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10話 相棒が怖い

目が覚めた。


「痛…」


頭が痛い。

また気付いたら意識が消えてるんだけど…


「モノは馬鹿なの?覚えたばかりで一気に強くなるわけないじゃん」


イキってた分、恥ずかしい。

どうやらまた脳天に一撃だったらしい。

皆が呆れた目で見てくるが目で追えない速度の攻撃を避けろと言うのは無茶ではないだろうか。


「モノがどれくらいで気絶するか分かんないから困るよね」


「寸止めにすれば良いんじゃないか?」


提案したら変な目で見られた。

そんなに変なこと言ったかな?


「軽く当てるようにしたらいいじゃん!なんでここの人達は常識がないのかな!」


「無いのはモノのほうね」


「あーもう!マジでこいつらは!」


「私達は何も言ってないですよ」


「全員同じだよ!」


こいつらの常識に慣れる気がしない。

ほんとに初心者に優しくない人たちだよ。

木刀が飛んできた。


「休憩は終わりじゃ」


「嫌です」


「ずっと寝てたくせに何言ってるの?」


うるさいアへナ。俺のやる気はもう0だ。

皆が見てくるが知らない。

何度も連続で意識を失う人の気持ちが分かるか?


「モノ、頑張ったらアへナがご褒美くれるって!」


「え?あ、うん!モノ、頑張ったらご褒美あげる!」


「そんな物いらない」


アへナのご褒美なんて要らないよ。

ただ貰えるだけならまだいい。

なんで木刀で殴られた後にアへナのご褒美とかいう怖い物を貰わなきゃいけないんだよ。


「そんな物って言った?」


「うん、だから要らない」


「師匠、やってください」


アへナが怒るのは分かるけど何で炎華と影葉も怒ってんだよ。

そして何で師匠にやらすんだよ。


「だからやらないって」


「モノ、やらなかったら罰ゲームね」


「はいはいはいはいはいはい。やればいいんだろ!」


何だよ罰ゲームって。ほんとに嫌だ。

こうなったらさっさと強くなってアへナを下に見れるようになろう。

木刀を構えたらアへナがスタートの合図を出した。

師匠が消え一瞬で索敵範囲に入り攻撃が来る。

反射的に木刀で防ぐ。

バキィと変な音がした。

頭に衝撃が走る。


「痛っ…!今防げなかったか…?」


「防げてたぞ」


「でも頭に痛みが…」


木刀の方を見ると思いっ切り折れてた。

いや…今まで俺は木刀が折れる威力で殴られてたの?


「木刀に魔力を纏ってないから折れたんだよ」


「無茶言うな。自分に纏うので限界だ」


纏うの意外と疲れるんだよ。

常に力入れてる状態みたいな感覚だからな。

それを武器まで?無理だ。


「ていうか今防げた事を褒めてくれよ」


「あれほど加減されてたら防げるでしょ」


ここはほんとに初心者に優しくないな。

ていうか教え方が下手じゃないか?

何でいきなり打ち合ってんだよ。

心の中で文句を言ってると新しい木刀が飛んできた。

何で投げて渡すんだろう。危ないからやめて欲しい。


「もう一回じゃ」


「はい…」


もう諦めた。さっさと上達してせめて打ち合えるようになろう。

師匠が視界から消える。叩かれる。それを繰り返した。

交代は?と聞いたら俺が気絶してる間に散々やったからと言われた。

空気を読んで助けてほしかった。

しばらくやっていると3人がご飯を取りに行った。

俺はその間も叩かれている。


「ちょ…!何であいつらだけ飯食ってんの?!」


「集中じゃ」


「ぶへぇ!」


頬を木刀で叩かれた。

魔力を纏っても痛いし再生で魔力を使って体調が悪くなるし最悪だ。

でも痛みに慣れてきたのが恐ろしい。


「休憩じゃ」


「よし!」


俺も飯を食べる事にしよう。

魔力が少ないのと疲れてるので吐きそう。

でもおにぎり美味しい。


「この米って村で育ててるのか?」


「育ててるのと買いに行ってるのがありますね」


「へー」


買いに行ってたんだ。

この森から出たことないからいつか行ってみたいな。

水も飲んだし修行を再開しよう。

そう思ってたら婆さんがやってきた。


「妖玄師匠!」


あれがもう一人の師匠か。

婆さんの方は優しいといいな。


「炎華ちゃん、影葉ちゃん、来てたのかい。あら?そちらの二人は?」


「新しい弟子じゃ」


「こんにちはモノです」


「アへナです」


婆さんに挨拶して気付いた。

婆さんって川に洗濯に行ったはずなのに手ぶらなんだけど。

何を洗濯しに行ったんだろう。


「何で手ぶらなの?」


アへナが先に聞いた。

婆さんが魔法を発動させた。

え?殺される?


「異空間に入れておいたんですよ」


空間に穴ができた。

婆さんがその穴に手を入れる。

洗濯物を取り出した。


「凄い便利な魔法だな。ていうかアへナは知らなかったのか?」


「読んだ本の内容を全部完璧に覚えてる訳ないでしょ」


「なるほど」


魔法って凄いな。今まで纏うとか索敵とか地味な事しかしてないけど他にも凄い魔法があるんじゃないか?


「それ俺も使えますか?」


「努力すればできるかもねぇ」


よし、頑張ろう。

難しいっぽいが努力すれば出来るだろう。

爺さんが婆さんに任せてお茶飲みに行った。

これはチャンスだ、婆さんに様々な魔法を教えてもらおう。


「よろしくお願いします!」


「何でモノさんはテンションが上がってるんですか?」


「馬鹿なんでしょ」


外野がうるさい。

何だよ馬鹿って。魔法とか気になるに決まってるだろ。

叩かれ続けるよりマシなんだよ。


「モノ君はまず基本的な魔力操作からですねぇ」


そっか…そりゃそうだよな。何事も基本からだよな…。

アへナが肩に手を置いてきた。

慰めてくれるのか…さすが相棒、優しいな。

振り向くと笑顔でグッジョブされた。ぶん殴ってやろうか。


「3人は基本的なことは出来てるから模擬戦でもしててくれるかい?」


「「「はーい」」」


できないの俺だけかよ…異世界に来てからずっと辛いよ…。

仲間はずれの俺は妖玄師匠に付きっきりで教えてもらった。

時々なんでこんな事もできないの?って目で見られる気がするけど気のせいだろう。

まずは魔力を纏うのと索敵は常にやれと言われた。

うん、無理だよ。そう言ったら皆やってるって言われた。

嘘だろ、と思ったが皆が頷いてた。

そのまま纏うのは出力を上げて索敵は範囲と精度を上げるらしい。

そんなの魔力が無くなるじゃん!そう思っていたがそれは俺の解釈の問題だった。

俺は魔法を使ってる認識だった。

でも皆は魔力を操作してるだけの認識なので消耗はそもそもなかったらしい。


「すいません。消耗なくても疲れるんですけど」


「慣れたら大丈夫ですよ?」


駄目だこの婆さんボケてやがる。

何がもっと魔力を広げて索敵範囲をだよ、無理って言ってんだろ。

あの3人は和気あいあいと…してなかった。

いつの間にか爺さんまで参戦して何でもありの大乱闘を繰り広げてる。

と言うより3人対爺さんだな。


「集中」


「はい…」


何であっちの地面とか壊れないんだろう、と思ったらこの婆さん俺の面倒見ながら結界みたいなの張ってた。

集中したいけど近くで大乱闘やってたら気になるだろ。

それから時間が経った。


「今日は終いです」


「やっと終わった…」


ずっと魔力操作してたせいで疲れた。

下手したら消費してた方がマシだったかも知れない。

そう思い3人の方を見ると倒れていた。


「いったい何が…」


「まだまだ未熟じゃのう」


え?これ…生きてるの?全員ピクリとも動かないけど。

鬼ってこんな修行をやってたの?いや、アへナは鬼じゃないから初めてだろ。

俺の疲れた…は甘かったわけか。こいつらはもっと地獄に居たんだな。

師匠、木刀で頭コンコンするのはやめてあげてたほうが…


「この程度かすり傷じゃろ?」


なるほど…鬼の言うかすり傷はここから来てたのか。

確かにこいつら再生で治るならかすり傷とか言ってたな。

そういえば今日こいつらに劣ってるのが判明したな…


「おい、再生できるならかすり傷なんだろ?早く起きろよ」


俺も師匠の真似をすることにした。

木刀で頭ツンツンしてやる。特にアへナ。

アへナに木刀掴まれた。

木刀がへし折れた。

アへナが笑顔でこっちを見てくる。


「おんぶ」


「了解」


思わず返事した。

仕方ないな、相棒のマジトーンの命令は怖かったから。

今は良くても明日とか大変なことになりかねない。

アへナを背負って歩き始める。

炎華と影葉は師匠二人が背負ってる。

帰り道で俺はずっと考えていた。

この爺さん婆さんがここまで元気な理由を…

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