺から返された宝石と俺の腰にいつも着けていた神の袋が残った。




 


 その日この世界から『フゥ』は姿を消した。

 

 大量の血溜まりとツラナの手に残った神の袋を残して。



 

 


 ここで三章は終わります。

 皆さんの期待や予想した結末にはならなかったかもしれません。

 フゥの冒険は終わりです。


 続けて三章を投稿したかったのですが、ストックが無くなりました。

 プライベートな事で書けませんでした。

 それと文章的に大きな間違いがある事が分かりその修正と改めて自分作品を読み直して加筆修正をしたいと思いました。

 いつも読んでくれていた皆さんすいません。


 なので三章は書けしだい、いつもの時間に投稿予約をしようと思います。

 

 と、言う訳でブックマークと評価ボタンをポチッとしてくれると嬉しいです。


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