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【旧版】魔法の世界でテロリズム【更新停止】  作者: 雛星のえ
第3章 / 離島へゾンビ撃滅!
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21話:大量のゾンビ

「……え?」

 頬をピクッと引きつらせ、目を疑う。

 ……今、何が起きたの? 死体だと思った人が突然飛び起きて……それが実際に死体で。え……え、ど、どういう、こと……?

 僕はただ、困惑するしかない。

「星夜!」

 岳の声が、少し離れたところから聞こえる。彼の方を振り向こうとして、首を半分動かしたところで、驚いた。

 先ほどまではいなかった、死体にも似た人間がわらわらと、こちらに向かってきているのだ。何かをつかむかのように手を前に出し、腰を低くし、ゆっくりとした足取りで。彼らは、倒れていた例の白骨化死体と同じく、迷彩服を身に纏っている。恐らく、岳や雅華の元にもたくさんいるのだろう。

「え……ッ、ま、さ、か……」

 顔がどんどん青冷めて、鼓動が大きくなるのを感じる。まぁこういう若干グロテスクなものに耐性はあるから、倒れるってことはないけれど。

「そのまさかだよ、星夜」

 呟き程度だったが、岳の耳は僕の声を拾ったのだろう。彼の返答が聞こえる。

 そして、人のうちの一部が腰辺りから両断され、倒れた。姿を現したのは、赤黒く、大きな鎌を握った岳だった。

「こいつらは全員、大量発生しているゾンビだ」


 やっぱりかー! 信じたくはなかったけれど、白骨化しているのだから、ゾンビと考えるのが妥当だろう。というか、ゾンビじゃなかったら何になるのだろう。死にかけか。いやいやいや。

 ……となると、こいつらを倒せばいいわけなんだねっ!

 僕は意気込むと、腰に巻いたベルトで固定しておいた鞘から、ダガーを勢いよく引き抜いた。瀬音にもらった、大切なもの。腰に下げて持ち歩いておくことにした。

 引き抜いた勢いで、近くにいたゾンビのうち、一体の喉元を切り裂く。そのまま縦下方向へと持ってきて、斜め右下からの攻撃を繰り出す。これで、一体の喉元と体から鮮血が吹き飛び、それは力なく後ろへと倒れ込んだ。

 剣の扱いはよくわからないから、とりあえずがむしゃらに腕を動かして、ゾンビたちの体を切り裂いていく。心臓部を深く突き刺した方が効果はあると思うが、そうすると、引き抜くときに時間がかかると考えたので、やめておいた。


 当のゾンビたちはというと、攻撃してくる様子は全くなく、ただゆっくりとした足取りで、僕の方へ向かってくるだけ。こちらが攻撃をすると、鮮血をまき散らし、力なくその場に倒れ込むというものだった。

 攻撃はしてこないようなので、目の前の攻撃にだけ集中していれば大丈夫だ。だけど、厄介なのは、なんと言ってもその量。倒しても倒しても、いっこうに減る様子はない。

 少し隔てたところに岳がいるはずなのだが、彼の姿はゾンビに埋め尽くされ見えない。それだけ大量にいる、ということなのだろう。

「たぁー!」

 謎のかけ声とともに、ダガーを一薙ぎ。目の前のゾンビ複数の腹部を切り裂き、攻撃する。彼らが力なく倒れると、うっすらとではあるが、鎌を操り、戦っている岳の姿が見えた。

「岳! 大丈夫ー!?」

「まぁ、何とか。先ほどから雅華の姿が見えないけど、星夜とは別の方向から微かに金属音がする。きっと、姿を消して戦っているんだ――ろうッ」

 彼は返答しながら、鎌を振り回し、ゾンビを真っ二つにした。返事しながら攻撃するって、なんかすごいな。

 先ほどの話によると、雅華は幻術で自分の姿を消し、戦っているらしい。幻術ってそういう使い方もあるんだ……なんかもういろいろ便利だな。

 それにしても。3人がかりで戦っても、ゾンビが消える気配はない。これだけ攻撃しても、なかなか倒れないなんて、一体どういうことなんだ……。

 疑問に思いつつ、ダガーを振り回していたとき。


「銃声だ! 2人とも、伏せろ!」


 突如として、岳が叫んだ。

 えッ? と小さく声を漏らし、ダガーを斜め右上へと振り上げたそのとき。

 カキイン! と音を立てて、刃が何かを弾いた。


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