8話:友人の予言(?)
「だけど、武器を持つのは大切なことだと思うぞ? 万一の時のためにな」
言われてみて、確かにそうだ、と感じる。でも、持ったところで上手く使えるだろうか。まぁ、岳に教えて貰えば問題ないかな。
「んー、まぁ、考えておくよー」
「ふふ。武器屋は開かないが、情報はそれなりに提供していくつもりだ。是非、活用してくれたまえ」
「うわ。瀬音って学校以外にも流通してるんだー」
棒読みで驚いておく。
「まぁな。ふっふっふ。そんな星夜に、占いのサービスだ」
そういうや瀬音は、赤と黒のチェック柄が入った、1枚のカードを取り出した。
「……何それ?」
「タロットだ」
「た、タロットぉ……?」
聞いたことはあるけど、実際にやったことはない。だってなんか、色々ややこしかったりするから。というか、いつの間にそんな物にハマってたの?
瀬音はカードを人差し指と中指の間に挟むと、真剣な顔つきでこう言った。
「不吉な予感がする。猫かぶりには十分気をつけて」
「はぁ……? 猫かぶり……?」
首をかしげる。というか、いきなり不吉な予感なの!? もっといい結果はないの!? てか、猫かぶりって!?
色々ツッコみたい。だけど、何より気になっているのは。
「それ、当たるの?」
カードを指さし、不安げに問う。だって、瀬音って……。
「いーや、デタラメだ」
「やっぱりか! てかなんだそれ!」
瀬音はキシシと笑い、カードを放り投げた。パサリと音を立てて、カードが地に落ちる。裏側には何も描かれてなく、真っ白だった。
……こいつっ、人のことからかいやがってッ……。
何とも言えない不快を感じていると、ポケットに入れたスマホが軽快な着信音を鳴らした。お、メールが来たな-。取り出し、チェックする。
「ん、岳からだー」
『依頼人が来た。すぐ戻ってきて』
本文にはただ短く、そう記載されていた。元々高いテンションが徐々に上がっていく。どうやら、2人目の依頼人のようです……!
「誰? 彼氏か?」
「違う! 仕事仲間! ってか何でそうなんの!?」
てかアンタ岳知ってるじゃん!
本当に、瀬音には困らされるよ。
「じゃぁ僕、帰るね。依頼人が来たみたいだから」
そういって、瀬音に背を向ける。
「ああ。邪魔して悪かったな」
そうは言うが、どこか悪戯心が含まれているのを感じ取る。……アンタ本当嫌がらせ好きだな!!