フゥ、魔法と武器の練習をする
俺は袋の中身を全て装備した。
やはりベルトも外すことが出来ない。
『一度装備すると外れない』
がっかりする言葉が流れる。
神の服をベルトに戻すといつもの竜人族の服になる。
『一瞬で着替えられるのね!』
全てを装備した俺は残った袋を手にする。
『この袋の情報もみたいな?』
『神の袋
無限に物を入れられる
生きている物は入れられない
フゥ専用
破壊、譲渡不可』
『ベルトにでも付けておくかな』
と腰のベルトに付ける。
『フゥ、神の袋を装備した!』
いつもの言葉と使い方が頭に流れる。
『これも装備品なのね。
これも外せないよね?』
ベルトから外すと外せた。
『…?これは外せるのか?』
『手に持っただけです。
装備からは外れていません。
このアイテムも一度装備すると外れない。フフ』
魔法石に遊ばれている気がして精神的にドッと疲れが押し寄せてくる。
『チートアイテムかもしれないけどしばらくは魔法石に関わりたくない!』
『…………………………』
俺は残りの朝食を食べると食器を持ち部屋を出て中央ホールの食堂に向かう。
食堂にはラミネとシイバそして俺のもう一人の世話係ホチネが待っていた。
三人は俺に気付くとラミネが声を掛けて来た。
「食器を片づけたらこっちに来て、話しがあるから」
食器を片づけ三人の待つテーブルに向かうと他に二人の竜人が待っていた。
一人は数日前に見かけた赤い竜人でもう一人は見たことのない黄色い竜人だ。
俺がラミネの隣の空いている席に座る。
「紹介しておくわね。
こちらが火の聖域から研修に来ているガーネ」
ラミネに紹介されると赤い竜人が頭を下げる。
「よろしく」
「その隣の土の聖域から研修に来ているトンバ」
もう一人の黄色い竜人も挨拶をした。
「よろしくな!」
「ガーネはあなたやタケバと同じ歳で研修一年目。
トンバは一つ上で研修二年目。
フゥはこれからガーネには火魔法と弓をトンバには土魔法と剣を教えて貰うことになりました」
「よろしくお願いします」
俺は二人に頭を下げた。
ラミネは続けて
「そして水魔法はシイバが槍をわたしが教えます」
それぞれの紹介が終わるとガーネとトンバは西区に戻って行った。
残った三人は俺をジッと見る。
「それで?その腕輪とベルトが袋に入っていたものか?」
シイバが聞いて来た。
「うん。そう」
上の両手を前に出す。
「近くで見たいから外して見せてくれ」
「無理!一度装備すると外せないし破壊と譲渡不可のある意味呪われた装備みたいなものだから」
ふぅーとため息を付く。
「呪われた?」
シイバとホチネは腹を抱えて笑い出しラミネは肩を震わし必死に笑いをこらえていた。
みんなの笑いが落ち着いてホチネが、
「明日からしばらくはあたしがフゥの基礎体力作りを担当するから。
魔法は体力も使うから魔力を使い切っても余裕でいられるように鍛えてあげるよ!」
「体力作りって?具体的に何するの?」
俺は怖い予感を感じて聞いてみる。
「そりゃもちろん走り込みさ!」
ホチネは満面の笑みで答えた。
ラミネとシイバは苦笑いを浮かべている。
『脳筋の考えのことはどこでも一緒か?』
俺は肩を落とした。
月の色が青から赤に代わりもうすぐ白に代わる。
しばらくは俺と竜人族の種族差を感じて焦りの気持ちと前世との時間の流れの違いに戸惑う気持ちがあった。
しかしこの半年で俺の体は大きく成長してる。
午前中はホチネによるほぼ毎日の走り込み。
午後からはシイバの水魔法の授業。
ラミネの槍の授業。
ホチネの筋トレ。
一日休みを繰り返した。
寝る前の魔力強化は欠かさず毎日していたので魔力の総量もだいぶ増えた。
たまにガーネとトンバが火と土魔法の授業をシイバの授業の時にしてくれた。
基本は同じなのでそれほど難しいことは無いが火魔法の攻撃力と土魔法の防御力は注意が必要だった。
ラミネの槍の授業は体の大きさに合わせた短い槍で練習した。
ガーネの弓とトンバの剣の授業もラミネに見守られながら少しずつ始めていた。
ただ魔法に比べてこちらの上達は遅くあまり向いていないかもしれない。
そして月が白に代わって授業がその年に生まれた水竜人の女の子ミユネと一緒になる。
魔法は早く始めていた分俺の方が上手い。
だが槍はミユネにすぐに追い越されていた。
『これは前世の怠惰な生活の呪いか?』
その日もミユネに槍の授業で軽くあしらわれて落ち込むんでいた。
「フゥは槍が向いて無いんだよ。
他の武器を練習した方がいいんじゃないかな?」
年下のミユネにそうアドバイスされる。
「そうなんだけど弓も剣もダメだったんだよね。ハハハ」
俺は頭を掻いた。
「そうか。でもフゥは魔法が得意だからね!ハハ」
年下のミユネにフォローされた。
そんなある日。
フゥの世話係の三人は今後の事を水龍神に相談しに来ていた。
「水龍神様。フゥは魔法に関しては器用ですが武器を使った訓練はあまり得意ではないように思います。
このまま魔法を中心に教えた方がいいのでしょうか?」
代表してラミネが質問する。
「そうだな。アイツには盾が向いているからな。
他の武器はあまり使い熟せないかもな?」
「水龍神様?盾ですか?
そんな話し初耳なのですが?」
「そうか?アイツの持っているアイテムの中に盾が入っていたはずだぞ?」
水龍神は首を傾げる。
「「「えぇ!」」」
三人は声を揃えて驚く。
「そういえばオレ達フゥの袋に入っていたものの確認あまりしてないよな。
外せなくなったって聞いて呪いのアイテムかって笑って終わってた!」
シイバが焦りを見せた。
「水龍神様!
あたし達がフゥの事で知って措かなければならない事は他にも有りますか?」
ホチネがおそるおそる聞く。
「アイツの種族などの詳しい事は話せない。
今アイツの持っているアイテムは特別な盾と服と魔法石と袋。
あと得意な魔法属性は風。
教えられるのはそのくらいだな」
「風魔法…」
シイバは小さく呟く。
「風…」
ラミネも小さく呟き考え込む。
「水龍神様!大事な情報はもう少し早くしてくださいよ!
武器が盾なんて聞いたとないですよ!」
ホチネが呟く。
「すまん」
水龍神の声が響いた。
三人が部屋を後にして水龍神は一人になる。
『オマエのせいで私への信頼が下がるじゃないか!』
黒猫が次に来た時は怒りをぶつけようと思っていた。




