ホチネの想い
『また本題から話しが逸れた!
でもこの世界はまだ俺の知らない事が多いな。
前の世界の常識から変な事を言って回りに不信がられ無いようにしないと』
「それで?ツラナの欲しがってる宝石はどうやって手に入れる?」
「そうですよ。町で買うとなるととても払える金額じゃ無いです。
どうにかして自分で掘れませんか?
ホチネは自分で採ったのでしょ!」
「自分で採ったけど土竜人の許可が無いと入れない場所だからね。
ツラナやフゥを連れて行けないよ。
それに本来この宝石は竜人族の物で勝手に売り買いしてはダメな物なの。
それをエルフが掘り出して!」
ホチネは怒りを込めた目でケレリスの方を睨む。
少し離れた席でお茶を飲んでいたケレリスは、
「私に言われても……昔のエルフがやった事だから…………それにその事が無ければ今のような町に暮らせていないだろ?
もっと魔物の被害が多くて食べ物も少なくてきっと人口もずっとずっと少なかったはずだよ?」
ケレリスは睨むホチネにそう言い返した。
「そうだけどそれは結果論でしょ!
エルフが盗んだ物で今の世界の人々の暮らしが成り立ってるからって盗みが許される訳じゃ無いでしょ!」
「盗んだって言うけど竜人族の物だと知らなかったとは考え無いの?
まあいいや!この話しは止めよう!
こんなふうにして竜人族と戦争になったのだから」
「何でそんな事が分かる?」
「エルフと竜人族のそれぞれの歴史の資料を読んだからだよ。
確かに最初はエルフが土竜人族の土地からその宝石を掘り出して盗んだ事だったよ」
「でしょ!盗んだんじゃない!」
「そうだけどその後話し合いでエルフが掘る量を決めたの。
ただエルフはあまりその仕事に向いていなくて雷神の国から人を連れて来て掘らせたの。
オーガが基礎的な穴を堀り、ドワーフが宝石を採掘して、ゴブリンが運び、黒魔道士が鑑定して選別する。
それをエルフが受け取って雷神の国とエルフの国に一カ所ずつ大きな町を造っていった。
ただここで問題になったのはゴブリンが途中で宝石を横流ししていた事なの。
それを知らないエルフと竜人族はお互いに盗んだ盗んで無いと争って遂に戦争になったのよ。
雷神の国の人々は町を造ってくれたエルフに味方をして風神の国の人々はどっちにも付かなかた。
戦争は数の多いエルフ側の勝利で終わりエルフは土竜人の土地に新しい町を造った。
それが今のエルフの森よ。
そしてエルフは……………」
『ああ、またケレリスの長い話しが…………。
今回の話しは始めて聞く歴史だね。
歴史が苦手な俺的には辛い時間が続く………』
「あの教授。話しの途中に済みませんがボクが欲しい宝石は町を造れる魔力を持った物では無くて普通の綺麗な透明な物ですよ」
また脱線した話しをツラナが止めた。
「エッ!ツラナが欲しいのは透明な方の石なの!
あたしは新居を造るのに使う宝石だと思ってたよ。
それならこれあげる」
ケレリスの話しに不満そうな顔をしていたホチネはツラナの言葉でバックから小さな小袋を出すとその中から綺麗な石をテーブルに並べて行く。
「凄い!」
ツラナの前にはズラリと八個の石が並べられた。
「どれでもいいよ。好きなの選んで?」
ツラナは並べられた石を真剣に見て選んで行く。
しばらく悩んでツラナは一つの石を手に取った。
「あの……これにします!
この石を譲ってください。お金はキチンと払います!」
「ウン分かった。でもお金はいらないよ?」
「イイエ、結婚する時に贈る物なので貰い物では無くお金を払って買いたです!」
「そうだね!ウンその方がいいね!
それじゃぁ金貨五百枚!」
「五百枚ですか。分割でお願いします」
「分かった。それじゃこの石は売約済」
ホチネはツラナの選んだ石を『ツラナ売約済』と書いた小袋に入れると俺に渡して来た。
「俺?」
「そうだよ。ツラナがお金を払い終わったら渡してあげて、あたしに何かあって聖域に連れ戻されたらツラナの結婚の時に石を渡せ無くなるから」
「どう言う事?」
「もしかしたら……あたしもエルフの森に行く事になるでしょ?
そしたらきっと聖域に連れ戻されるから」
「何で?
何でそんな事になるの?」
「竜人族とエルフが戦争になってからエルフの森に竜人族が入った事が無いからよ。
きっと中で聞いたり見たりした事を報告させる為に聖域への帰還命令が出されるわ」
「それならホチネはエルフの森に行かない方がいいんじゃ無いの?」
「いいえ、逆よ!
エルフの森に行ってそこで見たり聞いたりした事を伝えて、それによって竜人族とエルフがまた戦争の前のような交流を持てる関係に近付ける手助けになれるかもしれないでしょ?
あたしとケレリスが旅を出来たんだもん仲良くとはいかないけど話し合いが出来る関係くらいにはなれるかもしれないでしょ!」
『ホチネもいろいろ考えてるんだな』




