表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

3話 初めての戦闘

心の中でアへナに文句を言ってみるがそれどころじゃないのは分かっている。

そもそも危なくなったら戻すと言われていたからな…あいつは嘘は言っていない。

冷静になってきたのでもう一度隣を見る。

一定の間合いを保つ虎がいる。

その時、


(さっき私に文句言わなかった?)


「うわっ!」


急に脳内にアへナの声が聞こえビビった。

それは失敗だった。

虎を刺激することになったのだ。


(うわっ!だって。あはは、ビビリすぎ。うわっ!って)


完全に失敗だったな。

すっっっごい馬鹿にしてくる。


「で?何か用か?」


次に会った時はどうしてやろうかと考えながら聞く。


(え?助けに来たんだけど?)


お前に何が出来るんだよと心の中で馬鹿にすると脳内に声が響いた。


(言っとくけど心の声も聞こえるからね。そんなこと言うなら助けないから)


「誰も助けてなんて言ってない」


(へーそう。そう言うこと言うんだ。ならもう知らない)


その時、虎が動き出す。

ヤバいと思い左側に動いたら右耳の辺りに痛みが走った。


「痛っ!」

余りの痛みに視界が歪んだ。

思わず痛みが走った辺りを手で押さえる。

押さえた瞬間、あれ?と思った。

右耳の辺りを押さえてるはずなのに耳を触ってる感触がないのだ。

恐怖で立つことができず座ったままちょっとずつ移動する。

虎はさっきの攻撃を最後に動かない。


(あのさ…さっき居た場所見てくれない…?)


アへナも虎が怖いのかちょっとだけ小さな声で喋っている。

さっき居た場所って何があるんだよと思いながらチラッとそこを見ると耳が落ちてた。

右耳が無いのだから耳を触った感触がないのは当然だ。


「な…」


(ギャー!耳が!耳がとれてるー!)


思わず声が出そうになった瞬間、俺以上にビビった声が頭に鳴り響いた。

近くにビビってる人がいたので一気に冷静になる。


(うるさい!耳はもう良いから生き残れそうな方法を考えろ!)


そう言うとアへナは少し泣きながら


(う、うん。待ってて、図書館で使えそうな情報を見てくるから)


そう聞こえた直後にアへナの気配が消える。

待っててと言われてもすぐ死にそうなんだけどな、と思ったがまずは立ち上がり虎をしっかり見る。

物凄く怖い。

虎と戦う経験なんて当たり前にないのである。

体が震えている。

そこでアへナが戻ってきて


(モノ!その虎は毒属性で攻撃を受けたら危ないよ!あと、耳は再生の魔法を覚えたら治せるから安心して!)


(受けたら危ないって既に耳に受けてるんだよ)


(そういえばそうだね…体が痙攣とかしてたら毒を受けた証拠っぽいよ)


自分の体を見てみる。

震えている。

これは恐怖じゃなくて毒だった訳だ。


(もう手遅れか?)


(大丈夫、しばらく動けなくなる程度の毒だから)


それを聞いてこいつを殴りたくなった。


(馬鹿かお前。動けなくなったら喰われるだろ)


そう言うとアへナは鼻で笑って


(モノこそ馬鹿なの?動けなくなる前に勝てばいいじゃん)


勝てるなら苦労しねーよ、と思ったがよく考えればここは異世界。

人間が虎に勝ててもあり得なくはないのか?


(で?どうやって勝つんだ?)


(私が攻撃を予測するからモノは能力で殴ればいいよ)


(能力でって超常·情報で?)


アへナはため息をつく。


(二つあるって言ったじゃん。もう忘れたの?)


腹立つなこいつのため息。

そう言われて思い出す。

確か名前は…


「超常·粛清」


(そうそう。効果は殺した相手の身体能力や魔力を確率は低いけど自分の力にできる。あと格下の相手に対して攻撃力UPだよ)


能力の説明を受けて気になったことを質問する。


(あの虎は格下か?)


(何言ってんの?身体能力と魔力どっちも格上だよ)


ほんとに大丈夫かこいつ。


(いや、超常·粛清は使い物にならないじゃねーか)


アへナは今気づいたようだった。


(確かに…でも私のサポートがあれば虎なんか勝てるから大丈夫)


全然信用できない、と思った瞬間に虎が動き出した。

俺は虎の動き出したのは分かったが目で追えなかった。


(左からの攻撃。伏せて)


考える余裕もなく言われた通りに動く。

頭の上を虎の手が通った。


(はい次、後ろに跳んで)


後ろに跳ぶ。


(全力で殴って)


虎の顔面を全力で殴った。

虎がバランスを崩す。

殴った右手が痛むがそんなことより、アへナが想像よりも優秀だったのが腹立つ。


(大人しく動いてね。当たったら死んじゃうかもしれないから)


「分かってるよ」


腹は立つがこいつが役に立っているのは確かなので大人しく頷く。


(なら良かった。多分相手も怒ってるから気をつけてね)


怒っているのは見たら分かる。

虎がまた動き出した。

アへナの指示通り避けて殴るを繰り返す。

だが、アへナの指示が完璧でも俺の体力は有限だ。

どんどん俺の動きが鈍ってきた。


(右に避けて!)


アへナの言葉通り動こうとして足がもつれた。

虎の爪が脇腹に軽く引っかかる。

軽くだったはずなのに凄い痛みだったが我慢して動く。

しばらく繰り返すと虎が気絶した。

俺も痛くて気絶しそう。


「人間って素手で虎に勝てるんだな」


自分が虎に勝てたことに驚いた。


(私のサポートがあったからだね)


実際に指示は未来視レベルだったので悔しいがアへナは優秀だった。

それにしても簡単に勝てたような気がするのだ。

虎と素手で戦ったのは初めてだから分からないだけで普通はこんな感じなのかも知れないけど。


(異世界に来たから肉体が強くなったんじゃない?)


「どういう理屈だよ」


(私にも分からないよ。異世界に来た人間の情報はないからね)


普通に会話をしていたが痙攣が酷くなってきたので急いで虎を殺すことにした。

そこで思った。


「え?素手で殺すの?」


今まで殴ってたくせに何言ってんだと思われるかも知れないが素手で生物を殺すというのはかなりグロテスクな感じになるんじゃないのか?


(いいから殺したら?素手が嫌なら石でも持ってくればいいじゃん)


そういう問題じゃないんだよ、とかどっちにしろグロテスクだろ、とか言い返したいがそろそろ動けなくなるのでアへナの方が正論だ。

周りに手頃な石がないので素手で殴った。






「吐きそう…」


凄くグロテスクだったが異世界人はこんなことやってんのか?


(流石に武器くらい持ってるでしょ)


俺も武器が欲しかった。

能力の効果が発動して虎を殺した時に力が増す感覚がしたが余裕で勝てるようになっても素手で戦うのは嫌だ。

俺は地面に倒れた。

10分くらいか?俺よく動けたな。そんなに強くない毒だったのか?


(確かに変だね。強い毒のはずなのに。王族って毒の訓練でもするの?)


王族と暗殺者を勘違いしてんのか?そう言いたかったがもう口が動かなかった。


(どうせ動けないなら図書館にきたら?)


心の中で返事をする前に精神が引っ張られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ