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はむはむとチーズのたっぷり乗ったパンを美味しそうに頬張る桜をカティは唖然と口を開けて見つめている。
頭のなかは、
女子高生ってこんなに食べる生き物だったっけ?
っていうかなんで自分は彼女にご飯を奢ってるんだろう?
???だらけである。
ただ単に勢いに流されただけであり、桜が女子高生のなかでも食欲旺盛でありその上お腹がかなり空いていた状態であったというだけのことであるが。
「おいひーい!なあ、あれも食べてええ?」
桜は満足そうにペロリとパンを平らげると、別の露店に並ぶ串焼きを指で指した。
(まだ入るんだ・・・)
すでにパンを二つに肉の刺さった串焼きにイカ焼きに似た焼き物を食べた後である。
カティが何も言えずにただ頷いて銅貨をいくらか渡すと、桜は嬉々とした足取りで露店に向かっている。
「ただいまなのですー」
「お兄ー!」
声に振り向くと、トイレを済ませたフラウとクリスの二人がこちらに走ってくるところだった。
そういえばリリスは?とカティはリリスの姿を探す。
こんな見知らぬ少女に食べ物を奢っているところを見られたら何か言われそうなものなのだが。
(いない?)
休憩所の小屋に入って行ったのだろうか。
「どーん!」
「私もー!」
幼女二人が走ってきた勢いのまま突進してきたのを両足を踏ん張ってなんとか耐える。
「お兄、露店見よう?」
「テディにおみやげを買うです」
テディは町と違い狭い休憩所のなかでは目立つので馬車で残っている。
「ああ、うん」
そう答えて移動仕掛けたところに両手に串焼きを持った桜が戻ってきた。
「はい、おたくも食べなよっ!・・・ん?このコら連れ?」
「お姉さん誰ですか?」
「フラウもそれ食べたいですー!」
「うひゃああん!超可愛いー!可愛いなあ。・・・嬢ちゃんたちお姉さんのとこにおいで。ほら、串焼きあげるよ?」
「誘拐犯か」
フラウはあっさりと串焼きに釣られている。
『こりゃ後でしっかり言い聞かせないとな』
(うん)
「可愛いなあ!こんな可愛いコらに囲まれて幸せやわ」
フラウのピンク頭をなでなでして、桜はご満悦の様子だ。
誘拐犯では無さそうなので放っておく。
「お腹もだいぶ膨らんだわ。ホンマありがとう!」
「ああ、いや、うん」
「このお礼はその内絶対するから!・・・ほんじゃウチそろそろ行かなあかんねん。ホンマ助かったわ!待ち合わせ場所に行くにも腹が減りすぎて動けんかったしな!んじゃまた!」
びしっ!と敬礼して桜はカティたちに背を向けて馬車の並ぶ発着所を方へと走って行った。
だが馬車に乗る気配はなくそのまま休憩所の外へ走って行く。
(いったいなんだったんだ、アレ?)
『さあ、どっかのドジな勇者様、だな』
「あ、勇者だったんだ?」
『ステータスは勇者になってたな。けど詳しくは隠ぺいが強くて読み取れない。わかったのは勇者ってことと名前は嘘じゃないってことくらいか』
ーーガルーダならもっと詳しくわかるかもだけど。
佑樹の言葉にカティはなるほど、と呟いて首を傾げた。
「で?勇者がなんでこんなとこで財布落としてんの?」
『・・・さあ?』
「あのお姉さん誰だったのですか?」
クリスが聞いてくるのに、カティは同じく「さあ?」としか答えられなかた。




