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ツラナ、冒険者登録する


 俺とホチネとツラナの三人は朝早く起きて軽い朝食を食べる為に食堂に降りて行く。

 給仕係は俺達を見ると笑顔でメニューを持って来たが予想していた大量の注文では無かった為か寂しそうな顔でテーブルを離れて行った。


 「あの、この後ゴブリンの爺さんが来ると思うのでその時はよろしくお願いします」


 俺は給仕係の後ろ姿にそう声を掛けた。

 その言葉に給仕係の足取りは軽くなったみたいに笑顔で振り返るとキッチンへと向かって行った。


 

 

 朝食を食べ終わった俺はツラナの登録が終わり次第狩りに行けるように準備してツラナとホチネの帰りを部屋で待っていた。

 準備と言っても服はいつものに着替えてあるし短槍を袋から出すだけだ。


 部屋の共用部分で短槍を構えてポーズをとっていた時、ゴキムロンが自室から出て来て目があった。


 「……ゴキムロン、おはよう。

 宿の食堂に行くなら魔法石に入れた宿の鍵を見せればいくら食べても良いからね。

 どうせエルフの支払いだから」


 「分かったのよ。今から行って来るのよ!」


 ゴキムロンは俺の短槍を構えたポーズには触れず食堂へと走って行った。



 そのやり取りの直ぐ後、ケレリスも眠そうな目をこすりながら自室から出て来る。


 「おはよう、ケレリス。眠そうだね」


 「おはよう、夜更かししてしまった」


 「そう……ツラナに聞いたけど漁業の町でも調べ物をしてたって?

 最近、よく眠れてる?

 馬車で移動してた時もたまに夜起き出して何かしてたでしょ」


 「まあね。寝不足気味だけど平気。

 漁業の町はエルフが混血の実験の為に最初に造った町の一つなの。

 だからその資料を探していたからね」


 「その資料は見つかったの?」


 「新たな発見は無かったよ」


 「新たな発見はってなんか含みがありそうだね。

 どうせ秘密なんだろうけど」


 「そうだな。まだ話せないな」


 「それじゃさ!俺達と一緒に魔物狩りにいかない?

 ツラナが今、冒険者登録申請しに行ってるからケレリスは前に冒険者だったんだよね?

 それなら冒険者ギルドに登録はしていたんでしょ。

 今から狩りの申請手続きして来れば一緒に行けるよ?」


 「うーん、私は止めておくかな。

 私は直接の物理攻撃があまり得意ではないし魔法もどちらかと言えば補助系が得意でフゥ君達の足手まといになりそうだから。

 ツラナと私の二人を気にしながらの魔物狩りは迷惑を掛けそうだ。

 それならツラナを怪我させないように気に掛けてくれた方が私的には良い」


 「そうか?ケレリスが旅の間魔法使ってるところ見たけどそんなに悪く無かったと思ってたけどな?

 冒険者ランクは何なの?」


 「………Aランクだ」


 「Aランク!凄いよ!それなら一緒に行こうよ!」


 「アー!ダメなんだ!

 私がパーティーに入るとランクが一番上の私がリーダーになってしまう。

 私はパーティーのリーダーは絶対にしたく無い!」


 「…そう…なんか嫌な事があったみたいだね?

 ごめん。無理強いしてたみたいで」


 「いやいい。昔の事だ。

 ちょっとしたトラブルがあっただけだから」



 『ちょっとしたトラブルじゃ無いよね?

 ホチネ、ツラナ、早く帰って来て!』


 俺はいたたまれない空気を感じて早く二人が来るのを祈った。





 ツラナの登録は受理に時間が掛かり二人が戻って来たのはお昼が近くなった頃だった。


 「モー!大変だった!」


 ホチネは疲れた顔で帰って来て椅子で一休みしている。


 「何に時間が掛かったの?」


 「冒険者登録は直ぐに終わったけどあたしとフゥのパーティーに入るって申請したら、ツラナは冒険者登録したばかりでまだランクがFだから近接攻撃が無いとか魔法も補助系だとかランク上げの不正の可能性があるとか何とか言われて!

 『申請するならパーティーリーダーを連れて来い』って言うのよ!

 『周りにエルフが沢山いるのにフゥを連れて来れる訳ないでしょ!』って切れてきたわ!」


 「ああ、それは大変だったね。

 それで登録出来なかったの?」


 「登録は出来た。

 ギルド長が騒を聞いて出て来て許可してくれた」


 「そうなんだ。良かった。

 それで今日は狩りに行けそう?」


 「行くに決まってるでしょ!

 このイライラを魔物狩りにぶつけるんだから!」


 「そう、それじゃ準備出来てるから行こうか?」


 「よし!行こう!」


 ホチネは水魔法使って水を飲むとなぜか申し訳無さそうにしているツラナに自分の腰に着けていた護身用のナイフを渡して自室に槍を取りに行った。



 「ツラナも大変だったね」


 俺の言葉に、

 「いえ、ボクは何もホチネさんが全部話しをまとめてくれたので」

 

 ツラナはホチネとギルドの受付とのやり取りを少し離れた場所から見ている事しか出来なかったようだ。



 『ホチネは意外と熱くなり易いからな。

 正義感とかは強いけど基本的に脳筋だからな』



 そんな事を思っていると後ろからなぜか凄い殺気を感じて急いで町の外へ続く門に向かった。


 


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