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誘拐犯と対決


 ゴブリンの馬車は町中を走り町の東門へ向かった。


 俺達もケレリスが操縦する馬車で見つから無いように少し後を追い掛ける。



 ゴブリンの馬車は東門で足止めされると思っていたが門を警備する兵士は何も無いかのように簡単に通してしまう。


 俺達も東門を通ろうとすると兵士が行く手を遮った。


 「止まれ!こんな深夜にどこへ行く!」


 「私達はあのゴブリンが乗った馬車を追っている!」

 ケレリスは馬車を止めて兵士に説明する。


 「許可証はあるか?」


 「許可証など無い!

 あの馬車を追い掛けているのだ!

 早く通してくれ!

 見失ってしまう。」


 「なぜあの馬車を追っている!」


 「あの馬車には私の仲間から盗んだ物が積まれている!」


 「何?そんなはず無い。あの馬車は知事からの許可証が出ている」


 「知事からの?

 そんなバカな!あの馬車には……もういい!早く通してくれ!

 馬車を見失ってからでは遅い!」

 ケレリスは強引に馬車を進ませ、門を通る。




 「マズい。だいぶ離されたぞ」

 ケレリスはしばらく馬車の速度を全速に上げて走るが前を走っている馬車の姿は見えてこない。


 俺は目に火の付与魔法をかけて街道の先を見る。


 「ケレリス、街道に沿って走って!

 このまま走れば追いつける!」


 「分かった!そのまま馬車を見ていてくれ!

 フゥ!馬車が進路を変えたらすぐに知らせろ!」




 ケレリスは馬車の速度を落とさないように街道を走り続けた。


 少し走った辺りでゴブリンの馬車は街道を外れ北へ向かい始めた。


 「ケレリス!馬車が北に進路を変えた!」


 「分かった!そのまま馬車を見張っていてくれ!

 私達も北に向かうぞ!」

 ケレリスは進路を北よりに変える。

 街道を外れた馬車の揺れが大きくなりスピードが少し落ちる。

 しかしゴブリンの馬車も街道を逸れた事で安心したのかスピードを緩めた。


 「ケレリス!奴らの馬車がスピードを緩めた!追いつくなら今がチャンスだ!

 もう少し北よりに進んで奴らを追い越して先回りしよう!」


 ケレリスは進路を変えると叫ぶ。

 「絶対に目を離すなよ。」




 

 俺達はそのままのスピードを維持してゴブリンの馬車の前に回り込む事に成功する。


 「ケレリス、一度馬車を止めて。

 ここで待ち伏せしよう。」

 俺は木が生えている所に馬車を止めてもらい俺が馬車を降りて魔法でゴブリンの馬車を攻撃して止める事にした。

 三人もそれぞれ準備してゴブリンの馬車を待つ。






 ゴブリンの馬車は安心したようにゆっくりこちらに近づいて来るのが見えた。

 

 俺は魔力を高めると、風魔法で馬車の車輪を壊して姿を見せる。


 慌てたゴブリンが二人馬車から出て来て俺を見つけると笑い出した。


 「子供じゃよ?一緒に連れて行くよ」


 「捕まえるよ」


 「気を付けろよ!

 子供一人でこんな所にいるわけないよ!

 先に壊れた所を確認しろよ!」

 馬車の中から外にいるゴブリン達に声が掛けられる。

 馬車の中のゴブリンがリーダーのようだ。


 「ダメだ!これはここじや直せないよ。」

 車輪を確認したゴブリンが首を振る。


 「クソ!もう少しで着くのによ!

 応援を呼ぶ!

 魔法を使って来るぞ!相手の見た目で絶対油断するなよ!」


 二人のゴブリンがナイフを構えて近付いて来る。


 俺が風魔法でナイフを吹き飛ばすとホチネが馬車から飛び出し俺の横を走り抜けて槍の後ろでゴブリンを殴りつける。

 一人のゴブリンはそのまま気を失いもう一人のゴブリンも倒れてうめき声をあげる。



 「そこまでだよ!」

 馬車の中で応援を呼ぶと言っていたゴブリンがオークの子供の首にナイフを突きつけていた。


 「やっぱりオークの子供達を誘拐したのは、お前達だったんだな!」

 ホチネが叫ぶ。


 「ゾント!ジャウを連れて馬車に戻れよ!」


 ゾントと呼ばれたうめき声をあげていたゴブリンが気絶しているゴブリンを抱えて馬車に戻ろうとした時だった。


 「グァッ…」

 馬車でオークの子供にナイフを突きつけていたゴブリンが倒れてその後ろからケレリスが姿を見せる。


 「子供達は大丈夫だ!」

 ケレリスがオークの子供の縄を解き手を振る。


 ホチネが馬車に向かっていたゴブリンをまた殴りつけるて気絶させると、

 「コイツらの仲間が来る前に町に戻る?それともここで待ち伏せして一気に仕留める?」


 「応援の人数がどのくらいか分からないのでここは一旦町に帰りましょう!」

 ケレリスは馬車のゴブリンを縛り上げるて突き落としオークの子供達と自分もゴブリンの馬車から降りると俺達の乗って来た馬車を横付けさせるようにツラナに言う。


 

 

 ツラナが馬車を移動させるとホチネは気絶したゴブリン達を荷台に乗せてゴブリンの馬車に乗り込み、

 「アッタ!ヒタリに貰ったカバン!

 やっぱり落としたんじゃなくて盗まれてたんだよ!」

 大切そうにカバンを抱えてホチネが馬車から降りて来た。


 「他にも盗まれた物は積んでないですか?」

 ツラナがホチネに聞く。


 「荷物は結構積まれてるよ。これも持って帰った方がいいかな?」


 「盗まれた物かもしれませんしゴブリンに渡す必要もないでしょう?」

 

 ホチネは笑って頷く。

 「そうだね」

 

 

 


 俺がゴブリンの応援を警戒してホチネとケレリスが俺達の馬車に荷物を全部移し替えていく。


 

 俺は付与魔法でゴブリン達が向かっていた方向を見ているとゴブリンの大群がこちらに向かって来るのが目に入った。


 「ゴブリンの応援が来た!

 数は二十人以上いる!」


 「二十人以上ではこちらが不利だ!

 荷物も積み替えたしみんな馬車に乗れ!

 逃げる!」

 

 ケレリスの掛け声で俺は御者台のツラナの隣に座る。


 「いいよ!ツラナ出発して!」

 ホチネが荷台の一番後ろに飛び乗りツラナは馬車を走らせた。


 

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