キャンプ?の終わりは突然に
船での話しが長くなってしまったので章のタイトルを船の旅編に変更しました。
竜人族の監視船からラミネの魔法石に到着したとのメッセージが届く。
ラミネはシイバとホチネを呼んで俺に聞こえないように三人で相談を始めた。
俺は土竜人達の質問に答えつつ三人の様子に気を取られる。
三人の相談が終わり、ホチネはライネットの元に、シイバはフォドと話しに、ラミネは俺の所に来た。
「フゥーリ、竜人族の監視船が到着したわ。
わたし達は船の所に向かうのだけど、フゥーリはどうする?」
「どうするって? みんなで戻るんじゃ無いの?」
「わたしはフゥーリにはここで待ってて欲しいかな?」
「どうして?」
「フゥーリ達の船に乗っていたカシカモはエルフに頼まれてフゥーリを見張ってたらしいの。
だからフゥーリとはあまり会わせたくないって考えているのだけど……どうかな?」
「カシカモが俺の監視ね。
まあ、エルフが絡んでいるならそうだとは思っていたよ。
でも、カシカモの前で俺は知られて困るような話しもしてないし、魔法はちょっと大きな珍しいのを使ったくらいで他の人にも見られてたし問題無いと思うけどな」
「珍しい魔法?」
「上位の風の攻撃魔法を使っただけだよ」
「風の攻撃魔法?
風の刃とは違うの?」
「もうちょっと大きい竜巻みたいな魔法」
「…………そんな魔法まで使えるようになったのね」
「ラミネ! そろそろ行くよ!」
俺と話しているラミネをホチネが呼びに来る。
「ええ。それじゃフゥーリは大人しくここで待っててね」
「それは決定事項?」
「フゥーリは連れてけない。
これは大人で話し合った結果。
だから今回は諦めて土竜人達に建物の創り方講習を続けて」
「うーん。船のみんなは戻るの?」
「みんなでは無いよ。
行くのはライネットが責任者として戻るのと、ニルトはカシカモに馴染みの料理を作りに、ソルドは勝手に酒を持ち出した事を謝りに、セーナはカシカモの弁護をしに、ヤチェットはセーナの付き添いの五人だけだよ」
「ヤチェットは安定の付き添い……って、それは良いんだけど……」
「師匠! 次はトイレとシャワールームを創っている所を見せて下さい。
お願いします」
俺を引き留める為なのかシイバに耳打ちされてバボヨリが頼んできた。
「その師匠って何?」
「何かいい呼び方がないかと思って呼んでみた?
そんな感じです」
「……それと何でトイレとシャワールームも作るの?」
「シイバにトイレとシャワールームがあった方が良い言われて、確かにその通りだなと思って」
『シイバ! 余計な事を言って俺の足止めのつもりか?』
俺はシイバを睨む。
「フゥーリ!ソイツらを頼んだぞ!」
シイバは睨んだ俺に手を振った。
「仕方ない今回は土竜人達に教える事もあるから残る事にするよ。
でも何かあれば魔法石で呼んでよ!」
「分かってる」
ホチネはそう答えて船に戻るメンバーを集める。
結局船に向かうのはライネットとソルドとセーナの四人に付き添いのヤチェット、竜人族はラミネとシイバ、ホチネ、テホノ。その他に竜人達が数人。
数時間経って俺の建物の創り方講習は終わり、竜人達が一人一人泊まれるよりも多くの部屋が創られた。
バボヨリは『これから竜人族の訓練が始まればこれでも足りないくらいだから』そう言ってシャワールームに向かう。
俺も人に何かを教える事に疲れて部屋で横になり寝てしまった。
その日ホチネ達がキャンプ地に戻って来る事は無かったのだった。
次の日の昼頃。
ラミネとシイバ、ホチネ、それと竜人族だけが戻って来る。
「フゥーリ、船に戻るよ」
戻って来たホチネの最初の言葉はそれだった。
「帰ってくるのは遅かったけど、船に戻って良いのね」
「良いよ。それぞれの聖域からの支援物資も届いてるし。
カシカモも引き渡したから」
「カシカモの引き渡しもう終わったの?」
「問題なく」
「それで、結局カシカモの刑は決まったの?」
「土龍の聖域領にある牢で五年となったよ」
「そう……」
「詳しくは船に帰ってから」
そうホチネが残っていた船のメンバーに声を掛けてキャンプの荷物を片付けさせる。
船旅の休憩はこうして終わった。




