昼寝する二人
結果としてラィを見られたのは俺とホチネとツラナの三人だけだった。
ケレリスは自分だけ見られなかったと俺を責め出した。
「フゥ君!なぜ私にだけ付与魔法掛けてくれなかったのですか!
私があれだけ魔法神様に興味があると言っていたのに!」
「いやいや、ケレリスそんな無茶な。
ケレリスは馬車の操縦してたんだよ?
そこに急に付与魔法を掛けたら大変な事になるでしょ?
それに魔法神!魔法神!って言ってるけどラィが魔法神かどうかは分からないからね!
ただの空飛ぶ猫がいたって言うだけだから。
ただの猫の魔物の可能性もあるからね」
「いいえ!そんな魔物は存在しません!
私の研究者人生を賭けて断言します!
そして仮にその猫が魔法神様で無くても私の研究はフゥ君も知っているでしょう!
そんな珍しい生物、魔物でも無くて言葉も話せて絶対に会いたいし見たいでしょう!」
「ラィは俺に絶対に会いに来るからその時は絶対に直接会わせるから」
俺はケレリスの圧力に押されて変な約束をしてしまった。
「絶対ですよ!
そのラィさんがフゥ君に会いに来るまでご一緒させていただきますからね」
『もしかしてこれ?この護衛の仕事が終わっても付いて来る気?』
「一緒はちょっと………現れたら連絡するって事でよくない?
ツラナもいるし魔物とも戦うし冒険者は危険だよ?」
「ボクは教授と一緒にフゥ君達に付いて行きたいですよ。
冒険も回復役がいた方が便利ですよ!
魔物との戦いでもボクは防御魔法が使えるので自分の事は自分で守れます!」
ケレリスの圧力にツラナの圧力も加わって更に困ってホチネの方を見ると目をそらされた。
「何があったか分からんがいつまでも止まってないでそろそろ出発しないか?
次の休息地で早くゴブリンを引き渡したいんだ」
冒険者達のリーダーのドンボノが自分の馬車から降りて来た。
「すみません。ちょっと珍しい生物を見掛けて。
空飛ぶ猫なんですけどね」
ツラナがドンボノに説明すると、
「空飛ぶ猫?それって数カ月前に噂になってた猫か?」
ドンボノは以外とラィの話しに食い付いて来た。
「噂?になってたんですか?」
今度はツラナがドンボノの話しに食い付く。
『お前達早くゴブリンを引き渡したいんじゃなかったのかよ!』
「何カ月か前だったと思うが翼のある猫が袋を背負っていて空を飛んで来たって噂が流れた事がある。
確か冒険者の町で噂になって新しい魔物が出たとか見間違えだとか冒険者達の間では話題になった事があったぞ」
「袋?猫に袋?変な話しですね。
でもさっきは袋なんてありませんでしたよね?」
ツラナは俺とホチネを見る。
『数カ月前?袋?って俺の持ってる袋か?
俺のチートアイテムを探してたのか?』
そう思っているとホチネは俺の腰に下げた袋をジッと見ていた。
「袋はなかった気がする」
俺はツラナに目を逸らしたまま言う。
ホチネと俺の様子にツラナは不信感を抱いたが何も言わなかった。
ドンボノが話しをしに行ったのにも関わらず更にドンボノも話し込んでしまったので他の冒険者達や商人もここで一度小休止する事にして馬に水を飲ませたりし始める。
空飛ぶ猫騒動は他の冒険者達にも広がりあちこちで「聞いた事がある!」と数カ月前の噂話が冒険者達の間ではかなり有名だと言う事が解った。
『暗くなる前に着くかどうかギリギリかな?』
俺は荷台でゴブリン達を見張りながら考えていた。
あれから落ち込んだケレリスは荷台の一番後ろで、ふて寝をして横になっていたが本当に寝てしまったようだ。
ツラナが操縦する馬車の荷台で隣に座り小声でホチネは俺に話し掛ける。
「休憩の時、聖域のラミネに連絡してあたし達の居場所とラィを見た事を伝えてもしラィが聖域に戻ったらすぐ教えてって伝えたから」
「ありがとう」
「さっきのドンボノ達が言ってた袋ってやっぱりその袋の事だよね?」
ホチネは俺の腰の袋を見た。
「そうだろうね。多分この袋だろうね」
「ラィが本当に魔法神なのかな?
あたしはエルフの本読んだ事無いから分からないけど魔法神の姿はフゥみたいな格好してるんでしょ?
うーん?」
ホチネは考え始めて黙り込む。
しばらくすると隣から寝息が聞こえ始めた。
『寝た?考え事してて寝たの!
ホチネは考え事が長く続かないのか?
やっぱり脳筋だったか!』
夕方。
俺達は今日の目的地に着いくそこには知らせの通りギルド職員達が待っていた。
一人のギルド職員がドンボノと話しを他の二人の職員が一台の馬車から毛皮に包まれたゴブリンの死体を二体運び出す。
さっきドンボノと話していた職員がドンボノに連れられて俺達の馬車にやって来た。
「こちらがあのゴブリン達を倒したフゥ君です」
「フゥ君、こちらは首都のギルドから派遣されて来たナジカヌさんだ」
ドンボノは俺とナジカヌにお互いの紹介をする。
「よろしく、ナジカヌだ。
ゴブリン達を引き取りに来た。
最近は街道でのゴブリンによる盗賊被害が増えていて困っていたのだ」
『やっぱりオークは大きいな!』
と思っていると、
「挨拶!」
ホチネに背中を叩かれる。
「あっ、ああ、こんにちは」
「こんにちはって。ハハハッハハッハハハ。フゥ、こんにちはって。ハハハ」
ホチネは爆笑する。
ケレリスとツラナも顔を背けドンボノは苦笑いをしていた。
「こんにちは」
とだけナジカヌは返して来た。
ドンボノは、
「捉えたゴブリンを連れて来てくれるか。」
ツラナとケレリスがゴブリン達を馬車から降してナジカヌに渡す。
ナジカヌはさっき死体を運んでいた二人の職員に三人の縛られたゴブリン達を連れて行かせる。
ナジカヌは俺達に今回のギルドポイントと報酬は首都のギルド本部で渡すと教え馬車に戻ろうとした。
ケレリスはナジカヌと話しがあるとナジカヌとドンボノと一緒にゴブリンを乗せた馬車に向かった。
「ゴブリンの国の事だよね。
近くにゴブリン達が集落を作ってそこから盗賊に来てるっぽいから近い内に大規模な掃討作戦があるかもね」
『ホチネはゴブリンの事どう思ってるのかな?
掃討作戦に参加したいのかな?』
俺はもうすぐ終わるこの依頼の後の事を考えていた。
話しがあるとナジカヌの後に付いて行ったケレリスが戻って来たのはすぐの事だった。
「この後ナジカヌ達はすぐに出発して首都に向かう何か急ぐ事情が出来たらしい。
私達もそれに付いて一緒に首都に向かう!
馬車の操縦は私がするから。
昼寝もしたしね。」
「それじゃ、あたしが起きて魔物警戒をするよ!
あたしも昼寝しちゃったから」
『昼間の二人のあの昼寝がこんな所で役に立つとわ!』
この日俺達は徹夜で首都に向かう事になった。
今回の話は少し長くなりました。
書いている途中で昼寝をしてしまい、昼寝の話を付け足してしまいました。
昼寝が良かったのか?悪かったのか?どっちだろ。




