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魔王の生き様~遠い未来で君と共に~  作者: 赤天アリス
三章 世界の命運を決める大戦
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久遠の災禍、大地に帰さん

満月の夜、災厄は終幕を迎える

「―――最後の戦いが遂に開幕だね!」


「まさか天魔形態になれるとはねぇ…。ってかパルが天魔形態ってえぐいね」


「あぁ、本当にエグイ。とは言えどこまで本気でやるつもりなんだろうな」


「――彼女の事だしどうせ気分で変えるでしょ」


「「アルマ!」」


誰かがやって来たかと思えば、やっとアルマが登場。ただしその姿は変装中。何故変装しているかは不明。


「何でその姿?」


「事情があるの」


「回復魔法を使った後か。…ふむ、お前が他者を回復するとは…珍しいな?」


「まぁね。ストレートの紅茶を一杯頂戴。それから…近くで視ない?彼女の最期が見れるよ」


「パルが負ける全体?それは無いでしょ」


「「行くかぁ」」


「な、何故そんな素直!?」


「近い方がいいでしょ」


「そうだ」


「…まぁ確かに」


――――その頃


「サクリス、手伝え!」


「はぁ?!」


「じゃあどっか行け!」


「…危なくなったら呼んで」


彼女が立ち去り、同時にフロルが特殊な氷のフィールドを作り出した。しかしパルパータは笑いながら大太刀を振るい、天地を完全に切り裂く!


「化け物じゃん…」


「無天…!」


「おっと、私の技を使ってくれるんだね!なら…星漣!」


剣先がぶつかり合い、衝撃波だけでフロルが立ってる地面が爆発して彼女がその場に転倒。


「グヌヌヌヌ…!!」


「力強くなったねぇ…!!」


刀がぶつかってる間、ずっと衝撃波の様なものが周囲に放たれ続けそれの影響下は分からないけど、地面から次々と魔力の柱みたいなのが立ち昇り始めた。


…埒が明かないので一旦後ろに下がり、思いっきり斬撃を二度飛ばす。


「フンッ!…ハァッ!」


「影牢!」


彼女はそれを喰らうも、逆に俺をそれなりに大きい牢獄に閉じ込めた。かと思えば天井と床に魔法陣が浮かび上がる!


「煉獄!」


二つの魔法陣から放たれる獄炎の球。それ自体は上手く躱せたが、それらがぶつかった瞬間に大爆発が巻き起こって檻の外へぶっ飛んだ。


急いで態勢を立て直しながら地面に降り立つも、既にそこは地獄。何せ周囲には何本も禍々しい魔力の柱が立ち昇り、更には獄炎の竜巻が幾つも地面を削りながらその辺を移動してる。


「フロル!」


「何!?」


「飛べ!」


「分かった!」


彼女が飛んだ瞬間、パルパータがそこに現れて大太刀を振るった。刹那、フロルの放った氷の竜巻が彼女に直撃!


「鬱陶しい!」


竜巻から黒い閃光が飛び出し、彼女が一気に真上へ飛んでフロルの剣を簡単に切断した!


「ちっ…」


死体を一斉に召喚して全部スケルトンに変え、それを圧縮してから近くに来たオメガの方に放つ!


「武器!お金は後で払う!」


「!?」


彼女がそれを受け取ったのを確認してから一気に地面を蹴ってフロルにタックル。それと同時にパルパータの大太刀が背中を深く切った。


「ちっ…。フロル、氷で左腕作ってくれ」


「任せて」


彼女は冷静に俺の左肩を凍らせてから腕を生成してくれる。しかも…俺の意思で動かせる物をちゃんと。


「出来たぞ」


何処からともなく飛んで来たヤバそうな剣。それを受け取ってからフロルに渡した。


「終わったら返せよ。壊れてなかったらな。…お前を慕う兵の意思はお前が継げ」


「分かった!」


既に俺を慕ってくれてた兵士の意思は俺が背負ってる。…死霊魔法には死んだ奴等の声を聴くことができる魔法ぐらいあるからな。


そしてこの刀にそいつらの意思を込める感じで振るってる。一人で勝つんじゃない…皆で勝つんだ。


「それ、君の本心?」


「……俺は死体だろうと何だろうと利用するクソ野郎だ。だからこそ思ってはいるぞ」


「ほへぇ、優しいね!そういう所も好き!」


「そりゃどうも!」


フロルと連携を取って幾度となく彼女と打ち合う。だが流石と言うべきか、こっちは二人でしかも本気なのに、彼女は未だ余裕でこっちを圧倒してる。


「…懐かしの連携技やるか!」


「オッケ!」


「おぉ?遂に本気かな?」


まずフロルが無数の氷の槍を生み出して彼女を牽制。その間に俺が100に及ぶ魔法陣を展開させ、そこから一斉に魔力の光線を放っていく!


「100もあると斬るのは大変だなぁ―――な~んて言うと思ったか!」


しかし彼女は魔力を爆発させると同時に両手両足を思いっきり広げ、全方向に漆黒の斬撃を放った!


それに驚きながらもフロルと目を合わせ、俺がそれらの間をすり抜けながら移動し、初めて彼女の腕をしっかり掴んだ!


「速くなったね…」


「そりゃどうも!」


思いっきりフロルの方へと投げ飛ばすと、彼女は途中で態勢を直して大太刀を握り直し、そのままフロルを切断!だがそれと同時に彼女の体が氷へ変わり、それが爆発!!


「ッ…」


すると本物のフロルがパルパータの右腕にだけ集中して攻撃を開始。さっきの氷の爆発の影響で彼女の右腕が少々損傷しているから狙ってるのだろう。


氷の破片が弾丸の如く飛んでくるから結構痛いと思う。とは言え直撃したもの以外はダメージにすらなって無いから恐ろしいもんだ。


「さて…やるか」


そう言ってから地面に居り、魔力を徐々に右腕、そして刀へと流していく。腕が壊れるかもしれない、そう分かっていても…とにかく込めていった。


「邪魔!」


「ッ…」


フロルが思いっきり斬られ、意識を失って地面へと落ちていく。それを一瞥し、巨大な骨の手を使ってフロルをキャッチ。そして息を吐いてからパルパータを見た。


「決めようか、シード」


「…うん」


彼女は宙で魔力を溜め始め、俺は地面で魔力を刀と腕にさらに溜めていく。やがて赤雷が常時発生して周囲を照らし始め、猛吹雪が止んで暴風雨に切り替わった。


「どの技にする?」


「俺は星漣」


「フフッ…じゃあ私は無天にしよう」


その刹那、赤雷が地面に落ちる!それと同時に俺は地面を、彼女は宙を思いっきり蹴り飛ばした!


「星漣!」


「無天!」


刀と大太刀が本気でぶつかり合った刹那、互いの魔力が激しく接触し過ぎたせいで付近で次々とヤバそうな爆発が起き始める。


それとほぼ同時に俺の刀に罅が入る音が聞こえ始めた。明らかにもう限界。だが無理もない、逆に今の今までありがとう。…短い期間だったけどな。


「終わりだよシード…!私の勝ちさ!」


「負けねぇよ!!!」


だが抵抗もむなしく力負けし、深々と体を切られて思いっきり地面に衝突。それでも俺は起き上がり、急降下して迫ってくる彼女を見つめた。


「…正真正銘、最期だよシード。…無天」


「ハハッ…」


笑うと同時に近くに刺さる剣。それを引き抜きいて左手で握り、力を振り絞って地面を蹴って宙へ。そしてただ思いっきり剣と刀を振るった!


その瞬間、フロルが俺に魔力を送ってくれたお陰で一気に力が増す。そして思いっきり彼女の大太刀とぶつかった瞬間、彼女の腕から鮮血が噴き出し、同時に大太刀が宙を舞った。


「…フロル君の攻撃のせいか…!」


殆どダメージを与えられてなかったとはいえ、腕にある程度の怪我を負わせることには成功していたらしい。そのせいで彼女は最後の最後に力負けをした。


「まだまだァ…!」


「最後は俺と言ったらの死霊魔法かな!!」


「くらえ!」


彼女が放つ魔力光線。それに対し、こちらは巨大なスケルトンキングを生み出して口から紫色の光線を放たせる!両者の光線は互いにぶつかり合い、そして相殺された。


スケルトンキングは相殺と同時に砕け散り、パルパータは笑いながら突っ込んでくる。だがその手に魔力がしっかり宿っていた。


「決める…!無天!!!」


「星漣…!」


彼女の手刀とぶつかった瞬間に壊れた剣を手放し、彼女の一撃を諸に食らう。だが血を吐きながらも直ぐ体勢を立て直し、思いっきり刀で彼女を深く斬る!


すると彼女は初めてまともに口から血を吐き、そして…最高に良い笑顔を見せてくれた。同時に俺も彼女もゆっくりと右頬からある紋章が薄れて行き、互いの体の再生が遂に始まる。


「…うん、見事。……死霊魔法を定期的に使ってくるの、悪くなかった」


彼女はそう言いながら俺の方に倒れてきた。それをしっかり抱え、一度地面に降りて彼女を地面に寝転がらせる。すると全てが止み、やがて雲が晴れ始めて美しい満月が姿を見せ始めた。


「ねぇパルパータ、どうして…能力を一つも使わなかったの?」


「……君がまだ…その段階に居ないから。能力を使えば君は確実に負ける。…だから私は敢えて使わなかった」


「後悔は?」


「全くない。…シード、次の目標は見つかったよね」


「あぁ。…お前を超える」


「フフッ、その目はやっぱり大好きだよ」


彼女はそう言いながら俺の刀に触れ、何かを施してくれる。その何かは分からないが、刀身は黒く染まっていった。


「治しておいた。…ねぇ」


「なぁに」


「負けた方が相手に家名を与える約束だったね。そしてそれを自分も名乗る」


「うん、考えてくれた?」


「最初から考えてた。…こうなる事は分かってたからね。私の敗北、それは決定事項だったんだよ」


彼女はそう言いながら申し訳なさそうに微笑み、体を起こして俺の頭を撫でてくれる。


「とは言え君がその形態を手に入れる事が出来なければ私は君を普通に殺してた。…その後はただ楽しみたかったんだよね」


「そっか。…でも次はそう言うの無しだからな!」


「フフッ…勿論!それでね、プルニーマってどうかな。意味は満月」


「シード==プルニーマ、パルパータ=プルニーマってことだね!」


「うん!…私達は決して万民の道を照らせる太陽じゃない。でも暗闇の中で道を照らす月にはなれる」


「…素敵」


「でしょ?…暫くは冥界でゆっくり暮らすとするよ。他に私に何か聞いておきたい事とかして欲しい事はある?」


「……キス」


「フフッ…じゃあ特別に私の初キスを上げる」


彼女はクスッと微笑みながら姿勢を整え、唇に唇を重ねてくれた。数秒後、彼女は少しだけ頬を赤らめながら立ち上がる。


「…さぁサクリス、私を死界に送ると良い」


「…どういうつもりだ。元から死界に行くつもりだったのか?」


「うん。ゆっくり友と過ごそうと思ってね。レッツスローライフってやつさ!…ジェネシス、行こ!」


「君は気楽だなぁ。…まっ、案外悪い場所では無いよ」


「…またね、二人共」


「今度紅茶でも持っていこう」


「………また俺も会いに行くね。…いいよね」


「フフッ、いつでも歓迎だよ。ね、ジェネシス。ってかパルって呼んでよぉ」


「勿論!君と仲良くなりたいし是非来て!」


「うん!」


「では送るぞ。…よく頑張ったなシード。本来なら会う事どころか近付くことも禁止だが、その功績に免じて色々免除してやる。好きにしてよいぞ」


「本当?!」


「うん、勿論。と言うかダメって言うとこの悪魔に殺される。…ではさらばだ」


「バイバイ!」


「元気でね!愛してるよシード」


「またね!…俺もだパル!」


三人が消え、緊張の糸が切れたのかその場に倒れ込んだ。すると視界の先には大きく美しい満月が。


「……シード=プルニーマ、か。…フフッ…素敵…だ…なぁ…」

これにてパルパータ戦終了!次話から新章!

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