パンの転売でぼったくり
話し合いの結果。
昼前はツラナが馬車を操縦して昼からはケレリスの体調次第と決まり朝ご飯を食べる事にした。
また今日もいつものように俺の袋からパンとスープを出すとケレリスが声をかけてきた。
「そのパンだけどいつも焼きたてだよね?
私達にも分けてくれないだろうか」
「分けると俺達の食料が足りなくなるから無理だよ。
食料は各自で用意するってケレリスが言わなかったけ?」
「そうだけど君がそんな便利な袋を持っているなんて知らなかったから。
いくらだい?いくらだったらそのパンを売ってくれる。
私はパンが好きなんだ!
特に焼きたてのパンが大好きなんだよ!」
「それなら…銀貨一枚でパン一つと交換ならいいよ」
「パン一つに銀貨一枚はちょっと高くないかい?」
「それならこの旅が終わるまでの後約五日間、毎日三食、一人一個、二人分、金貨二枚で譲るよ」
ケレリスは頭を抱えて悩み、
「よし!いただこう!」
そう返事をした。
俺とホチネは目を合わせて心の中でハイタッチをした。
『確かに研究所の町で一番のパン屋のパンを焼きたてで特注して俺の袋に入れて来ている。
味は抜群にうまい。
ただ一つ銅貨二枚の普通のパンだ。
それに初めての旅で慎重になりすぎ二人で二十日分以上注文してしまって大量の在庫をどうするか迷っていて助かったくらいだった。
それが倍以上の値段で売れた!』
「それでは金貨二枚だ」
ケレリスは俺に金貨を払う。
「それじゃはい」
俺は笑顔で袋から二つのパンを出して渡した。
ケレリスは受け取ってすぐにパンにかじり付いた。
笑顔を浮かべてパンを堪能している。
「これは!ナナルの店のパンだな!
これが焼きたてで旅の間毎日三食食べられるなんて…………」
感動しているケレリスに、
「教授、ボクのパン……」
ケレリスはツラナのパンも食べてしまっていた。
俺はツラナにパンを一つとスープを出して渡した。
「今日は特別ね」
「本当においしいです。ありがとう」
一口かじりスープを飲むとツラナはお礼を言う。
「私にスープはないのかな?」
ケレリスがツラナのスープを見てうらやましそうに俺の方に目を向ける。
「スープも五日で金貨二枚だよ?」
ケレリスはすぐに金貨を出してスープを催促する。
俺がスープを渡すと一口飲み。
「これは!これは!ポリサのスープ!」
俺達は旅に出る前。
以前に泊まっていた宿屋のポリサに頼んでスープを作ってもらっていたのだった。
これももちろん二十日分。
ケレリスは感動して一気に食べてしまう。
「そんなにうまかった?」
ホチネはケレリスが感動している事に驚いた。
「ポリサのスープはおいしいと有名だからな。
聖域門の島で獲れた魚を使った珍しいスープなのだ」
「あたし達は聖域でも同じようなスープなので普通だと思ってたわ」
俺達の懐がだいぶ温まったところで馬車は目的地に向けて出発した。
今日は広場で夜を明かした商人の馬車達と夜に助けた二人の商人の馬車と一緒にゆっくり進む事にした。
俺達は一番後ろで魔物の警戒と昨日のように脱落する馬車が出ないように気を付ける。
午前中はツラナとホチネが御者台で馬車の操縦と警戒。
俺とケレリスが荷台で仮眠を取る事にした。
仮眠の筈が俺はぐっすりと寝てしまい昼の休憩に起こされる事となる。
「眠い。もう少しあともう少しだけ寝かせて!」
俺がまだ眠くてまた目を瞑るとケレリスは俺の肩を揺する。
「早く!早く!あのパンとスープを出してくれ!」
『どうもケレリスはあのパンとスープの虜らしい』
俺は眠い目をこすりながら起きて馬車を降りると他の馬車の人達はすでに昼食を食べているところだった。
ツラナも昼ご飯を楽しみに待っているように俺を見詰める。
「今、昼ご飯出すから」
俺は袋からパンとスープを出す。
四人でパンとスープの昼ご飯を食べていると、
「飽きてきたよね?
あたし肉が食べたい!今晩は肉!肉にしよう!」
「ホチネ、肉は馬車を襲ってきた魔物を倒すから買わなくていいって言わなかった?
全然魔物が襲ってこないから肉がないよ。
それに昨日倒した魔物は昆虫型だったでしょう。
俺、あれ食べるのはイヤだな。
でも確か魔法石で調べた時に兎の魔物と犬の魔物も出るってなってた筈だよね」
「それがな?最近は兎と犬の魔物のラトビやドウォンが減っているらしいのだ」
俺にケレリスが最近の魔物の出没状況を話す。
「それも今回の私達の研究の一つでもある。」
「それじゃ肉が食べれないじゃん!
フゥ!今夜の宿泊広場に着いたら魔物を探しに行くよ!」
ホチネはどうしても肉が食べたいらしい。
確かに俺も森で倒した魔物の肉を全部売らずに少し残しておくべきだったと後悔している。
「よし!今日は魔物を狩って焼き肉パーティーだ!」
ホチネの掛け声にケレリスもやる気を見せている。
『俺も肉が食べたい!』
みんなの頭の中は今夜の焼き肉パーティーの事でいっぱいだった。
『そんなに上手くいくかな?フフフ』
俺の右腕にはめた魔法石がキラっと光った。




