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小さい子どもがスカートを揺らしてスキップしている姿はなんだがほっこりしてしまうものだ。
それがついさっき全財産のほとんどを使い果たしたばかりだとしても。
宿屋の支払いを食事込みでしておいて良かった。
カティはそう思って胸を撫で下ろす。
つい衝動買いしてしまったが、とりあえず3日間は寝ると食うには困らない。
おかげで金を作る為にも早急なダンジョン探索が決定付けられてしまったけれども。
(まあ、ギルドに登録も済んだし、簡単なクエストをこなしたりもすればなんとかなるかな。フラウは喜んでるし)
武器屋の店主にはろくに扱えもしないものを大枚はたいて買うのかと呆れた目を向けられたが。
フラウは武器屋を出てからずっとスキップで上機嫌だし、レベルが高く腕力も魔力も高いフラウなら練習すればそれなりに使いこなせるだろうし、守ってもらう側としても、いい武器を持っておいてもらって損はない。
『ああ、フラウなら扱えるだろ。喜んでるしな。やるじゃないかロリ・・・』
(違う!べつにそうじゃないから)
違う!
違う、はずだ。
フラウは確かに可愛いが、それは小さい子どもが慕ってくれるのが単純に嬉しいというのもあって。
証拠に初恋の人は近所のちょっと大人びたお姉さんだ。
ダンジョンはヤルジの町から西に少し歩いた林の中にぽっかりと開いた小さな洞窟のようだった。
何人かの冒険者たちが出入りしている中を目立ちないようにこそこそと進むが、やはりカティたちを見かけた冒険者たちは一様に驚いたような呆れたような顔で顔を見合わせる。
声を掛けられる前にと、急ぎ足で洞窟の入り口にいる冒険者たちの脇をすり抜けダンジョンの中に入る。
ダンジョンの中に入るとすぐに下へと続く短い階段があり、それを降りるとまっすぐな一本道があった。
周りの壁はびっしり緑色のこけが蔓延り、それがほんのりと光りを放っている。
そのため中はわりと明るくて、視界には困らずにすみそうだ。
道には今のところ他に人の姿も魔物の姿もない。
カティはアイテムボックスから蛇咬剣を取り出してフラウに渡した。
カティが両手で持ってもズシリと重いそれをフラウは片手でブラブラさせながら軽く振ってみせる。
「いい感じなのです」
「それは良かった」
道をまっすぐに進むと曲がり角に差し掛かる。
角の先から魔物らしい気配がして、カティは気を引き締めた。
『打ち合わせどおりに行くぞ。敵の鑑定とスキルの発動はこっちでするから、お前は戦闘に集中しろ。フラウはしばらくは援護のみ。ヤバくなった時だけ手を出してくれ』
「はいですー!」
「頼むよ」
カティとしては情けないことこの上ないが、出来ればフラウの後ろに隠れていたい。だがそれではスキル強奪が出来ないらしい。
スキルを発動した状態でカティが魔物に止めを差す。
それがスキル強奪の条件。
それにカティ自身のレベル上げもある。
魔物を倒した際の経験値は共に戦闘しているパーティー間なら自身が倒していない魔物の分も加算はされる。だがあくまでもおまけ程度の割り振りで、やはり倒した人間がより多く稼ぐことができるようなのだ。
よし、行くぞ。
気合いを入れ直して角を曲がった視線の先にはこれまで見たことのないスライムらしき魔物がいた。




