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 幻想的な風景だった。

 一面の水晶は内側からきらきらと光っていて、その光りをまた別の水晶が反射している。

 足下の地面も平らな水晶に覆われ歩くたびにカツカツと音を立てた。


「きらきらですー」

「フラウ!あんまり一人で離れちゃ駄目だ」


 浮かれて走り出すフラウを慌ててカティは引き止める。

 フラウももちろん心配だが、置いていかれる自分も心配という複雑な心境だ。


「はーい、ごめんなさいです」


 とことこと戻りかけたフラウの白い何がが横切る。


「『切り裂け!』」


 反射的にキーを唱えたカティのカマイタチに切り裂かれたのは青大将くらいの小さな白い蛇。


『ホワイトサーペント。レベル3、麻痺毒を持ってるぞ。周りに紛れて気付き憎いから気を付けろ』


 確かに、ホワイトサーペントは周りの水晶の光りに紛れてかなり側に来ないと見つけ憎い。


「・・・ん?」


 ホワイトサーペントが消えた辺りにそれだけ赤く光る何かが落ちている。

 小さなルビーの欠片のような石。


『お、ホワイトサーペントの核だよそれ』

「へぇ・・・」


 指でつまみあげると石の中は透明で向こうが透けて見えた。


「単に宝石としても使えそうだな」


 綺麗だし、アクセサリーにしても良さそうだ、とカティは思う。

 魔石だからこの大きさでもかなり高価なアクセサリーになるんだろうけど。


『あと一つ報告。レベルが5になりました」

「やった!」

『魔力がまたあがったからもう一つくらい魔法を造れそうだ。ここを出るまでにどんなのがいいかそっちも考えといてくれよ。参考にするから』

「分かった」


 カティは頷いてホワイトサーペントの核を銀貨を入れている袋に一緒に入れ、鞄にしまった。



 水晶の洞窟を進んでいると、道が二股に別れていた。

 向かって右手は二メートル程の広さ、左手は人一人がギリギリ通れる程度と狭い。


「・・・ご主人さま、声がします」

「声?」

「はい、左手の道から。女の人の声です。なんだか逃げようとしてるみたいです。こっちに来るなって何かに言ってます」


 何か、とはやはり魔物だろうか。

 誰か女の人が魔物に襲われてる?


『行ってみるか?』


 正直、カティとしては遠慮したい気持ちもあるが。


「気づいた以上ほっとく訳にもいかないか」


 仕方がない、とカティは狭い道を進むことにした。

 フラウが先に行き、その後をカティが進む。

 子供を盾に使うみたいで複雑だが、防御もフラウの方が高く、攻撃も近距離向けだ。

 フラウが前衛、カティが後ろで魔法でフォローする。

 それが佑樹の立てた作戦。

 逃げてくる冒険者だろう女の人をフラウが保護して後ろに回す。

 小さいフラウだからこそ邪魔にならずに女の人を後ろに逃がせるのだ。これがカティなら女の人の背後から攻撃しなければならない。その後は可能な限りカティの魔法で魔物を倒す。

 ダンジョンに挑む程の冒険者が追い詰められる魔物だから、厳しい場合はフラウの出番だ。


『逃げてる人間が捕まる前に行かないとな。急げよ』

「ああ」


 とは言えカティたちも身の回りには気を付けなければいけない。

 急ぐあまり足下が疎かになってホワイトサーペントに気付かず噛まれでもしたら事だからだ。


 時折現れるホワイトサーペントをカマイタチで倒しながら小走りで五分程走った頃。


「ちくしょう、来るなってば!」


 そういう女の人の声と、走ってくる足音が聞こえてきた。


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