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「とにかく!あたしはもうそのコに用はないの!」

「でも、一度はテイムして従魔にしたんでしょう?だったら一応責任はあるんじゃ・・・」


 テイムとは魔物を従わせ配下にするスキルだ。

 ダンジョンハンターや騎獣商のごく一部が稀に習得するもので、そのスキル持ちというだけでどこでも重宝され一生食いっぱぐれることはない。

 誰しもが欲しがるスキルの一つである。

 テイムのスキルを持つ冒険者をテイマーとも呼び、テイマーがテイムした魔物を従魔と呼ぶ。

 もちろんどんな魔物も無条件にテイムできるわけではなく、テイムするには魔物に自分の方が上だと認めさせ、契約しなければならない。

 中には魅了のスキルを合わせ持つテイマーもいて、戦わず魅了してテイムする方法もあるらしいが、そちらはよりレアだ。

 魔物は人間と違って同志打ちがない。

 魔物同志が争ったり殺し合ったりということは基本的にはなく、唯一の例外がテイムされて人間と契約した従魔だ。

 何故かはわかっていない。

 だが、一度でもテイムされて従魔となった魔物は他の魔物に疎まれ襲われる。

 それは主人が従魔を解放しても変わらず、テディのように戦闘力の弱い魔物を従魔にしておいて解放するというのは、遠回しに処分するということで、あまり褒められた行為とは言えない。

 魔物とは言え、獣魔となった以上人間に危害を加えることはないからだ。


「知らないわよ。別に禁止されてるわけでもないし、所詮魔物でしょ」

「・・・フオーん」

「なによ!そんな切なげな声出さないでよ!」


 プイっと顔を背け、少女はもう知らないとばかりに歩き出す。

 それでも完全に無視仕切れていないのは少しは罪悪感があるからだろうか。


「待って下さいです。テディさん置いてっちゃうですか?」

「ええ、置いていくわよ。もちろん!」

「でもでもテディさんは困るって言ってますですー」

「ああもう!何なのよ、そのコ。そもそもなんで子供がダンジョンにいるわけ?」


 無視もできず、まして子供に引き止められては罪悪感もいや増すのか、少女は苛立ちを隠さずに振り向くとカティを睨み付けた。


「いや、その・・・」

「フラウはご主人さまの配下なのです!」

「はあ?奴隷、ではないわよね。首輪してないもの。よく見ると不似合いなもの振り回してるし。従魔?でも人型を取れる魔物なんてこんな子供にテイムできるわけ・・・」

「フラウは魔物ではなく獣人族なのです!」

「ああ、獣人族なら力は人間よりは全然あるか・・・。でも」

「あ、あのとにかく今はこの魔物をどうするか、ですよね?ホントにもう連れて帰るつもりはないんですか?」


 フラウについてはあまり突っ込まれても困るので、カティは強引に話をテディさん?の方に戻した。


「ないわよ!・・・そうよ、可哀想だと思うんならこのコあんたにあげるわ」

「は?」

「契約を譲渡してあげるって言ってるの。駆け出しの冒険者が従魔なんてなかなか持てないわよ。嬉しいでしょ?」

「や、でも」


(可愛いだけで役に立たないとか言ってたのに)

『体のいい厄介払いっていうか、押し付ける気だな』


「なによ?いやなの?だったらあたしに文句言える立場じゃないわよね。自分はいらないけど他人には捨てるなっての?」

「いや、でもテイムしたんでしょう?」

「したからなによ?別にテイムしたから自分の従魔にしなきゃならないなんて法はないわよ。ま、いらないならいらないで構わないけど?」

「ご主人さまぁ」


 フラウまで期待に満ちた目を向けてきて、カティはうっ、とつまってしまった。


『こうなったらもらってみるか?』

(は?)

『今は役に立たなくても、スキルを譲渡していけばそれなりに使えるかもしれないからな。それに魅了のスキルは欲しい』

(魅了?)

『ああ、このテディベアのスキルにあるんだよ。こいつに魅了させておいてその隙に魔物を討伐すれば楽に倒せるだろ』


「どうするのよ。いらないならあたしはもう行くわよ。引き止めてももう無駄だからね」


 つんと顎を上げていい放つ少女の姿に、カティは諦めの息をつき「わかりました」と口を開いた。


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