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逃人  作者: 篠原涼
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第一話 はじまり


人はいつ死ぬのか? そんなことは誰にも分からない。 ただ一つ言えることは死ぬまで人は生きねばならないのだ。




「ピッッピピピピッ」という音とともに起きる。カーテンからは眩しい日差しが入ってくる。いつもと変わらない朝だ。

寝ぼけまなこに布団から出て洗面所に向かうと、廊下で母さんが「おはよう」と言ってきた。僕はかすれ声で「おはよう」と返す。

今日もいつもと変わらない一日がはじまった気がした。


顔を洗い、学生服に着替え、朝食を食べて家を出発する。学校に向かう道の途中、うしろから大きな声で「うぉーい」と背中を叩かれた。

振り返るとそこには友人の悟がいた。「今日も寝ぼけた顔をしているな陵介」と続けて言ってくる。

「昨日は録画していた番組を見るのに夜更かししちゃってあんまり寝ていないんだよ」と僕は返した。

そこからはたわいない話をしながら通っている中学校へと向かった。


学校へ着くと、階段を上がり3階の一番端4番目の教室へと向かう。教室に入るとクラスメイト達の話声が耳に入ってきた。

僕はいつものように自分の席に向かい座るとそのまま顔を机に押しつけ寝てしまった。


「陵介! おい、陵介!」という声とともに僕は眠りから覚める。前を向くと担任の先生が来ており、片手には出席簿を持っていた。

どうやら出席の確認をするのに僕を呼んでいたらしい。

「お前、シャキっとしろ! 学校は寝るために来ているんじゃないぞ」と言われ、僕は「すいません...」と答えた。


出席の確認が終わり、一限目は体育の時間だ。朝から寒いのに着替えて向かうなんて面倒くさいと思っていると、悟が僕の机に向かってくる。

机の前に来ると悟は「そういえば今日隣のクラスに転校生がきたらしいぞ」と言った。

僕は「へー 女の子?男の子?」と返す。

「女の子だって。 なんでも帰国子女らしいぜ!こんな田舎になにが好きで来たんだろうな」と悟は笑いながら言った。


そのあと着替え終わると、悟と一緒に廊下へ出て階段を目指して歩く。体育館に行くには階段を下りて、一階の端の方まで行かなければならない。階段に近づくと、金髪の女の子が階段を上がっていくのが見えた。


「あれ見たことない顔だけど、今日きた転校生じゃないか?」と悟が言う。そして続けて悟は「あの子なんで上にあがって行ったんだ? 体育館は一階だし、この学校最上階の4階は使われなくなって立ち入り禁止だぞ」と言った。

確かに4階へ上がるための階段には立ち入り禁止のロープが張られており今は使われていない。

不思議に思いつつも階段まで着くと悟が「じゃんけんで負けた方が4階へ彼女が何しに行ったか覗いてこない?」と笑いながら言う。

僕はあんまり乗り気じゃなかったので、「えー 体育の時間まで時間もないし早く行こう」と返した。

「いいじゃん! 負けた方がちょっと覗いてくるだけだからさ! 上がどうなっているか見たことないし気になるだろ」と悟が言ってくる。

まぁ、確かに上がどうなっているのかは前々から気になってはいた。だけど、先生にバレたときが面倒くさいので行ったことはなかった。

僕は「いいよ。 じゃあ、負けた方が4階を覗いてきて戻ってきたらどうだったかを話そう。それならいいよ」と言った。

悟は「決まり! それじゃあ、ジャンケンするぞ! ジャンケン、、、、ポン!!」

悟はグーを出し、僕はチョキを出した。「お前の負けだな!」と悟はうれしそうに言う。

僕は嫌そうな顔をしたあと、立ち入り禁止のロープをまたぎ、階段を上って行った。


階段を登り終えると廊下に出た。周りを見渡すと他の階とまったく変わらない風景が目に飛び込んでくる。廊下の端から端へ4クラスぶんの教室があり、教室の前には手洗い場やトイレがある。

ひとつ違うところがあるとすれば、使われていないため床は汚れていて、明りはひとつもついていない。

しばらく周りと見ていると、一番左端にあるクラスの教室の扉が急に空いた。僕はビクッっと体が動く。

その扉からさっき階段を上って行った金髪の女の子が廊下に出てきた。


僕はボソっと「あっ さっきの人」とつぶやく。

廊下に出てきた女の子は訝しげな表情を浮かべ出てきた教室を見ていた。

僕は彼女がなにをしていたのか気になり、廊下を歩き彼女に近づこうとする。歩いていると彼女がいきなり振り向き僕に気がついた。その瞬間、僕は視界が真っ暗になった。

 


「ピッッピピピピッ」という音とともに起きる。カーテンからは眩しい日差しが入ってくる。いつもと変わらない朝だ。

寝ぼけまなこに布団から出て洗面所に向かうと、廊下に母さんがいた。

僕はかすれ声で「おはよう」と返す。しかし、母さんはあいさつを返さず僕をチラッと見るとリビングに向かっていった。

僕は「あれ? 聞こえなかったのかな?」と首をかしげ洗面所に向かう。

顔を洗って、学生服に着替えてリビングに向かうとテーブルに料理が置かれていて、両親が二人椅子に腰かけている。

僕は自分の席に座り「おはよう!」と二人に向かって言った。

だけど、二人からは返事が返ってこない。顔を見ると二人はただ前だけを見つめジッとしている。僕は怖くなり、「なに二人してふざけてんの? 返事してよ」と言った。

しかし、二人はまったく反応してくれない。僕はわけが分からず、席を立ち母さんの方に駆け寄る。


すると母さんがいきなり立ち上がり僕の方にもたれかかってきた。


ビックリしたの同時に、お腹に妙な違和感が走る。目線をお腹に落とすとナイフが刺さっていた。母さんの顔を見ると不気味に笑っていた。


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