ロスト・フラグメント(2)
「宵闇だけついて来い」
少しだけ迷う素振りを見せた後、そう言って石室の奥へとリークが歩きだした。
「俺だけ?」
「モノは分からんが、ここにも『それ』があるはずなんだ。
本来部外者は出入りできないよう結界が張ってある。
入り口は私達と共にいたから入れたようだが、奥の境界はそこの青毛は越えられん」
ラグが頷いて苦笑した。
「お前が寝てる間に確かめたんだがな、オレだけだとこの部屋すら出れねーみたいなんだ。
ここでダラダラしてるから行ってこい」
言うが早いか本当に荷物を枕にして横になる。
「お前ホント緊張感ねぇな・・・・
わかったよ。何かあったら呼べよ?」
宵闇は半眼で声をかけ、リークの後を追いかけた。
しばらく暗い通路を2人は進む。
リークはあれ以上の説明をする気はないらしく、宵闇も判らないことだらけで何から聞くべきかを決めあぐねていた。
結果、全く会話がない。
(重苦しすぎる・・)
げんなりしてきた矢先、突然通路を塞ぐ石壁ににつきあたった。
「行き止まりじゃねーか。」
上下左右どこにも別に通れそうな場所はない。
疑うような視線を向ける宵闇と対照的に全く平然とした様子のリークが歩を進める。
「見た目は壁だがこれが境界だ。行くぞ。」
言いながら、リークはためらいなく壁に向かって歩いていった。
微かに光の波紋を浮かばせながら足の先が埋まり、顔が埋まり、体が埋まり、見る間に白銀の髪しか見えなくなる。
「何つう厳重さだよ。
俺が行ったら壁にぶち当たるとかはねーよな・・」
呟きつつ、宵闇も後に続いた。幸い、同じように抵抗なくすり抜ける。
不思議な壁のその先にあったのは、暗い通路続きではなくさっきまでいた石室でもなく、
一面の砂漠。
気温は本物のような高温ではないが、見る限り砂と空しかない。
(どーいう仕掛けになってんだこれ。場所飛び越えでもしたのか?)
周りを見回す月の眼がすこし前で蹲る白い姿で留まる。
何故か1回り小さくなった背中からミシミシという不気味極まりない音が微かに鳴っていた。




