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佑樹side
ペルージまでの道のりでガッツリ修行させようという俺の計画は残念ながらガチャの魅力に負けてなしになった。
この世界に召喚されて、カティの身体に魂だけ同居している今の状態だが、まあ、同居人との関係は今のところそれなりに良好だと思う。
ちょっと俺が若干振り回している感はあるが、カティみたいのは一人だとあれこれ考え過ぎたり何をするにも腰が引けてるところがあるからちょうどいいんじゃないかな?
うん。
今の俺たちの状態からして、異常なんだし。
ある程度強引にでもレベル上げはしておくべきだろ。
ま、なんてのは言い訳だけど。
ホントは自分でわかってるんだけどね。
俺はただ、刺激が欲しいんだよ。
喜怒哀楽が薄い。
本来から恐怖したり嫌悪したり嬉しかったりわくわくドキドキしたり、そういうことがほとんどない。
ゼロではないけど、以前の自分自身と比べると雲泥の差。
だからわざと感情を表に出すようにしてる。
恐怖とか嫌悪とかってのは、カティへの影響を考えて出さないけどね。
嬉しいとか楽しいとか驚きとか、そういうのは実はそんなに感じてない時でもわざと感情を声に出すことにしてる。
こういう時はきっとこういう反応をしてこう感じるはずだって。
そう思って、自分を急き立てる。
今俺は嬉しいだろう?
焦ってるだろ?
ふてくされてるだろ?って。
そうでないとどんどん自分がダメになる気がするから。
俺は自分が感情のない人間になりたくないんだ。
と、いうか感情がないとか人間じゃない。
そう思う。
魂だけになったからかな?
俺は人間らしくあることにこだわっている。
このこだわりも感情からくるものだとしたら、今一番はっきりしていて強い感情はこれだ。
これさえもどうでもよくなったら、その時は本当に感情のない人間になった時なんだろう。
それでも完全になにも感じないわけではなくて、刺激を受ければ少しは意識しなくても感情がでる時はあって。
だがら俺は刺激が欲しい。
この世界に来てから一番はっきりとした感情を感じたのはマンガを読んだ時。
あとは御飯の時かな?
カティの身体が受けた感触ってのは俺にもしっかり伝わってくるんだけど、中でも味覚ってのか特にダイレクトにくる感じがする。
だから俺は食べ物にもこだわろうと思う。
これまで食べたものははっきり言って不味かった。
カティに言ったセリフは冗談でもなんでもなく、本気でないなら美味いものを自分で作ってやる気だ。
そうそう、そう言えばギルドで面白いものを見つけた。
カティは人に対して鑑定してないからまだ気付いてない。
初対面では鑑定しとくべきだと思うんたよね。
だってこの世界の人間はそんなに優しくないから。
詐欺とかもステータス鑑定でわかるし。
俺が見つけた面白いもの。
それはドズという男だ。
冒険者で、なかなかステータスが高い。
が、俺が面白いと思うのはドズの称号。
そこにはグルメハンターとあった。




