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ぎゅるるるる・・・。
腹の虫が鳴る音に、カティはベットから身を起こした。
ダンジョンから宿に戻ってからずっとベットでごろごろしていたため、筋肉が強ばって節々が痛む。
凝り固まった首をコキコキ左右に傾けてほぐし、下履きに足を入れてベットの脇にある小机の水差しの水をコップに注ぐ。
コップを手に部屋に一つだけある小さな窓のカーテンを開き、外を見ると、すでに日は落ちた後だった。
(フラウはまだ帰ってないのかな?)
『下にいるのかも知れないぜ?』
暗くなってもまだ帰っていないのだとしたら後で叱らなくてはならない。
町の外には出ないように言ってあるし、フラウの強さなら人さらいに合う心配もまずないが、やはり子供は暗くなる前に家に(ここは宿だが)帰るものだと思う。
だが食堂に降りたカティは心配が無用だったことを知った。
はじっこのカウンター席に座り何やら白い飲み物を飲むフラウをすぐに見つけたからだ。
「あっ!お兄ちゃんっ」
フラウもまたカティに気づいて足をぱたぱたさせながら声を上げた。さすがにご主人さま呼びはいらぬ憶測や疑惑を生みそうなので人前ではお兄ちゃんと呼ばせている。
実の兄妹には見えないだろうが、案外周りは勝手に親のいない子供たちが身を寄せあっているものと納得しているようで、特に突っ込まれたりは今のところない。
「こんばんはカティさん。昨夜はずいぶん遅くにお帰りだったみたいですけど、それにしてもごろごろしすぎじゃないですか?」
サービスです。とフラウが座るカウンターの隣にスープの入ったカップを置いて、宿屋の看板娘が軽くカティをにらみつける。
小さい子をほったらかしにして、と叱られながらもカティの目線はつい看板娘、ミリーと言ったか、の胸元に向かってしまう。
ミリーは14、5才の働き者の少女なのだが、はっきり言って結構な巨乳である。
佑樹が言うには地球で言うFカップくらいはあるんじゃないか?とのこと。
つい見てしまうのは健全な男子なら致し方ないと思う。
他の客たちもよくチラ見してるし。
「すみません」
カティとしても落ち度は自覚しているので素直に謝っておく。
フラウの分も合わせて夕食を頼み、食事を済ませた。
部屋に戻ってまずはステータスの確認をすることにした。
昨夜は宿に戻ってそのまま寝てしまったので確認出来ていない。
フラウが大漁に、しかもダンジョンボスなど比較的高ランクの魔物を討伐しているので、どのくらい上がっているか楽しみではある。
もっともカティはそれほど魔物を討伐していない上、フラウが5階層へ来るまでやダンジョンボスについては行動をともにしていないのでそれほど期待は出来ない。
フラウとの差は開くばかりである。
テディは部屋へ入れられないのでまた次にして、まずはカティから確認する。
[レベル] 6
[体力] 92
[魔力] 520
[攻撃力] 110
[防御力] 85
[俊敏性] 95
[スキル] 毒耐性(小)〈レベル1〉
[魔法] カマイタチ〈レベル2〉 ファイア〈レベル1〉
変化があったのは以上だ。
魔力は相変わらす上がりやすいようで、あと攻撃力が上がってるのは魔法が増えたのとカマイタチのレベルが上がったからだろうか。
あと一つラッキーだったのは配下の稼いだ討伐ポイントはそのままガチャのポイントになるらしくガチャポイントが120まで増えていた。
ステータス確認が終わり次第ガチャることにして、フラウの確認に移る。
そうして出したフラウのステータスウインドウにはもはや呆れるしかない数値が並んでいた。




