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 会場には熱気と興奮が渦巻いていた。

 こんなに大勢の人が一所に集まっているのを見るのは生まれて初めてではないだろうか。


『や、勇者召喚ときはもっといたんじゃね?』


 余計なことを言わないでほしい。

 アレはカティの中で一生忘れて生きていきたい記憶だ。


(・・・忘れられるわけないけど)



「さて次は商人の皆さまなら是非とも手に入れたい一品!はるか東のダンジョンの下層から見つけ出された新たなる鉱物!ウラン鉱の塊です!」


 派手派手しい真っ赤なタキシードに身を包んだオークショナーが壇上の台の上に掛けられたビロードの布を取り去ると、中から現れたのは拳大の黒い鉱物。


「もちろんこちらにおられる博学なる皆さまならご存知のことと存じますが、こちらの鉱物は非常に魔力伝導力が高く、武具に使用すれば小指ほどの欠片を鉄に混ぜるだけで付与された魔石の魔力をこれまでの数倍、高めることが可能です!しかも効果は半永続的!また使い手によっては直接武具に魔力を流し使用することも可能です!」


 ・・・???よくわからない。

 そう書いてあるカティの顔を見て、リリスが解説してくれる。


「魔剣は知ってるわよね?」

「属性魔法の付与された魔石が埋め込まれた剣、だよね?」


 炎を纏うことができる剣とか。

 氷を纏う剣とかだ。


 知ってるけどカティは見たことはない。

 その辺の町の武器屋には置いていないからだ。

 ものすごく稀少で値段もバカ高い。


『欲しいよな!カッコいいし!』

(一振り金貨数百枚数とかだからね?)


 ツッコミを入れてから、あれ?と思う。

 現在のお財布事情なら。


『買えるじゃん』

(・・・確かに)


 買おうと思えば買えてしまう。

 しかもおそらくは魔剣のなかでも上質で高価なものを。


『買っちゃう?』


 炎を纏う魔剣ーーロマンである。


(・・・悪くないかも?)

『ま、そのうちガチャででるかもだけどなー(笑)』

(なしなしなし!)


 ちょっとお金があるからって贅沢はよくない!

 幼女たちの教育にも悪い。


(まったく。流されないようにしないと)


「そう。魔剣のような所謂魔武器には魔力付与された魔石が埋め込まれているんだけど、鉄なんかの通常の鉱物だと魔力伝導が悪いのよね。比較的良いとされるミスリル鉱石でも発揮されるのは魔石に込められた魔力の二割程度。それがウラン鉱物だと確か、五割を越えるんじゃなかったかしら?」

「・・・へえ?」

「簡単に言うと同じ魔石を使用しても他の材料で作られたものとウラン鉱物を混ぜて作られたものだと付与された魔法の威力や規模が段違いだっていうこと」

『そりゃ武具商人なら誰でも欲しがるわな。確実に高く売れる』


「そのわりには手を挙げてるのは数人だけど?」

「そりゃ高いもの」

「なるほど」


 ウラン鉱物は見るならに金持ちな中年太りの商人が競り落としたようだ。

 その後も次々に珍しく高価な品物が壇上に引き出されては競り落とされていく。


 順番としてはより高価な品物もの後に出て来てるのかな?


「・・・ん?」


 だとすると、まだ出て来ていない『呪いのティアラ』は?


「次は非常に稀少価値の高い、尚且つ宝飾品としての価値の高い一品で御座います!」


 オークショナーがいっそう大きく声を張り上げ、両手を上げて会場を見渡す。


「残念ながら由来はわかっておりませんが、高貴なる血筋に伝わった品であることは間違いないものと思われます。こちらで鑑定したところ使用された宝石は全て一級品!状態も非常に良好なものです!そしてなにより!!大変珍しくかつ少々危険な呪術のかけられた品でもあります!」


 壇上に続く低い階段をドレスを身に付けた女性がゆっくりと上がっていく。

 手には小さな布のかけられた盆。


「どうか皆さまご購入のさいはお気をつけ下さい!こちらの品は持ち主を不幸に貶める呪いがかけられております。だが、しかし、皆さまおわかりでしょう!だからこそ稀少価値の高い品で御座います!美しく禍々しい『呪われたティアラ』!?最低落札価格金貨5000枚からとさせて頂きます!」


(・・・ぶふっ!)


 取り去られたビロードの布の下から現れたのは見覚えのある装飾品。

 カティが預けた『呪いのティアラ』だった。



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