1話 独裁者の最期
俺の名前はモノ。
とある国のトップである。
毎日、国のために働き国の代表として過ごしてきた。
愛する妻を持ち一人息子がいる。
そんな俺は今日、人生最大のピンチを迎えていた。
簡単に説明すると息子に銃を向けられているのである。
心当たりが無いわけではない。
確かに世間一般では独裁者と言われているし、自分でもちょっと自分勝手だったかな〜と思っている。
最近不満の声が増えてきたとは言え一応は国のトップだった訳だから人望もそれなりにある筈だ。
ある筈なのに………
この部屋には敵しかいないのである。
護衛を殺して侵入してきたなら味方はいたことになる。
だが俺の護衛は全員が敵になっていた。
「もう父上の味方は居ないよ。みんな父上が不満なんだよ」
どうやら俺の味方は部屋の外にも居ないらしい。
逃げられないと思うと一周回って冷静になれている。
「それで?俺をどうする気だ?」
何となくどうするかは分かるけど聞いてみた。
「死んでもらうよ。そして僕が新しい王になる」
やっぱり殺すみたいだ。
息子は担ぎ上げられただけなのかも知れない。
でもその目は覚悟を決めた目だった。
「一つ聞きたい。こうなった理由はやっぱり俺が自分勝手だったせいか?」
今までのことを思い返しやっぱり自分勝手だったよなと思いながら質問する。
「自覚あったんだね。あったなら直して欲しかったけど」
息子は淡々と答える。
「何が決め手だった?」
聞いたところで助かる訳でもないが質問していく。
「それだけって訳じゃないけど例をあげるなら気に食わなかった人を処刑したやつだよね」
確かにあれは自分でもヤバいと思っている。
言い訳するとあの時は機嫌が悪かったのだ。
「少し前までは違和感を持つ人は居なかったんだけどな…」
今まで他国の様子は代々の王と一部の重臣だけが知っていた。
民衆が他国の様子を知った時は大変なことになった。
どこで広まったのか確信が持てなかったがその中の誰かが広めたのだろう。
現状維持を望んだ人ももちろんいた。
だが俺への不満の声はどんどん大きくなっていった。
俺が国を変えることもできた。
それをしなかった時点でこうなるのも必然だったのかもしれない。
俺は王ではなく父として息子に迷わず進んで欲しいと思い最後に言った。
「これから大変だろうけど頑張れよ」
そう言うと息子は俺が冷静なことに少し驚きつつ
「ああ。さようなら…父上」
そう言って引き金を引いた。
銃声が鳴り響き俺の視界は真っ暗になった。
真っ暗な状態で意識だけが残った。
俺は死んだんじゃないのか?
そう思い目を開けようとしてもなんの感覚もない。
その時何かに引っ張られる感覚がした。
また目を開けようとすると今度は開いた。
目が光に慣れてきて周囲の景色が分かる。
「どこだ…?この森…」
それは見たこともない景色だった。




