表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生き返る為に、異世界の神?様のお使いに行きます  作者: りづ
序章 転生したら?だった
6/537

初めての魔法


 あれから数日。


 シイバに言われたとおり魔力を高める訓練をしながら過ごしている。

 

 ラミネも次の日にはいつも通りの笑顔を見せてくれた。


『元気そうで良かった』




 そんな日が二十日過ぎて久しぶりにシイバが俺の部屋にやって来る。


「どうだ?毎日訓練してるか」


「してたよ」

 

「そうか。それじゃ今日は訓練場に行って水を出す練習してみるか?」

 

「オォ!やっと魔法らしくなる!

 基礎訓練飽きてきたんだよね」

 

 俺はワクワクしながら二人で訓練場に向かった。



「魔法を覚えても基礎訓練は聖域にいる間中、毎日続けないとダメだぞ。

 ここにいる間しか安全に魔力量を増やすことが出来ないと思った方が良いからな」

 

 前を歩くシイバはそう忠告して来る。

 

「そうなの?

 外はそんなに危険なの?」

 

「場所にもよるかな。

 大きな街の中はそれほどの危険はないけどな、それでもお前はあまり見かけない珍しい種族だし目立つからな。

 それに泥棒とかはもいるしな。

 その時魔力切れだと心細いぞ?」


「そうか!でもどのくらい魔力量を増やしたらいいの?

 無限に増えたりする?」

 

「増える魔力量は人それぞれ違うぞ。

 だから増えなくなるまで毎日訓練したほうがいいと思うな。

 安全な場所ならなおさら」

 


 そんな話しをながら歩いて北区の入口に着いた。

 

「水神様から北区の訓練施設に入る許可を貰っておいたから魔法の訓練はこれから行く魔法訓練場でしてくれ。

 ただし絶対に一人では来るなよ!

 竜人族の中にはお前を良く思ってない者もいるからな!」

 

「うん、解った」


『俺、嫌われてるの?』

 

 俺は少し落ち込んでシイバの後ろを付いて魔法訓練場に入った。



「よし!まずは魔力を水に変えるイメージをして、それを目の前に出すイメージだ。

 最初は少しでいいからな」


『魔力を水に……そしてそれを前に出す!』

 

 心の中でつぶやいた。


 ザーと目の前に水が流れた。


「やった!水魔法!使えた!」

 

 俺は初めての魔法に興奮して叫んだ。


「良いぞ!次は魔力を圧縮してあの的を狙ってみろ」


 シイバは一つの的を指差した。



 俺は頷くと


『魔力を圧縮して……的を狙って撃つ!』


 水の球は前に飛んだけれども的には当たらなかった。

 

「最初は指先から水を飛ばして的を狙うイメージの方が当てやすいぞ?」

 

 俺は指先を前に伸ばして指鉄砲のようにして的に狙いを付け圧縮した魔力を水に変えて放つ!


 小さな水球は的に向かって飛び


『トン!』


 真ん中に命中した。


「よし!」

 

 俺は嬉しくてニヤニヤする。


「おぉ!なかなか呑み込みが早いぞ。

 次は圧縮魔力を体の前で水の壁を造るようにしてみろ」

 

 両手を前に出し壁をイメージする。

 すると薄い水の壁が現れた。

 

「そうだ!魔力を増やすと厚くなるし強い魔力で造ると強度が高くなるぞ。

 それじゃ少し魔力を増やしてみろ」


 魔力を少しずつ多くしていくとだんだん水の壁の厚さが増していく。


「よし!いいぞ!

 初日はこのくらいにしておこうか」

 

「もう少し練習するよ!」


 それから何度も水球を的に向けて放った。

 

 シイバはそれを何も言わず腕を組んで観ている。

 

 俺は魔力を増やして大きな水球を打ったり魔力を強くして硬い水球を打ったり連続で打ったりいろいろ試していた。


『あっ?』


 急に俺は体の力が抜けて膝から崩れ落ちた。

 

「魔力切れだな。

 どのくらい魔法を使えば魔力切れになるか解ったか?

 基礎訓練の時とは違って体に力が入らないだろ?」


 基礎訓練の時に魔力切れになると体は怠くなったが魔法で魔力切れになると体の力が入らない状態になった。


「魔法を使う時は魔力と体力の両方を使うんだよ。

 だから魔力だけじゃなく体力も付けないと動けなくなるんだ。

 お前の体ではまだ無理かもしれないがな。ハハハ」


 シイバは笑った。


『竜人の成長速度がうらやましい!

 俺が大人になるのに何年かかるんだ?』

 

 シイバに抱き上げられて俺は自分の部屋に戻って来た。


 シイバは俺をベッドに寝かせる。


「今日は休むことだな」

 

 そしてシイバは部屋を出て行った。




 俺は部屋で一人になると初めて魔法を使った喜びと体の疲れとで笑顔を浮かべたまま眠りについた。




 俺が眠りについた頃。


 聖域に一匹の来訪者が現れた。

 

『あいつもそろそろ喋れるようになったか?』

 

 黒猫が一年ぶりに戻って来た。

 

 背中には白い袋を背負って。





『水龍久しぶりだな』

 

 黒猫は水龍の部屋に入ると水龍神に語りかけた。

 

『ア……』

『そうだ!あいつはそろそろ喋れるようになったか?』

 

 水龍神の言葉を遮って語りかける。

 

『アァ。話せるように…』

『なら魔法とか適当に教えておいてくれよ。

 それと……これ!

 あいつのアイテムの袋だ。

 中に着替えとか必要な物を探して来て入れてあるから。

 あいつに渡しておいてくれよ』


 黒猫はそれだけ言うと部屋を出て行こうとする。

 

『待て待て!何処行く!』


『まだ三日月国の北の方しか回れてないからもう少し観て回って来るよ。

 私の大切なモノの在処も調べないといけないしな!』

 

『あいつ、フゥのことはどうする?

 何をどこまで教えたらいい?

 お前のことや魔法のこととか世界のこととか』


『フゥ?あぁ!あいつの名前フゥにしたのか?

 それはそれで面白いな。

 まぁ魔法は覚えられるだけ教えてくれていいぞ!

 あいつの得意な属性は風だからな!

 まあ解っていると思うがな。

 それと私の名前ことは……そうだなぁ……ラィとでも言っておいてくれ。

 世界のことは……基本的なことは教えてあとは適当にいい感じに少しぼやかして……お前に任せる!』


 黒猫のラィは逃げるように聖域を出て行った。




 水龍神はそこにポツンと残された袋を深い溜息をついて見た。

 

『次はいつ来るのかな?』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ