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肉を焼いている間にフラウたちが戻って来たのでアイテムボックスから弁当を取り出して並べた。
弁当といっても日本でよくあるようなご飯とオカズといったものではなく、野菜たっぷりのサンドイッチにソーセージ、チーズ、玉子焼き(?)に別の水筒に入れられたスープだ。
スープは入れたて同様で温かい湯気が立ち上っている。
『そういやサンドイッチはこっちでもサンドイッチなんだな』
(ん?うん)
『ホッホッ、そうだの。この世界の食べ物はもともとこちらにあった言い方のものと過去の召喚者たちによって持ち込まれたものが混在しておるのじゃよ』
ガルーダの声が頭の中で説明を始める。
『なるほどサンドイッチだのパンだの米だのって呼び名は召喚者が持ち込んだってわけか。しかしこの世界は地球のってか日本人の召喚者ばっかしなのか?』
『数が多いのは確かじゃ、繋がりやすいということかの。じゃが他の世界からの召喚者も過去にはある』
『へえ?』
頭の中で佑樹とガルーダが話し込んでいるのを聞きながらカティはフライパンの肉を交換して焼けたものは一口台に切っていく。
「こら全部焼けてからだって」
待ちきれないテディがつまもうとするのを叱って、それにお前のはこっち。と横に置いた生のオーク肉を指し示した。
しょぼんとしたテディを尻目に肉を裏返す。
頭の中では佑樹とガルーダの話が続いている。
『エルフの先祖がそうじゃ。精霊や妖精はもともとこちらにいた者たち。エルフは別の世界から来た勇者が始祖。小人族もそうじゃ』
『小人が勇者だったのか 』
『うむ。力は弱かったが非常に勇敢でとにかく動きが速く、器用であったようじゃ。今でも細かい道具造りに於いては小人族に勝る者はおらん』
(あのお話し中なんですが、ご飯の準備できたんで)
『おっ、メシメシ!結構いい匂いしてんじゃん』
(ガルーダはどうします?)
実は今の今までガルーダに確認することを失念していた。
いや、リリスの従魔たちと同じで良いのかと思っていたが、一応聞いておいた方がいい気がしてきた。
『ほっ、ようやくか。そうじゃのうわしは実のところ空気中の魔力を吸収するだけでも充分なんじゃが。確かに良い匂いがするし頂こうかの』
はいはいってことでカティは皆に先に食べるように言って、新たな肉を焼いていく。今度は味付けを変えて塩胡椒でシンプルに。
かわりにアイテムボックスから小皿を取り出すと、それに七味っぽい味のした香辛料を乗せた。
フラウはちゃんと「いただきます」と手を合わせ、テディにも教えている。
うん、いいことだ。
リリスはそんな二人の様子に首を傾げている。
『あとでリリスにもちゃんと教えなきゃな』
カティたちのパーティーに入ったからには「いただきます」と「ごちそうさま」は必須だ。
食事が済み次第その場を離れ、帰路を急ぐ。
カティとしては町に戻ったら水浴びをして(リリスの魔法で血や埃は取れているがそれはそれ。やはりちゃんと水浴びもしたい)あとはゆっくり休みたいものだが、リリスと佑樹はまずギルド、その後は買い物だと言う。
オークとの戦闘の結果、カティが弱すぎ、ということで二人の意見が一致したらしい。
酷い言い様だが、ジェネラルオークに行った攻撃のショボさを考えると無理もないのだろうか。
レベル上げはクエストをどんどん受けて進めていくとして、リリスが言うには装備も足りないとか。
ちなみにリリスはいつもブラウスにひらひらスカートやワンピースだが素材は魔法防御や火、冷気の耐性に長けた繊維が使われている上、なによりリリスには魔法障壁というスキルがある。
リリスの魔力が尽きない限り身体の周囲に自動的に張り巡らされる透明な壁だ。フラウレベルの攻撃でもない限りリリスが怪我を負うことはない。
とんだチートスキルである。
ひとまず防具だけでも充実させるべき、なのだそうで。
(いったいいくらかかるんだか・・・)
ショボすぎるカティの防御力を補うだけの防具となると、値段は当然それなりにするはずで。
一応ダンジョンでの収穫を換金した金貨70枚(ダンジョンボスが金貨45枚、その他合わせて70枚だった)今回のクエストの報酬の半分。オークの素材は全てカティの側に譲るとリリスは言ってくれている。
なので、それなりに懐は潤うはずだが。
(リリスは自分の装備からして妥協しなさそうだし・・・)
佑樹もあまり金に頓着はしない。
なんかこのパーティーもしかしてスッゴい恐ろしい金の使い方をしそうだと、もともとが貧乏な村人のカティはゾッと背筋が凍る思いに身を震わせながら帰路を歩いた。




