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 町に着くなりさっそくギルドに向かう。


 昼は過ぎ、夕方には少し早いという時間。

 朝と比べるとやはり人の数は少ない。

 カウンターに並んでいる人数も二組で、すぐにカティたちの順番になった。


「クエストの達成報告ですね。リーダー様のギルドカードをお預かりします。・・・え?今朝?ーずいぶん早く終わらせていただいたんですね」


 受付嬢は朝とは別の人物だった。

 ギルド職員にしては若い。これまでが何故かおばちゃ・・・いや熟成したお姉さんだったからか、スゴく新鮮な気がして良い。

 佑樹の読んでいたラノベやゲームの影響か、受付には若い美人さんに居てほしいとかつい思ってしまう。エルフの受付嬢とかどっかにいないかな。

 朝の騒ぎの時にはいなかったのか、クエスト依頼の書類とカティの顔、ギルドカードの交互に見返しては戸惑いを顔に浮かべた。

 目が合ってカティは苦笑いする。


「すみませんっ。確かに確認させていただきました。カティ様は討伐ポイントはすでにDランクまで達成してますので、Cランク以上で4回、以下のもので14回、クエストを受けていただければDランクに昇格できます!」

「わかりました」


 カティが頷いてみせると、受付嬢は少し落ち着きを取り戻したようで、ほっとした風に息を吐いて「それではこちらが報酬になります。お確かめ下さい」と、金貨の乗ったトレーをカウンターに置いた。


「オーク及びオークジェネラルの討伐で金貨20枚になります。通常の討伐依頼ですので魔物の素材等はそのままカティ様の方でお納め下さい。このままお売りいただく場合は買取金額を2割上乗せとさせていただきます」


 クエストの報酬というのは基本それほど高くはない。真実命懸けの仕事であるわりにはむしろ安いだろう。

 ランクが上がる程、依頼が難しくなるのだから当然報酬額も上がるが、それでも通常Bランクの依頼を達成するまでにかかる経費や必要な人数を考えれば下手をすると赤字になる場合すらある。

 実際今回カティたちが討伐したオークジェネラルも通常ならBランクやCランクの冒険者パーティーが複数で受けるような依頼なので、金貨20枚を10人前後で分けることになる。

 命懸けで魔物を討伐して、報酬が一人金貨2枚。日本円だと2万円である。

 その代わりに、依頼で討伐した魔物の素材は全て冒険者のものになり提出義務はなく、また依頼を受けたギルドで買い取りを行った場合は受付嬢が言ったように1割から2割の上乗せがある為、冒険者はそちらで利益を得る。


「肉だけ残してそれ以外は全て買い取りをお願いします」

「かしこまりました。では量が多くなりますので、隣の倉庫で確認させていただきます」


 受付嬢に案内され、一旦ギルドの外に出る。

 隣に併設された倉庫の一つに入っていくと、大柄な男が一人魔物の皮や爪等を棚に片付けているところだった。


「モルドさん、お願いします」

「おう、兄さんたちそこに出しといてくれ」


 言われるままカティはアイテムボックスからオークの素材を床に出していく。


「ほう、アイテムボックスか。見た目のわりにヤるみたいだな」


 そう言いながらもそれ以上詮索することはなく、モルドと呼ばれた男は丁寧な手付きで素材を確認していく。


「ずいぶんものによって傷みに差があるな。こっちの素材に傷の少ない分は金貨5枚、傷の多い分は金貨2枚といったところだ」


 皮に傷のほとんどないのはテディやフラウがほぼ一撃で首から上を破壊した3体、傷のある分はシルバーウルフが倒した2体。


「爪は全部キレイな状態か、5体で金貨7枚っと・・・」


 手元の用紙に書き込んでいきながら、次々手にしては金額を出していく。


「お、オークジェネラルか。皮は少し細かい傷はあるが、加工すればわからん程度。頭部は・・・牙も目玉も無事、牙が金貨10枚と眼球が金貨30枚だな」

「オークジェネラルの眼球ってそんなに高く売れるんですか?」


 思わずカティは口を挟んでしまっていた。

 武器等の素材になる牙や爪よりも何に使えるのか不明な眼球が高いというのが不思議だったのだ。


「ああ、ジェネラルオークの眼球は乾燥させて加工すればハゲ防止のいい薬になるらしくてな。貴族がこぞって買いにくるんだとよ」

「なるほど」


 本当によく効くなら金持ちオヤジは多少高くても買うだろう。


 

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