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『このリリスじゃがテイムのスキルは持っとるのに魔物の育成が壊滅的にヘタなんじゃよ』

「・・・は?」

『いやそれはもうひどくての。時には元々のレベルよりも下がる始末』

「ガルーダっ!」


 リリスが思わずというように声を上げてカティと目が合うとふてくされた様子で下を向いた。

 僅かに頬が染まっている。


『育成のできる人間を探してはパーティーを組むのじゃが、なにぶん頑固者じゃし他人となかなか上手くやれん。わしも普通の人間の前にはそうそう出れんしの。ここ数年はずっとボッチ状態での』

「はあ」

『ボッチか、そりゃお気の毒』

『そこにそのお嬢ちゃんを昼に見かけたところ敏腕モンスタートレーナーのスキルを持っておる上に、卵から孵りし配下じゃ。そんなもんを配下に出来るスキルを持つのは異世界の勇者くらい。こりゃちょうどいいと思うてわしがリリスにパーティーに入れてもらうように言うたのじゃよ』


 勇者相手なら神獣と呼ばれるガルーダでも表に出ることも出来ると。


『わしが神獣ガルーダじゃと知ればどうしてもリリスを利用しようとする人間が出てくる。おかげでわしはずーっと異空間に閉じ籠りっぱなしじゃわ』


『なるほどね、けどダンジョンでは出てこなかったよな』

『ダンジョンにはわしは行かんかったんじゃよ。さして危険もない規模のものじゃしな。ダンジョンちゅーのは狭くて好かん』


 佑樹に対しては声に出さずに頭に直接答えが返ってくる。


『どうじゃ、見たところおぬしらもちーと訳ありの様子。それなりに役にも立つじゃろうし仲間に入れてやってくれんか。なんならお試しで三か月、その後はまた要相談ということで』


『うーん・・・』

(どうする?)

『ヘタに断って俺らのことを他人に言いふらされても事だしな』

(でも、それはお互い様なんじゃ)


 神獣ガルーダがついているのなれば勇者と言ってもまだレベルの低いカティたちよりもリリスの方がよほど騒ぎになりそうなものだ。


「お願い!」


 唐突にリリスはがばりと頭を下げた。


「・・・へ?」

「お願いします。三ヶ月だけ、あたしをパーティーに入れて!それで一緒にゴルディアの都に行って下さい!」

「ゴルディア?」

「そうゴルディア。三ヶ月後にゴルディアの都でモンスターコロシアムが開催されるの!あたし今年こそ予選突破したいの!」


 リリスが言うには、ペルージから海を渡って西の大陸にあるゴルディアの都で二年に一度世界各地からテイマーやトレーナーが集まり自慢の従魔を競わせ合う催しがあるらしく、一般にはさほど知られていないがテイマーにとっては一大イベントなのだそうな。

 リリスも過去に二度出場しているが、育成のヘタさが仇となって予選敗退している。


「あたしのよりランクの低い魔物なのにレベル差で負けるのよ!悔しいったらないわよ!」


 つまり元の魔物のランクはリリスの方が高いが、上手く育成出来ていないリリスの魔物よりも育成のしっかりされた低ランクのの魔物の方が強いと。レベル1のゴブリンよりレベル20のスライムの方が強いとかそんな感じだろうか?


「テイマーとしての能力はあたしの方が上なのに、なのに全然勝てないの」

「う、うーん・・・」


『面白そうじゃん、モンスターコロシアム』

(言うと思った)


「迷惑はかけないようにするし、ちゃんと協力もするからお願いします」

「へ?・・・えーと、ちなみにコロシアム本選出場したら何か賞品とか、その、あるのかな」


 頭の中で佑樹が聞けた言うので聞いてみたが、なんとなく聞きづらいし情けないような恥ずかしいようなで顔が赤くなる。


「本選出場でマジックバック(中)だったと思うけど。優勝すれば体力自動回復(中)の祈りの腕輪と金貨50枚、あとゴルディアのカジノのメダル500枚。あたしとその子が手を組めば充分優勝も狙えると思うわ」


『手を組もう!』

『ほほう。もしやおぬしもカジノ好きか?』

『おうよ!』

(・・・おい)

『まあまあ、わしもフォローするから、なんとか頼む』


 神獣にまで頭を下げられてはさすがに断りづらい。


『なんなら三ヶ月と言わず一生でも良いのじゃぞ?見た目は悪くないし素直なところもある。嫁にしても悪くはないと思うのお。なにより胸はないがああ見えてなかなか良い尻を』

(わかりました!わかりましたから?!)


 もう結構です!とカティはガルーダを遮った。


『なんじゃあウブなのか?もしや童貞か?』


 まだガルーダはぶつぶつ言っているが、カティは無視する。


「・・・ねぇ、だめ?」


 頭の中の会話を知らないリリスの上目遣いに、あ、ちょっと可愛いかも、とか思ってしまった。

 顔が赤くなりそうで反らした視線がついリリスのお尻に向いてしまいそうで慌ててそこからも目を反らした。


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