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013 幻将(3)

 ガッ!

 ガガガガガッ!!


 激しい音が再戦開始の合図になった。


 白い姿を地面に縫い付けるはずだった宵闇(よいやみ)の線が、全て何かに弾かれる。


(なんだ? 一本も届いてねぇ!)


 弾かれた辺りには僅かに白い半透明のかけらが散っていた。

 嫌な予感に従って横に飛ぶと、後れ髪が数本何も無い所で千切れ舞う。


「おわっ!?」


 更に場所を移し続けると、ガラスが割れる様な音が付いて来た。


(これがフィレットの言ってたやつか)


 なら……


 逃げまわりながらリークに近づいていく。

 動く速さは少し相手が速いが目で追える程度。

 今追いかけて来ている鬱陶しい不可視の攻撃も、周囲に張り巡らせた線で何とか位置を把握できる。


(これは多分範囲効果の飛び道具みたいなもんだ。

だったら近すぎると使えねぇはず!)


 そのまま移動し、体の周囲に線を展開して防御を堅めつつ距離を詰めていく。

 見えた相手の表情は、驚愕。しかしそれは一瞬で険しい顔へと戻った。


「なめるなぁっ!」


 ギイッ!!

 軋む音と共に白と黒、二つの影が交差する。


 リークの方は数本白銀の髪が舞い、頬に短く赤い線が走った。

 だが、それだけ。


「本気で勝てると思っていたのか? 愚か者」

「…………っ」


 宵闇(よいやみ)は応える事ができなかった。

 骨近くまで抉れた肩と腿から流れる血が、ボタボタと音を立てて足元に血だまりを作る。


「……くそ……!」


 断言するが甘く見た訳じゃない。

 一撃を狙って近づくと同時に、何かされても大丈夫なようにしていた。


 宵闇(よいやみ)の線は攻守両用。

 元々自らの魔力と体力から形作っている、言わば常時固形化した魔術のようなものであり、一本だけでも並の刃物なら弾けるぐらいの丈夫さを持っている。


 何重にも重ねて身を守れば、剣撃にも魔術にも相当の防御力を持つはずが、気付いた時には大怪我を負わされていたのだ。


「っう……!」


 下がろうとするが思った以上に足に力が入らない。宵闇(よいやみ)の視界が徐々に暗くなっていく。


「流石あの男が使おうとしただけはある。

だがそれ故に厄介だ。恨んでくれて構わない」


 息を荒くして必死に睨む宵闇(よいやみ)に、リークがゆっくりと、血の付いていない刃を向けた。


 宵闇の意識は、そこで暗転した。



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― 新着の感想 ―
おぉ、敵も強くて意外とピンチですね。 宵闇の秘密の能力で逆転する流れかな? どう切り返すのか楽しみです。 (*´ω`*) 気になった点: 鍵括弧の中で改行を入れるのなら、地の文と会話の切り替わりで空…
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