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少し12時過ぎてしまいましたが本日4話目です。
カティが休憩所で会った桜のお話です。
片山桜side ???
そこは倉庫というか、工場だった。
長方形の広い部屋。
いや、広いはずの部屋、と、いうべきか。
もしくはもとは広かった部屋。
床いっぱいに置かれた機材やがらくたの山をすべて退ければ。
桜はここを研究室、と呼んでいるし、周りの人間にもそう呼ばせている。
桜は床に直接座り込み、目の前のデカブツに無骨な工具で幾つもの部品を嵌めてみてはまた取り外して違う部品を試している。
デカブツは人によってはロボットというし人によってはメイルというし人によってはアーマーというし人によってはパワードスーツというしオートマタという人もいるが、オートマターー自動人形というのは違うと思う。
何故ならこれは基本自動では動かないから。
だからロボットというのとも違う。
桜の元の世界、桜のいた日本では機動兵器、もしくはパワーアーマーと呼ばれていた。
ただ桜に言わせれば目の前のコレはパワーアーマーではなくそれに似せて作られたオモチャでしかない。
本物のパワーアーマーは一つ。
桜がこの世界に召還された時に装備していた『紅蓮』だけである。
桜がいた日本はこの世界でいう魔力、フォトンエネルギーによって動く機動兵器パワーアーマーを纏いひたすら戦争をする世界だった。
魔物という存在はなく、人と人が争い続ける世界。
救いは桜がいた日本とは似て非なる日本、そこから来た人たちが言っていたような核兵器などの大量破壊兵器がなかったことか。
多少威力があるとはいえ、せいぜい町を一つ二つ壊す程度。
星そのものを破壊するだけの力はなかった。
もしも桜がいた地球にそのようなものが存在したなら、桜がいた星は桜が生まれるよりも前にとっくに滅亡していたと思う。
桜は日本帝国陸軍西部機動部隊の隊員だった。
いつものようにパワーアーマーを纏って、いつものように戦争をしていた。
場所は中国南部、相手はどこだったか。
東アジアかヨーロッパか、あまりにも多くの国やテロリスト、レジスタンスなどと代わる代わる戦争しているからわからなくなってしまった。
桜がわかっているのは敵は誰であれなんであれ命令されれば殲滅する。それだけである。
あの時、味方は劣勢だった。
負け戦である。
敗戦は濃厚で、だけれども撤退命令は出されなかった。
周りを敵部隊に包囲され、じりじりと削られていく戦力。
桜は必死に走って、ひたすらライフルを打ち続けていた。
走って走って走って。
打って打って打って。
砂煙の向こうに敵兵のパワーアーマーが見えた。
自分に向けられた高出力の兵器も。
眩しい光と熱に飲み込まれて、死んだと思っていた時。
「ようこそ、勇者様」
そう言われて知らす閉じていた目を開けると、これまでとは違う別の世界に桜は呼ばれていた。
「桜ちゃん!帰って来たんだったら教えてくれたらいいのに!」
音をたてて研究室のドアが乱暴に開かれる。
入ってきたのは桜と同じ勇者と呼ばれている人間の一人。
17才の高校生、だったらしい。
桜とは別の日本から召還させてきた少女。
木ノ下みのり。
みのりがいた日本は平和で戦争のない国だったらしい。
初めて会ってすぐに親しげに話しかけてきたのにはびっくりした。
「ああ、ごめんごめん。ついこっちが気になってもうて・・・」
「桜ちゃん研究熱心だもんねぇ」
みのりは桜の隣にストンと腰を下ろすと、手に持っていた紙袋を「はい」と桜に寄越した。
「カツサンドだよ!お肉はオーク肉だけどね」
「あんがとさん!ちょうど腹減ってきたとこやわ」
礼を言って、さっそくかぶり付く。
「そういや、ペルージで日本人と会うたで」
「日本人?どこの?」
日本人と一口に言っても、幾つもの違う日本がある。
それを知っているみのりはそう聞いてきた。
「めっちゃ良い人でご飯奢ってくれてん。やからみのりと同じとちゃうかな?」
「ホント?いいなー!あたしも会いたかった!」
「多分また会えると思う。そんな気がする。恩も返さなあかんしな!」
「桜ちゃんの勘は良く当たるもんね!」
ふふ、と笑うみのりの頭を軽く撫でて、桜は自分も笑った。
「それまでみのりのことはウチが守ったるさかい。楽しみにしときや」
「うん。よろしくお願いします」
クスクスとそれぞれ別の日本から来た少女たちはそう言って笑い手をつなぎあった。
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