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果ての世界で  作者: yuki
第二部 商国編
14/56

お風呂、昨日あったこと

改稿しましたにピンときたら3話辺りからの再読をお勧めいたします。

展開や内容の一部をかなり改稿しました。

 イシュタールは火山と鉱山の町ということもあって温泉がわいている。

 泊まっていた宿にも源泉から引いたお湯で見事な露天風呂が作られていた。

 出来るだけ他人と会わないように、されどお母様に見つからないように絶妙な時間を探して入浴していなければさぞ楽しめただろうに。

 しかし押しに負けてしまった昨日はそういう訳には行かず、あのまま宿に連行されてお湯に浸からされた。

 お風呂は嫌いじゃない。嫌いじゃないけどこっちにも事情があるわけで…・・・。

 

 イシュタールのお風呂にはシャワーっぽい物が備え付けられていた。

 上部に竹が張り巡らされていて開いた細かな穴からお湯が落ちてくる。

 仕組み上、止められない構造だと知って勿体無いと感じてしまうのは日本人の性なのか。

 このシャワーはそれぞれが個室っぽく仕切られているから、それとなく一人で済ませて気付かれない内に出ようと思っていた。

 "一緒に入ったじゃないですか。ちょっと先に出ましたけどちゃんと待ってました"作戦開始。

 私は確かにセシリアでお母様の娘である訳ですが、どうしても譲れない境地はあるんですと自分に言い訳をして。

 

 結果? 見事に見破られていたようで繋がれた手を離そうとしてくれなかった。

 挙句の果てに頭を洗うにしても身体を洗うにしても自分でさせてもらえず、まるで等身大のビスク・ドール状態。

 自分で身体を洗う時と他人に身体を洗ってもらう時の感覚の違いは一体どこからくるんだろうか。

 そもそも触れられるという感覚は体性感覚のなかの皮膚感覚と深部感覚の2つによって成り立っている。

 殆どが脳の中の視床という部分で処理されて自律神経にも影響があるとかないとか。深部感覚では小脳も使うらしい。

 この繊細で撫でるような力加減も、きめ細かく泡立てられた泡が塗りたくられる感触も全てはそう、脳が生み出した電気信号なんだから特に意識する必要性もなく、あたかも数学の計算のように淡々と、ただ淡々と処理すればいいのであって……。

 出来るわけあるかっ! と心の中で叫ぶ。現実逃避は見事に失敗して十秒と持たず意識が体の上を走り回るタオルの感覚に移る。

 

 まだお湯に浸かってすらいないのに既に顔は赤い。鏡なんて見なくても分かる。

 そしてひたすらくすぐったい。緊張から固まってしまった身体を洗われながら楽にすればいいのよと言われた気もするけれど無理。

 今までお母様と二人でお風呂に入ったことがないわけじゃないけど、その時はちゃんと自分で身体を洗っていたからこちらが気恥ずかしさを感じていただけで問題はなかった。

 それなのにどうして今日に限ってこうなる!

 しかも時間帯が丁度日没だからか他の利用客も多い。

 人形のように手取り足取り洗われてる私を見て微笑ましい物でも見るかのように笑顔を見せていた。何この羞恥プレイ。

 自分がここに居ることもこうして洗われている事も間違ってはいない。

 お母様にこうして洗ってもらっている事も恥ずかしくはあっても嫌ではない。

 そこに優としての記憶が混ざって意識と感情の中で色々と矛盾が爆発している。

 漫画に同級生のなんともない話を聞いていた女の子が耳年増で得た知識を元に盛大に勘違いして赤面するお話があった。

 言うならばあれに近いのかもしれない。

 

「ひゃんっ」

 脇腹をタオルが通って声が漏れた。うしろからくつくつと堪える様なお母様の声が聞こえる。

 わざとかっ。恣意的かっ。かといって反抗することも出来ず結局人形の器に収まっている。

 一体どのくらいの時間が経過したのか分からない。長かった。ただただ長かった。

 ようやく身体についた泡を流す頃には一緒に魂の7割くらいも流れたと思う。

 しかし十分のぼせましたので上がります、という意見は勿論通らない。

 湯船に運ばれて背後からホールド。

 いっそのぼせて意識を放してしまった方が随分楽だと思うが、屋外に付けられた温泉には心地よい冷えた風が流れ込んでくるせいでそれもできない。

 あんまりくっつかないでくださいと言えば反対をしてくる。その割にはじゃあくっついてもいいですというと酷くなった。

 もうどうにでもなーれ。

 

 お父様が亡くなってからと言う物、私自身、周りに目を向ける余裕がなくなっていたのは事実だ。

 お母様だってきっと寂しかった筈なのに傍にいれたかと言われると自信はない。

 

 それもあってか、最近の大立ち回りでどうにも女の子としての自覚とやらが足りていないと言われてしまった。

 こっそりと魔法を勉強していたこと然り、書斎の本を読んで知識を仕入れていたこと然り、……あんまりじゃれてくれない事然り。 特に最後の一つに力を入れられて何度も何度もまるで洗脳するように。

 関係あるのかはちょっとよく分からないけどもしかしたらそういう物なのかもしれないし出来るだけ頼ったりしようと思ったけれど、お母様は即日有限実行、今に至る。

 病名、くっつき病。一緒に歩く時は腕を組んだり座る時は膝に乗せたり寝ているといつの間にか抱き枕にされていたり。

 これって子どもが親に発症するんだと思っていたのにその逆もあるようだ。

 ロウェルを頼ろうにも微笑ましそうに偶には良いんじゃないでしょうかと笑う。八方塞だ。

 おまけに……。

 

「美味しいって評判のパン屋さんを訪ねて買ってみたのよ。はい、あーん」

 うわーん。

母親が余りにも出ていなかったので親子水入らず、ならず親子水入り話

どうしても主人公のセシリアによる猛進となると他キャラを絡ませにくい……

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