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新たな出会い

 ホーリーレイクズを出て、再び森に入る、

森に入ると寒い気候のこの地域にしては珍しく、蜘蛛型の魔物「アシッドスパイダー」が現れた。

 アシッドスパイダーはランクで言えばD相当の魔物でアリアや私なら一人で対応できる程度の魔物だ。

 とは言え、魔物、油断していれば負けかねない、アシッドスパイダーは1mくらいの大きさで、特徴としては毒の毛を撒き散らすこと。こうした厄介な特性を持っているのでDの中では比較的強い(というよりは面倒くさい)魔物なのだ。

 長いこと戦闘をしてこなかったので少々不安ではあったが取り敢えず魔術を放つ、

 (火球(ファイヤーボール)

 私の放った火球(ファイヤーボール)によってアシッドスパイダーは身を引いたそれでも足の一本は焼くことが出来た。

 アシッドスパイダーがギィギィと苦しそうな鳴き声を上げるが八個の眼は私はじっと見て、隙は無かった。

 そして身体に生えている毒の体毛を逆立てこちらに放とうとする。

 「風を司りし精霊よ、かの者に―力を見せつけよ、風刃(ウィンドカッター)!」

 裏を取って木の上からアリアが風刃(ウィンドカッター)を放つ。不意を突かれたアシッドスパイダーはなすすべなく、首と銅を切り離された。

 久々の戦闘まえに、感覚や体が鈍っていないか少し心配していたが杞憂だったようだ。

 「ふう…」

 私がそう息をつくと、アリアがぶつぶつと「ああ、気持ち悪い、何でこんなとこに虫がいるのよ…はあ、幸先悪いわ…」

 などといっている。

 「んっ?」

 さっきまでは魔物に集中していて気づかなかったが音がする。

 よく聞こうと目を閉じ、耳に集中するするとドクン、ドクンと心臓の音がした音の出所を辿ると10m程先の木の陰から聞こえていると分かった。

 「どうしたのセレーネ?」

 アリアがそう尋ねる。

 私が急に集中して耳に注意を傾けているのを即座に悟り、黙って待っていてくれたのだった。

 私は木の陰を指さし、こう言う。

 「そこに誰かいる。」

 いると分かれば聞き逃さない、私がそう言ったとき、そこにいる誰かの鼓動が跳ねた。

 アリアはえっ、と、短く言うと、木陰を凝視するが、アリアには見えない(私だって見えるわけではないが)

 そこにいる誰かからは私が口を開いてからずっと怯えと不安の感情が聴き取れる。

 私は努めて優しい口調で言う。

 「大丈夫、私達は貴方に何もしないよ、約束する。だから出てきてくれる?」

 そう言うとそこにいる誰かは少し落ち着いたように思う。

 少しあって、おずおずといった感じで、

 「……ホントウ?」

とカタコトの言葉でそう聞いてきた。

 声音からまだ子どもだろうと想像がついた。

 幼い感じの声だった。

 それを聞いてアリアは驚いていた。

 それもそうだ、何もないところから声が聞こえるのだ、驚かない方がおかしいというものだ。

 「うん、本当だよ。」

 私はそう答える。

 「…ワカッタ」

 すると何もなかった空間から、靄のようなものが現れ、それは次第に鮮明になっていく。

 現れたその姿を見て、私は目を見張った。

 そこにいたのは黒い皮膚で蝙蝠のような翼を持ち、額には小さな一本の角が生えている魔族の子どもだった。

 「え…あ…ま、魔族?」

 アリアが困惑したように呟く。

 それもそうだろう大陸中央の街ならまだ理解できなくはない、しかし、ここは人の領域に限りなく近い、そんなところに魔族がいるということは本来、あり得ないのだから。

 思考がまとまらないがひとまず彼に聞く。

 「…えっとあなたのお名前は?それとどこから来たの?」

 魔族が何でこんなところに?どうやって来たの?そうした本当に気になることは何一つ聞けなかった。

 結局私の口から出たのは名前と出身くらいだった。

 「え、えっと…ボクのなまえはヴェル?ん?あってるよね?」

 と小さな声で言った。

 やはり私が基本的に使っている言語、共語(基本的に人族、亜人族なら通じる言語)に自信がないようで、見た目も6歳前後の子供の姿だがそれ以上に幼い印象を与える。

 私は彼に話を促す。

 「ヴェル君、君はどこから来たの?」

 詰問口調にならないよう、言い方に気をつけながらそう尋ねる。

 「あっちの方から、きた…と思う…」

 そう言うと西の方を指さした。

 その方角は魔族の領域だから嘘ではないはずだ。

 「そっか、君のお父さんやお母さんは?はぐれちゃったのかな?」

 そう聞いたとき、私はしまったと思った。

 ヴェルはみるみるうちに目に涙を溜め、その後すぐ、堰を切ったように泣き出した。

 良くないことを聞いたと、思ったが反省はあと回しだ、今はこの子を泣き止ませたい。

 「ごめんね、いきなりずかずかと君の領域に入りすぎた。」

 私はそう言いながら、ヴェルを抱きしめるそして背中を優しくさする、すると、徐々にヴェルは落ち着いてきたようだ。

 そして彼は衝撃的なことを言った。

 「ボクのお母さんたちはヒトに殺されたんだ…」

 

 

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