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「あっの女がS級?あり得ないわよ!?」
ピリピリとした険悪な雰囲気のなか済ませた食事から個室に戻った後も、リリスの気はまったく収まらないようだった。
いや、食堂車では黙っていた分座席に戻って爆発した感じだ。
「あは、すごいよね。まだ若いのにS級とか」
あはは、ははとカティは渇いた笑いを洩らす。
「ふんっ、金と男と使ってのだけどね」
『・・・確かに弱くはなかったけどあのステータスならリリスの方が強いくらいだよな。ってかあれでS級なれんならリリスもなれんじゃね?』
「・・・だって!」
いいこと言った!とカティは祐樹の言葉をそのままリリスに伝えた。
これで少しは機嫌直してくれるかと。
「確かに全体的な能力なら私の方が上だけど。ダメなのよ」
「・・・リリス?」
あれ?
落ち込んだ?
「彼女はテイマーとしての腕はB級上位レベルだけど、金と見た目を売りにいつも腕のいいトレーナーと手を組んでるの。だからランクは私より低い魔物でレベルが高いわけ」
「レベル差で負けるってことか」
「そう。それに冒険者ランクは正直それなりのパーティを雇えば私もS級に上がることはできるわよ?けどそれで本選出場してもね。やっぱりちゃんと予選を通過して出場したいじゃない」
そう言ってリリスは肩を竦めた。
「でないとテイマーとしての実力はないのにランクだけで本選出場って陰口叩かれるしね」
「大丈夫ですよ。フラウ頑張るです」
「フラウ~!」
ニコッと笑って握りこぶしを見せたフラウにリリスはガバッと抱きつく。
「そうよ!今回は私にも凄腕のトレーナーが着いてたんだわ」
「従魔もクリスですしね。レベルがちょっとくらい高いからって下のランクのコには負けません!」
『なあ、こうしないか?』
(祐樹?)
『リリスは今回のコロシアムで予選突発する。っていうか優勝狙いだけど。で、予選突発したらその時点でS級試験を受けて晴れてS級になる』
(いいじゃん!)
「なあリリス・・・」
カティはまた祐樹の言葉をそのまま伝える。
「いいわよ。やってやろうじゃない!だけどいいの?S級試験はリーダーとしての資質も問うってことでパーティでの参加になるのよ?」
「もちろん、強力するよ!」
「はい!」
「はいですー」
「フオ!」
カティたちは皆で握りこぶしを上げた。
「・・・ふふ、ありがと。ねえ、」
「ん?」
語尾が小さくて聞こえない。
カティは「なに?」と聞き返した。
「ううん、なんでもないわ」
リリスは軽く首を振って「あの女に目にもの見せてやるわ」と毒づいてみせた。




