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情報操作


 ギルドに入った俺を見つけた職員はすぐにギルド長室に連れて行く。



 「フゥ君。一人かい?

 よかった!変なのに絡まれたりしなかったかい?」

 ヤクサムは俺を心配していた。


 「何があったんですか?」


 「ニュースよ!魔法石や新聞で嘘のニュースが流れているの!」


 「嘘のニュースって何ですか?」


 「あなた達が捕まえたゴブリンの誘拐犯達を虐待されてる子供を救った商人て嘘を流してあなた達を逆に犯人扱いしているの!」


 「それでギルドの前で変な事を言って俺の肩をつかんで来たんですか?」


 「それはまた別のヤツらよ!

 アイツらはどこからか分からない組織に金を貰って冒険者ギルドに反対しているの!

 冒険者ギルドでもその組織を探っているけどなかなか正体を掴め無いのよ。

 まあ無護の団体のヤツらも金を払って噂を流しているんだけどね。

 両方裏で繋がっているのかもしれない」


 「無護の団体って何ですか?」


 「この三日月国の隣にある国が中立国って言う国なのは知ってる?」


 「はい、名前とだいたいの魔物の分布とか人種構成は」


 「そう。中立国の一番多い人種は何か分かる?」


 「いろんな人種のミックスです」


 「そう。歴史では一万年前くらいからエルフがエルフの森に一番近かった今の中立国で異種族間の婚姻を積極的に進めていったのが始まりで最初は加護を複数持つ者が増えた。

 でもだんだんその加護が薄まっていったみたいで加護の無い人が増え始めたの。

 その人達の子供も加護持たずに生まれて今の中立国のほとんどは加護の無い『無護』と呼ばれている人になったわ。

 それが無護の始まり。


 そして本来この農業の町は白魔道士の多く住む町だったのだけれども白魔道士の一部はエルフと考え方が近かったから、エルフに影響される人も多くてミックスが増えていったの。

 

 そこに中立国の無護の人も移住して来て元々住んでいた住民とトラブルになって住み辛くなった人の一部が新しく研究所の町を造ったのよ。


 だからこの町は元々住んでいた三日月国の人と他国から来た無護の人が住んでいるの。

 そして中立国から来た無護の人の団体が『無護の団体』よ!」


 「それでその無護の団体の目的は何なんですか?」


 「よく分からないけど『自分達は加護が無いから不公平だ!』とか。

 『恵まれて無いから保護しろ!』とか。

 勝手な事を言っているわ。

 加護があるからって恵まれている訳じゃないでしょ。」



 『確かにヤクサムはオークとオーガのミックスでどんな加護なのかは公表してないみたいだけど苦労してギルド長にまでなったみたいだ』



 「でも最近の活動をみると最終的にはこの町を壊して乗っ取ろうとしているとしか考えられないのよね。

 ゴブリンを移住させようとしたり。

 お金を使って新聞やニュースに自分達の都合のいい事や嘘を書かせたり。

 自分達に不利になる事は扱わないようにさせたり」




 コンコン。

 ドアがノックされさっきの受付の職員が入って来た。


 「大変です!警備兵がフゥ君を捕まえに来ました!」


 「エッ!俺?」


 「そうです!ギルドの前でフゥ君に怪我をさせられたと男が警備所に訴えたようです」


 「エッ!肩をつかまれたから振り払っただけだけど?

 ちょっと意味わかんないんだけど!」


 ヤクサムは頭を抱え、

 「それがアイツらのやり方だ!

 アイツらの合い言葉は『自分達は正しい事をしているから何をしても正義だ!たとえ人を騙しても殺しても。

 自分達の意見に反対する者は悪だ。

 死んでも構わない!』

 そんなおかしな団体なんだ。


 だから誘拐事件も直接冒険者ギルドの依頼ではなく他の町の冒険者がカバンを盗まれて偶然誘拐犯を捕まえた事にしたかった。

 スマン。

 あなた達を巻き込んで私の考えが足りなかった!」


 「それはいいよ。

 どうせホチネのカバンを取り返しには行ったよ。

 その時誘拐された子供がいたら助けたと思うし」



 『それにしても自分達が正しいから人が死んでもいいなんて一昔前の健康の為なら死んでもいいか!

 そんなヤバイ団体に目を着けられたなんて俺これからどうなるの?

 人が死んでもいいなんて言ってるんだから殺される覚悟もしてるのかな?

 魔法で蹴散らすか!』



 俺の顔を見て実力行使に出るとヤクサムは思って、

 「今は逃げてくれ!

 君は目立つ。

 変装して町から出るんだ」



 『逃げる為の変装?

 竜人属の衣装ならいいかな?』


 俺はベルトに魔力を注ぎチート服をしまい竜人の衣装になる。


 「これでどうかな?」


 「まあ…それならいいだろう。

 後はこのマスクを着ければ完璧だ!」

 ヤクサムは黒い覆面を俺に被せる。


 「これ?逆に目立たない?」


 俺の言葉に受付の職員は目をそらすがヤクサムは自信満々に納得して、

 「完璧な変装だ!」






 俺は今、西門の外でホチネ達を待っている。

 もちろんマスクは外して。

 あの後ヤクサムが警備兵を引きつけている間に受付の職員に送ってもらい西門に来たのだった。


 なぜ西門かと言うと俺達が研究所の町から来た事は知られている為、東門は警戒されていると予想しての事である。

 西門にも警備兵はいるが警戒が緩く警備兵もオークの兵士が当番だった。

 オークの兵士はオークの子供が誘拐された事を知っていた為、俺達が本当は誘拐犯を捕まえたと分かってくれた。


 


 

 昼もだいぶ過ぎて三人の事が心配になって来た頃。

 ケレリスが操縦する馬車が西門を潜った。


 「フゥ、お待たせ!」

 ホチネが荷台から顔を覗かせて手を伸ばす。

 俺はその手を掴むと走る馬車に飛び乗った。

 ケレリスが操縦する馬車は俺が乗ったのを確認するとスピードを上げて走り去る。



 その頃、西門ではケレリス達を追って来ていた集団が警備のオークに止められていた。


 


 「みんな遅いよ!」

 馬車に飛び乗った俺は馬車のメンバーを見回して叫ぶ。


 「ヘヘッ。遅くなったのはこれ!」

 ホチネは荷台に積まれた物を俺に見せて、

 「肉だよ!肉!

 これだけあれば次の町まで安心だよ!」


 「すごい量だね。腐らないかな?」


 「それなら大丈夫。フゥの袋に入れておけば腐らないでしょ!」



 『俺のチート袋便りなのかよ!』



 俺は荷台に積まれた大量の肉を袋にしまう。


 「フゥ君が宿に置いてきた物も取って来ました」

 ツラナが宿に置いていた短槍を持って来てくれた。



 『シイバに貰ったこの短槍もなかなか使う機会が無いな』



 

 こうして俺達四人の旅はまだ続く事になった。


 


 ここで、一章が終わります。


 次の登場人物紹介と登場魔物紹介を挟んでからの二章もお楽しみください。


 優しいご意見ご感想など頂けたらうれしいです。


 

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