シイバからの連絡
ゴキムロンの話しは聞き流し俺達はヒラネス達がゴキムロンを連れて行こうとしている理由を調べるようにジュンケンに頼んだ。
ジュンケンがエルフの長老達との会議が突然解散になった事とゴキムロンの事を調べると言い残し部屋を出て行って数時間が経っていた。
その間ジッと部屋で大人しくしていた俺達のお腹も減ってきていた。
「いつまで待つのよ?」
「本当!ずっとほったらかしじゃない!」
ゴキムロンとホチネの我慢の限界は近そうだ。
「ん?」
ホチネが突然首から下げた魔法石を取り出した。
「うん、うん、うん。分かった。待ってる。うん」
ホチネは魔法石を服の中に戻すと俺の方を向いた。
「シイバから。
ラィが聖域に帰って来てこれからこの町に向かうって」
「ラィが来るの?
いつ頃着きそう?」
「どうかな?飛んで来るだろうから何カ月とかは掛からないと思うけどね」
「それまでこの町で待てって事?」
「そうだね」
「それじゃエルフの森には行けないね」
「ああまあ、そうなるね」
ホチネの言葉にケレリスが口を挟んだ。
「ちょっと待て。
そうなるとフゥ君をエルフの森に連れて行く話しはなくなってしまうな」
俺は頷くとみんなを見回した。
「これから俺はこの町でラィを待つ事になる。
なのでツラナとケレリスはこの後どうするつもりか聞いておきたい」
ツラナは一度ケレリスの方を見ると、
「ボクはフゥ君とパーティーを続けたいと思っています」
ケレリスは頷くと、
「そうだな。ツラナはその方がいいと思う。
……私は一度エルフの森に帰ろうと思う」
ケレリスは決心したように小さく答えた。
「ワシはどうしたらいいのよ?」
ゴキムロンが寂しそうに俺達を見る。
「ゴキムロンは……エルフの森にいきたいのか?」
俺はそう聞いた。
「分からないよ?自分でも分からないよ。
エルフには怖い人もいるよ。
この鞄を持っていた人はワシに『神の手様』の在処を聞きたいだけだと思うよ」
ゴキムロンはヒラネスから奪った鞄を抱えてそう話した。
それにケレリスが頷くと、
「そうだろうね。ヒラネスがこの町に来た理由はゴキムロンが狙いだったようだね。
そしてゴキムロンから神の手様の事を聞き出す為にはこれからも何をして来るか分からない。
ところでゴキムロン?その神の手様は体から外す事は出来るのか?」
「無理よ!そんな事したらワシは死んでしまうよ!」
「そうか。それでゴキムロンが死んだら?神の手様はどうなる?」
「ワシが死んだら?
ワシは死にたくないよ!」
ゴキムロンはケレリスから少し距離を取って俺の後ろに隠れるように移動した。
「いやいやゴキムロン、もしもの話しだよ、もしも。
もしも死んだらその神の手様はどうなるのかそれが知りたいだけ。
私がゴキムロンを殺したりなんてしないからそんなに怯えた目で見ないでよ!」
「本当なのよ?」
ゴキムロンは俺の後ろからケレリスを見る。
「本当だ。大体私はその神の手様が欲しいとは思っていない。
神の手様の噂が一人歩きしていろんな伝説があるが、ゴキムロンから聞いた限り大した能力でも無さそうだからね」
「そんな事ないよ!
神の手様は凄い力があるのよ!
これさえあれば落ちている物を拾い損ねる事もないのよ!
こんな凄い力は他にないのよ!」
「ああそうだな」
ゴキムロンの説明をケレリスは呆れたように肯定した。
「それでゴキムロンが死んだらその手はどうなる?」
俺はゴキムロンの方を見た。
「消えるよ。
ワシが死んだらこの手は消える。
この手が盗られたらワシが死ぬ、だから手も消える。
それが伝えられた話しよ。実際に見た事はないけどよ」
「それで消えた神の手様はどこに行く?」
ケレリスは更に話しを続ける。
「消えたら?ワシの子孫の誰かに受け継がれるよ。
それが次に生まれる子供の誰なのかは分からないけどよ。
これはゴブリン族の長老の秘密だから絶対に誰にも言っては行けないのよ!
だからみんなも秘密にするのよ!」
『秘密な割にいろいろ話してくれたな。』
その時ゴキムロンの服の下の神の手様が光り、その光りがみんなたがの頭に吸い込まれた。
「何だ!」
俺だけは自分の頭に違和感を感じたが服に着いているフードによって光りを弾く。
「今の光りは何だ!」
ケレリスはゴキムロンに詰め寄る。
「大丈夫、大丈夫。
神の手様が秘密と判断した記憶が盗まれるだけなのよ。
他に異常は起こさないよ。
安心するのよ!」
ゴキムロンがそう言うと俺以外のホチネ、ケレリス、ツラナはその場で気を失ったように眠った。
「?……フゥは寝ない?」
ゴキムロンは俺を不思議そうに見詰める。
「そうだな。この服で神の手様の力が弾かれたんだろうな」
「そうなのよ?
どうするよ?
秘密が消せないと困るよ?
忘れて欲しいよ?」
『これはどうしたらいいの?』
そんな事を思っていると俺の魔法石から光りが飛びゴキムロンの頭に吸い込まれる。
パタンと椅子の背もたれに倒れ込むようにゴキムロンは眠ってしまった。




