冒険者ギルドにて
三日月国に着いて二日目。
朝早く目が覚めてベッドから体を起こすとホチネはまだ夢の中のようだった。
歯を磨き、顔を洗っているとホチネが起きて来た。
「おはよう。朝食を食べたら今日は冒険者ギルドに行って登録しよう!」
ホチネは今日の予定を話す。
「で、朝のギルドは混んでるってラミネに聞いたんだった。
どうしようか?
町を見て回って時間を潰してからにする?
それともギルドでどんな冒険者がいるか観察する?
初心者のあたし達に絡んで来る冒険者とかいるかなぁ?」
「ホチネ?なんかワクワクしてない?
初心者に絡んで来る冒険者なんか、会いたくないよ!」
「それはそれで楽しいよ。
どーせそんな冒険者大したことないって!
あたし達なら返り討ちだね!」
「ほらワクワクしてる!
返り討ちだねじゃないよ!」
「いいから早く食堂に朝ごはん食べに行こう。
そしてギルドに殴り込みだー!」
「趣旨変わってるから」
呆れた俺の背中を押してホチネと俺は一階の食堂に降りて行った。
一階の食堂では朝の早く出掛ける人達数人が食事をしていた。
俺達が席に着くと昨日部屋に案内してくれた女性が朝食を運んで来た。
二人で朝食を食べていると隣の席の男に声をかけられる。
「竜人の旅人は珍しいね。
青月だからかな?」
「冒険者だよ。今から登録しに行くんだけど」
「新人冒険者だ!頑張れよ。
オレも昨日この町に着いたばかりの冒険者だからよろしくな。
それよりその子はどこかに預けて行くのか?」
『その子?子供なんて……俺の事か!』
俺が心の中でそう思っていると、
「あぁ!こいつは大丈夫。こう見えてもすごく魔法が得意なんだよ」
ホチネがフォローしてくれた。
「そりゃすまんかったな」
その男は朝食を食べ終え荷物を纏めると気まずそうに宿を出て行った。
「やっぱりフゥは子供に見えるよね。
ギルド登録出来るかな?」
朝食を食べながらホチネはブツブツつぶやいていた。
部屋に戻り出掛ける支度をすると俺達はギルドに向けて出発した。
この町の名前は研究所の町。
町の中心に研究施設が多く有り白魔道士族が多く住んでいる。
白魔道士族と言っても俺から見れば普通の人間だ。
魔力が他の人種に比べて多い個人差が有るらしいけど。
三日月国の真ん中あたりに在る。
ただ首都ではない。
西に首都の農業の町に続く門が有り東に冒険者の町に続く門が有る。
町は高い壁で囲われていて魔物の侵入に備えている。
冒険者ギルドの場所は町の北門の近くにある。
北には魔物が多く棲む広大な森が広がっていて魔物ベルトと言われ、それを研究する為にこの町が出来たと言われている。
俺達が冒険者ギルドに着くと朝の一番混み合う時間帯でそれぞれ自分のランクに合った依頼を受けるのに並んでいる。
俺達は受付から離れた端の方で混雑が収まるのを待つことにした。
「ホチネ?前に魔法石でも登録してあれば依頼を受けられるって言ってなかった?」
俺は混雑している事に疑問でホチネに聞くと、
「魔法石は結構高価なのよ。
あたし達竜人族や高ランクの冒険者、大商人や金持ちしか持ってないのよ」
「竜人族って金持ちなんだね」
「それは違うよ。この魔法石は龍神様が魔力を結晶化させてくれて、あたし達に渡してくれる大切な物なのよ」
「だから水竜人達が持ってる魔法石は青いの?
土竜人のトンバのは黄色かったし、火竜人のガーネのは赤かったよね」
「そうよ。龍神様の魔力によって違うの。
そして特別なの」
「特別?」
「水竜人の魔法石は全てつながっていて一人が知った情報をみんなで共有したり、どんなに離れても連絡が取れたりするの」
「俺のは白いよね。
白は風の加護とか有るのかな?」
「どーかな?風の龍神様はいないと思うけど竜人族の歴史では会った人がいないし聞いたことないわ。
もしかしたら魔法神様なら……風?の魔法石も作れるのかもしれないけどね」
「謎の石なんだ」
俺は自分の魔法石を眺めた。
「フゥ!受付空いたわよ!」
ホチネは俺の手を引いて空いたカウンターに向かう。
「冒険者登録をしたいんですけど。二人です」
「はい。お二人ですね。
こちらに必要事項を入力して下さい」
受付に板のような物を渡された。
タブレット?町並みも現代日本とあまり変わらないと思ったけどある意味進んでいる事もあるのかも。
俺はタブレットのような物にタッチしてポチポチと入力していく。
『名前、フゥ
年齢、2歳
種族、……』
種族のところで隣のホチネを見ると魔法石に魔力を込めタブレットに入力していた。
『……ですよね』
俺はホチネにバカにされないように魔法石に魔力を込めてタブレットの空欄を埋めていく。
「出来た?」
ホチネは横から覗いて来た。
最初から魔法石を使っていたように、
「余裕!」
そう答える。
『俺の種族『?』になってるけど大丈夫なの?』
タブレットを受付に返す。
「……少々お待ち下さい」
後ろの席にいる上司らしい人に相談に行った。
その上司らしい人はタブレットとこちらをチラチラ見るとこちらに来る。
「あの?少々お話し聞きたいので奥の部屋に来ていただけますか?」
俺達二人はその男性に奥の部屋へと通されて質問を受けることになった。




