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お昼を食べたらまた空の旅が続行される。
今度はガルーダも超低空飛行で飛んでくれたのでまだ気分はマシだった。
針葉樹の頭からわずか1メートル程の距離でずっと平行して飛んでいる。
木々で隠れほとんど地面が見えないので、視覚的にはそれほど高い気がしない。
こんなん出来るなら最初からやっといてくれよってな話だけど。
ただし低い分空中の魔物との遭遇率は上がるみたいだ。
ガルーダの気配にほとんどの魔物は隠れているか逃げるかしているようだが中には気配の読めない魔物もいる。
6羽の赤い巨大蜂が突然緑の針の隙間から飛び出てきて、カティは肝を冷やした。
が、さすが神獣ということかパカッとガルーダが嘴を開いたかと思うとレーザービームみたいな光線が発射され巨大蜂を一蹴する。
『おお、ビームだ!ビーム!』
なんか神獣というより怪鳥だな。
どっちにしろ有難い。
ガルーダに乗ったまま戦闘しろってのは、ムリだ。
うん。
ビームを発射した時の揺れが気持ち悪い。
三時間程もそうして時おり魔物をガルーダが討伐、というか殲滅しながら森の上を飛ぶ。
「そろそろ今日の寝床を探さないとね」
明るい内にどこか開けた場所なりを探した方がいいとリリスが提案する。
『ブルーバードの出番か?』
(けど魔物に襲われたりしないかな)
確かにカティたちが足で探し歩くよりも効率はいいのだろうが。
魔物に見つかったらすぐに食べられてしまいそうな気がする。
『周りの森に擬態しといたら大丈夫なんじゃね?』
木にぶつからないように地に降り、カティのマントの中に潜り込んでいたブルーバードを外に出す。
「えっと・・・、野営に良さそうな場所探しに行けるか?」
聞いてみるとクルクルカティの頭上を回り、一声ピイッ!と鳴いて木々の中に消えていく。
見ていると木に溶け込むように身体の色が変化していた。
「こっちも行くわよ」
「移動して大丈夫かな?」
ブルーバードが去っていった方を気にしながら言うのにリリスは「ああ見えても魔物なんだから主人の魔力を頼りに戻れるわよ」とにべもない。
そんなものかと思いつつ、リリスの後について歩き出す。
まったく代わり映えのない景色に少し飽きてきた頃。
何処からかピイッ!と鳴き声がした。
「・・・?」
見渡しても姿は見えない。
「ステータスウインドウを確認して見て」
「ああうん・・・ん?」
〈配下から情報があります〉
タッチすると目の前に透明のパネルが現れて、周りとよく似た森の景色が写し出された。
違うのは、ここよりは少し開けた場所であることと、地面に長方形の穴が開いていることか。
近づいていっているらしく、だんだん穴が鮮明になっていく。
「これって・・・」
『おお』
「・・・ダンジョン?」
穴の先には確かに階段らしき段差が続いていた。




