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付与魔法


 昼からは俺とケレリスが御者台に座った。

 ゴブリンの証言でケレリスの予想通りこの辺りの魔物は食糧や戦力として狩り尽くされて殆ど残っていないらしく次の休憩広場までは暇になった。

 ゴブリンも考えて馬車を襲うので冒険者の多い馬車は襲わないとの事だ。





 昼からも魔物の警戒はしつつ頭の中で魔法石との勝てる筈の無い知恵比べをしてしまった。



 俺の質問は殆ど『秘密』とバカにしたような笑い声で返されて暇な時間は無駄な時間に代わっただけだった。


 『暇つぶしになったよ!』

 俺は魔法石に悪態を吐く。


 『フフフッまたね』

 また笑われただけだった。






 次の日。

 午前中は馬車を操縦するツラナ隣に座り魔法石との無益なやり取りをして過ごし昼休憩になった。

 

 昼食を食べ始めた俺達のところにドンボノが来た。


 「先程、首都の冒険者ギルドから連絡があって次の休憩広場にギルド職員が来ていて捕まえたゴブリンと倒した死体を引き取りる為に待っているそうだ。

 ゴブリン達を渡す事になるがいいか?」


 「私は聞きたい事は聞いたので特に問題は無い」

 そうケレリスが答えるとドンボノは頷いて魔法石でギルドに報告した。



 「ゴブリン達が逃げ無いように護送を頼む。

 我々が前後を護衛するので魔物やゴブリンの襲撃の警戒は任せてくれ」


 俺達はその提案に従って午後からは隊列の真ん中で移動する事になった。



 俺は午後からは荷台でゴブリン達の見張りをする。

 隊列の真ん中で警戒する必要が少なくなったので御者台にはケレリス一人で前方にホチネ、真ん中にゴブリン達、後方に俺とツラナが座る。


 午後からも暇つぶしの魔法石との知恵比べかと思っているとツラナが話しかけて来た。


 「フゥ君、午前中は難しい顔してましたけど何かありました?」


 『他の人の魔法石は話し掛けたりして来ないんだったよね』


 俺はなんて答えようか考え、

 「魔法石で調べ物してたんだよ。

 そんなに難しい顔してた?」


 「そうですね。ボクが何か怒らせるような事でも為たかと思うような顔でした」


 「そんなに!ハハハ」

 笑って誤魔化す。


 「何調べてたんですか?」

 

 「特性とか加護とか?」


 「本当ですか!それならボクの研究テーマで得意分野ですよ!

 ボクに解る事なら教えちゃいますよ!」

 ツラナは嬉しそうに『聞いて』アピールをして来た。


 

 俺は少し考え当たり障りの無い事から聞く事にした。


 「ツラナは白魔道士でしょ?白魔道士の加護って何?」


 「白魔道士の加護ですか?白魔道士の加護は回復と防御魔法それと研究者です」


 「それじゃ黒魔道士の加護は攻撃魔法と研究者?」

 俺は今までに聞いた加護の法則みたいなものから黒魔道士の加護を予想して聞いてみる。


 「惜しいです。黒魔道士の加護は攻撃魔法と付与魔法それと発明家です」


 「付与魔法?発明家?それ初耳だけど詳しく教えて!」


 「いいですよ!まず付与魔法から。

 付与魔法は能力などを増やしたり減らしたりする魔法です」

 ツラナは嬉しそうに説明を始める。

 「例えば火の付与魔法だと力や体力、速さや魔力を増やす事が出来ます。

 逆に水の付与魔法だとそれを減らす事になります。

 そして土の付与魔法は付与した魔法を強制解除したり付与魔法が掛から無いようにしたり跳ね返したり出来ます」


 「土の付与魔法だけ複雑なんだね。

 でも覚えたら便利だな。

 ツラナ、教えてよ!」



 ツラナは少し悲しい顔になり、

 「…………ボクには付与魔法が使えないんです。ごめんなさい。

 でも魔法は得意分野の他にイメージも大切なので魔法が得意なフゥ君ならイメージさえ出来れば使えるんじゃないのでしょうか」


 「ああ、そうなんだ。」



 「何?付与魔法を覚えたいの?

 フゥは付与魔法を教えてもらってないんだっけ?

 確かに付与魔法はイメージを伝えるの難しいからね。

 そう言うのシイバは苦手だったわ。

 フゥ、こんな感じ!」

 ホチネはそう言うと俺に水の付与魔法を掛けた。


 「気持ち悪!なんか力が抜ける感覚!

 ホチネ、早く解いてよ!」


 「エッ。解けないよ。あたし水の付与魔法しか使えないから」


 「ハー!何ふざけた事言ってるの!

 そう言うのいいから早く解いてって!」


 「いやいや、ふざけてないから。

 そんなに魔力込めてないから直ぐに解けるよ。慌てんなって!」


 「慌てんなってじゃないから!

 オー、力が戻って来た。びっくりした!

 モーこう言うの辞めてよ!

 今、一応仕事中だよ!」


 「フゥ、そんなに怒んないでよ。

 ジョークじゃん」



 俺は仕返しにホチネに水の付与魔法を掛ける事にした。


 『イメージっと。

 相手の力を減らすイメージ!』


 「うあー!ちょっと!待って待って!無理!ムリ!むりっ!」

 ホチネは座っていた椅子に倒れ込んだ。

 

 俺が笑っていると、

 「いやいやいや、洒落にならないから!

 魔力!込め過ぎだって!

 こんなのどんだけ時間経っても、解けないヤツだから!

 ちょっとケレリス土か火の付与魔法使えない?」

 焦ったホチネはケレリスに助けを求めた。


 ケレリスは御者台からチラッと荷台のホチネを見て、

 「私、付与魔法あまり得意ではないの。ごめんね。

 そんな強力な付与魔法私の魔力じゃどうにも出来ないわ。」



 「嘘でしょ!これどうなるの!

 フゥ!あんた笑ってないで責任持っていつものチート?だか何だか知らないけど!それで土か火の付与魔法を覚えてあたしをどうにかしなさいよ!」



 俺は笑いを堪えつつ土の付与魔法をイメージする。

 『掛かってる付与魔法を解くイメージ!』



 ホチネは起き上がり体のあちこちを確かめて椅子に座り直す。


 「フゥ!やり過ぎ!ジョークになってないから!」


 

 笑っている俺と怒っているホチネにオロオロしたツラナは叫ぶ。

 「仲良くしましょう!

 ゴブリン達がいるんですから!」

 

 



 付与魔法と発明家の説明をツラナにしてもらう予定でしたが、ホチネとフゥの悪ふざけにより、発明家の説明まで行けませんでした。

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