五属性防御魔法壁
魔物人の村に一泊して、魔物人の神様の最初の仕事として俺は村を囲む木で出来た壁を五属性の防御魔法で創り変えた。
「これで村が魔物に襲われる事は無くなったよ」
俺の言葉に魔物人達は驚きを隠せない様だ。
「どう言う事ですか?
この壁で 魔物の侵入を 防げるとでも?
魔物の侵入を防ぐには 魔宝石で造った壁が必要だと 聞いていたのですが」
「魔宝石の壁とは違うけど、俺の創ったこの壁も魔物に壊される事は無いと思うよ。
この五属性の魔法は多分、今のこの世界では俺しか使えないと思うから」
「神様の魔法なのですね!」
「神様の魔法!」
壁の近くに集まったワボ達は俺を崇める様な目で見ていた。
「魔物神様!
この壁を他の魔物人の村にも 創って下さい!
魔物人は毎日 魔物の侵入に怯えながら暮らしているのです」
「そうだったの?
魔物人の村ってどのくらいあるの?」
「魔物を狩る為の村が ここの他に七つ その狩られた魔物を 人の町に売る為の中継地の村が 二つです」
「全部で魔物人の村は十あるんだね」
「いいえ もう一つ
あそこは 魔宝石の壁がある 魔物人唯一の町なのです
昔 集落と呼ばれていた場所を 町に変えてくれた神様が いたそうなのです
そこは昔 ヌーゴラの町と 呼ばれていたそうです」
『ヌーゴラの町?
どこかで聞いた様な……』
『魔物神。ヌーゴラの町とは魔物神が旅の途中で初めて創った町です』
『そうだった!
魔法石の言う通り、確かに俺が創った町はヌーゴラの洞窟の近くだった。
でもあの町の名前って、魔物神の町にしなかった?』
『多分、誰もその名前で呼ばなかったのでは?』
『そうなんだ……
なんかな……』
「あの 魔物神様?
どうでしょう 他の村にも 魔物から守ってくれる 壁を創ってくれませんか?」
魔法石から教えられたヌーゴラの町の事で俺は少しの間『ボーッと』していて、ワボは俺が他の村の壁創りに悩んでいるのだと思った様だ。
「良いよ。別に壁を創るだけなら。
でも、その村まで誰か案内してね」
「本当ですか!
勿論 案内なら 任せて下さい!」
俺はそこから二ヶ月掛けて魔物人の村々に五属性の防御魔法の壁を創って回った。
魔物人の村はどこも同じ様に全て木で造られていて、魔物から村を守る為に毎日見張りを立てていた。
それが俺の防御魔法の壁により見張りが必要無くなり、安心して魔物を狩れると感謝される事になる。
そして、最後の魔物人の村の壁を創り終わり、魔物人の唯一の町『ヌーゴラの町』に案内されたのだった。
「確かに……見覚えがある」
俺が町に入って最初に思ったのは、そんな感想だった。
「魔物神様は この町に来た事が あるのですか?」
俺を最初の村からずっと案内してくれていたゴサが聞いてくる。
「うん。昔、俺が神になって最初に創った町がこの『魔物神の町』なんだよ」
「この町を 魔物神様が創ったのですか!
それは驚いた
では ここが魔物人の町なのは 昔から決まっていたのですね!」
「うん……まあ……本当はそんなつもりで創った訳じゃ無いんだけど……」
俺の言葉は感動に包まれたゴサには既に聞こえていなかったようだ。
「魔物神様 早く 中に入りましょう!
この町は 魔物人と人が 唯一一緒に暮らしているのですよ」
ゴサの言った様に、町の中は確かに魔物人と人々が一緒に暮らしているようだ。
「何でここだけ、魔物人と人が一緒に暮らせてるの?」
「なぜなのでしょう?
おれも 詳しくは 知りません
多分 誰も 知らないのでは ないでしょうか」
「そうなの?」
『予測ですが、僕の考えを話しても良いですか?』
俺が疑問に思っていると魔法石が自分の考えを話したそうに言ってくる。
『何?
魔法石は理由に心当たりがあるの?』
『僕の予測ですが。
魔物神が町を創ったのは元々この町に暮らしていた人には伝わっていたのでしょう。
ですから魔物人が行き場をなくした時、この町は魔物神の眷族の一つだと勘違いして魔物人を受け入れたのではないでしょうか』
『呼び名が似てたから勘違いしたって事?
そんな事あるかな?』
『まあ、僕の予測なので、間違っているかもしれません』
『うん。まあ後で本当の事を調べてみるのも面白いかもね。
魔法石の予測は当たってるかな? 楽しみ』
こうして俺の魔物人の村に五属性の防御魔法壁を創る旅は終わりを告げた。




