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外壁の中は外から見たよりもずっと広い。
正面から町を見ると外壁によって奥行きが見えない。
その為初めて町を訪れた人は町の横幅だけを見て、小さい町だと認識して、外壁の中に足を踏み入れて驚くのだという。
「フフフ、びっくりしたでしょ?」
してやったり、という表情でリリスが振り向くのに、カティは目を見開いて何度も首肯する。
『こりゃ変わった町だな』
「・・・うん」
「ふわあ、細長ーいのです!」
「フモー!」
「道スッゴク長いね!」
お上りさん丸出しで辺りを見回すカティたち一行を道行く冒険者や道の両側に並ぶ露店の店主たちが笑う。
「お嬢ちゃんたちこの町は初めてかい?」
割烹着に似た白い前掛けを着けたおばさんがフラウに声をかけてきて、フラウは元気に「うんです!」と答えた。
「やっぱりそうかい。初めて来たもんは皆同じような顔をするもんさ!ようこそペルージ第一の町『ウルマ』へ!」
おばさんは恰幅のよい両腕を広げて声を上げる。
同じようにあちこちから「ようこそ!」という声が上がっていた。
「さぁここらは商人街だ!宿街に向かう前にじっくり商品を見てってくれ!」
「珍しい香辛料に砂糖もあるぜ!」
「カシュの実はどうだい?喉が渇いてないか?一口噛めば果汁が滴り落ちてくるぞ!」
活気に満ちた声が店主たちから上がる。
ウルマの町は長い街道の両側にずらりと建物が並ぶ佑樹の記憶にある商店街にそっくりな町だった。
馬車が二台ギリギリですれ違うのがやっとの道が町の中心をまっすぐに奥へと続いている。
いったいどれほど続いているのか、視界のずっと先まで続いていて端は見えない。
「建物も変わってるでしょ?」
「ああ、全部石造りだし一階には窓もないんだな」
二階建ての建物が並ぶ前に露店のテントが並ぶ。
「この町はリュートレートが攻めてきた時に備えて造られてるの。まともな道は一本だけ、横幅が狭いのは数が通れないように。建物は兵士が籠れるように。いざという時は二階の窓から弓や魔法で攻撃するのね」
「町を迂回されたら?」
「難しいわね。両側は林に囲まれてたでしょ?魔物も生息してるし、あの中はもしもの時はトラップだらけになるらしいわ林も迂回するとなると完全に道を外れるから軍が通れる道はないし」
『ずいぶん警戒してるんだな。まあ、あの国ならわからないでもないか』
「ご主人様ー、フラウあれが食べたいです!」
「お兄クリスはあっちが食べたいー」
幼女二人がそれぞれに違う露店を指差してカティのマントを引っ張るのに、カティは苦笑して「ああ、うん」ととりあえず近い方へと向かう。
フラウが欲しがったのは何やら肉の刺さった串焼き。
クリスが欲しがったのはカシュの実。
近いのはカシュの実が売られた露店だ。
2つで銅貨一枚の果実を8個買った。
一人に一つずつ渡して残りはアイテムボックスにしまって後で食後のデザートにすることにする。
「肉もー!肉もー!」
「フモフモー!」
あっという間に平らげたフラウのおねだりにカティは串焼きの並べられた露店へ足を向ける。
商人街を抜けて宿街に差し掛かるまでにカティは食べ過ぎで気持ちが悪くなるほど露店を巡ることになった。




