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2話 出会いと運命①(本編8話裏話)

 城下町の南門前に止まった馬車からサラは優雅さの欠片もなく飛び降りると、髪を振り乱しながらキョロキョロと辺りを見回した。


 ここらへんにいるはずなんだけど…


『今日』の『この時間』に『この場所』で『目的の人物』と出会う。

 その目的の為に、急いで家を飛び出して来た。

 会えなかったら『後悔』なんて生ぬるい。

 きっと自分で自分の死を。やり直しを望むであろう。前世でもゲーム内のサラは何度もそうしてきた。

 でもこの世界はすでにゲームではないからやり直しなんて出来ない。だからこそ絶対に会わなくてはいけないのだ。『あの人』に。

 

 もしかしたらもう場所を移動してしまったかもしれない。


 南門前で何度も街中を目を凝らして見渡すが目的の人物はいない。

 暫くそうしていたサラの目の端に、王都を囲む壁沿いにある森の中に青銀の髪が微かに映った気がした。

 見間違いかもしれない。森の奥までは距離があり、ここからでは見えるはずがないのだから。

 けれどサラは『彼女』こそがサラの捜し求めていた人だと確信していた。


 多分あれだ!!!!


「お嬢様!?どちらに!?」


 目的の人物を見つけたサラは御者の言葉も耳に届かず、街の中央ではなく壁沿いの森の中に向かってスカートを両手でたくし上げて目的の人物に向かって真っ直ぐ走る。

 ヒールのまま走るなんてはしたない行為、普段はしない男爵令嬢であるが今は時間との勝負で。慣れ親しんだ靴は勢いを殺さずに走れた。


 かなりの距離がある為、早々に近付けるわけはなく、途中木によって姿が見えなくなる。

 それでも勘でサラは走った。



 見つけた!!

 いち…に…さん…し…ご…5人!


 勘は当たり、目的の人物がなんとか見える位置にまで近付けた。

 走りながらも遠目に見える『彼女』を取り巻く男達の数を確認し、周囲に視線を巡らせる。

 辺りに人影は、ない。

 南門からもかなり離れてしまったから、そちらから見られることもないだろう。

 今からサラがやろうとしている事は、誰にも見られてはいけない事だからこそ、慎重に、本当に他に人はいないか確認する。

 

 よし。誰もいない!大丈夫!!

 この世界じゃやったことはないけど、きっと大丈夫!


 今からやろうと思っていることは、『深窓の令嬢』とはほど遠い。

 けれど『前世のサラ』には日常茶飯事だった行動で…


 サラは男達に近付いても走る速度を落とさず…


 その勢いのままジャンプし、集団の一番後ろにいる男の背中目掛けて揃えた両足で蹴りつけた。


「るぁあアアアアア!!」


『深窓の令嬢』とは180度かけ離れた雄叫びを上げて。


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