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ブクマ、評価ありがとうございます。
整備された港を離れるに連れてちょこちょこ魔物の姿を見るようになった。
「フォっ」
「邪魔」
「ちょいさっです」
さくさくと前を歩くテディ、クリス、フラウの三人が狩っていく。
カティは残された死骸を解体してはアイテムボックスに投げ込んでいく。
以外だったのはカエルそっくりの魔物で、鑑定して見ると、
『ポイズントードの肉』火を通せば食べられる。激ウマ。
と出たことだ。
見た目超グロいのに、激ウマ。
昼御飯はこれで決まりだろう。
ウルマの露店で買い込んだ香辛料と片栗粉を使ってから揚げといこうか。
崖のような岩肌をよじ登って小高い場所に出た。
(だいぶ、港からは離れたかな)
『おう』
「向こうがわりと広く空いてるからご飯にしましょうよ」
「はいですー」
「ごはーん」
「フォ、フォー」
「じゃ作るからとりあえずこれ食べといて」
カティはアイテムボックスから休憩所の露店で買った串焼きを三つ取り出してそれぞれに渡した。
串焼きはまだホカホカ温かいままである。
色々実験をしてわかったのだが、カティのアイテムボックスは時間経過がなく、出来立ての料理を入れたらそのままの状態で出すまで保たれる。
コップにいれた飲み物等も溢れたり冷えたりすることもないようだ。
テディにも森で討伐したオーク肉を生で皿に乗せる。
「さて、と」
まずはさっきのポイズントードを捌いて、と。
皮を剥いで毒の袋を取り出す。
ぼこぼこぬるぬるした皮の中から出てきた身は薄いピンク色で鶏肉に近い感じだ。
「醤油が欲しいな」
醤油とにんにくがあればしばらく浸けて下味をつけるのだが。
「まあないものは仕方ないか」
ガチャで出ないかなぁ、なんて。
ガチャレベルを上げていけばその内出るかも知れないが、その時は是非できるだけ容量のあるボトルでお願いしたいものだ。
塩と胡椒、唐辛子に似た香辛料で揉んでとりあえず下味をつけることにする。
(胡椒と適当な香辛料を片栗粉に混ぜて肉にまぶしてっと)
『おい、油忘れてね?』
「……そうか」
(油を温めとかないと)
慌てて鍋に油を入れて調理用の魔方陣を準備した。
ついでに付け合わせ用にアイテムボックスからパンとサチュというトマトに似た実を取り出しておく。
このサチュの実、見た目はトマトで中身は甘味の薄い桃。
それを一センチほどにスライスして器に入れる。
あとはから揚げを揚げて皿に移せば出来上がりだ。
「よし、ご飯に……って皆近い近いっ!」
いつの間にか間近に囲まれていたカティは圧迫感と皆から発せられる妙な熱気に悲鳴を上げた。
(フラウはまたヨダレ垂れてるし!)
これだけはなんとか早めに止めさせないと。
せっかくの美幼女が台無しだ、とカティは心からそう思った。




