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魔を討つは異世界の拳〜格闘バカの異世界ライフ、気合のコブシが魔障の世界を殴り抜く〜  作者: 白酒軍曹
王都編

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第27話 選手選考会 試合開始

 いよいよ選考会当日がやってきた。参加する者、見学する者、立場は違えど多くの者が教会前の特設会場に集まっていた。

 大会運営から指定された敷地面積を確保すると、魔法訓練場では観客席を確保出来ず、多少傾斜や足場が悪いところも有るが、大勢が集まれる教会前が選ばれた。

 集まった観客の中にはタカーマガハーラの3人を始め、滞在中の他国の冒険者や商人も混ざっており、魔獣達も主達と一緒に出場する仲間の活躍を見に来ていた。


「ちゅうもおおく!」

 騒がしい会場に駐屯隊長の声が通り、その言葉通りに観客は駐屯隊長とその隣にいる領主の次男デュオセオスに注目した。

「只今から、王前闘技大会の、選手選考大会を開催する!」

 デュオセオスの開催宣言が終わると、誰からともなく拍手が起こり、拍手喝采の中、選手達が入場を始めた。


 入場は登録順に行われ、魔獣使いは魔獣を伴って、騎士は魔獣に騎乗して入場し、とりは一番最後までメンバー集めに奔走していたエイルのチームだ。

 エイルは武器と呼べる物はグローブのみで、ミーアは弓矢と脛に短剣を装備し、角に木の被せ物をしたビオンと並び、アンナは同じく角に被せ物をした角山犬に乗り、突撃槍·投擲槍·長剣·弓矢と重武装で入場した。

「よしよし、落ち着きなさいブレオ。ミーアちゃん、ビオン君は良い子にしてる?」

「ちょっと興奮してきてるよ。よしよし、いい子いい子」

 これから戦いだからか、多くの観客に囲まれているからか、落ち着きのなくなってきた相棒の首回りを、ミーアとアンナは優しく撫でてやっている。


(いやぁ······今朝からベルが凄く不機嫌だったなあ。ああ、どうしたものか?)

 ここにもう一人落ち着きの無い男が居た。あれから今日に近付くにつれて、ベルの機嫌がどんどん悪くなり、今朝からは一言も口を聞いて貰えないでいた。

「よしよし、ベルちゃんね? ただの嫉妬よ。これが終われば直るから気にするだけ無駄よ」

 アンナはエイルの肩を撫で、リラックスするように声をかけた。

「そんなもんですか?」

「そんなもんよ。人妻が言うんだから間違い無いわ! ······そうだ! もっとイチャイチャして、逆にベルちゃんを煽っちゃう?」

「そんな火に油を注ぐ様な事出来ませんよ!」

 バカな事を言うアンナのお陰でガス抜きが出来たエイルは、「やっぱりいつまで経っても、俺のリーダーはアンナさんだな」と思った。



 すべてのパーティーが所定の位置に着いたところで、デュオセオスから挨拶があり、駐屯隊長の指示で対戦順の抽選が始まった。参加チームは全部で14チームになり、トーナメント表の7番と14番が試合無しになっている。その為どこのチームの代表もその番号が引けるようにと祈りながら、箱の中から木札を引き抜いていった。


「うおお!? なんてこった! 1番引いちまった!」

「フっザケンなオルフ! 最初なんて嫌だしぃ!」

 オルフは1番を引いて、シュナに悪態をつかれた。


「お? ヨッシ! 7番だぞロック! フォスさん!」

「マジっすか、やった! フォスさん、一回無しですよ!」

「え、そうなの? 私達何か得をしたのね!」

 パナテスは見事に7番を引き当てた。


「ニーノ! ジミー! 14番引けたわ!」

「おお! パナテスに続いて俺達運が良いな!」

「オリビー、ありがとう!」

 パナテスのパーティーの残りの二人は、ソロ活動をしているオリビーに声を掛けてチームに引き入れることが出来た。

 オリビーも選考会に出場したく、先ずは元奴隷仲間のアドルとビビアに声を掛けたが、二人は乗り気では無かった為に断念。次点でイリシュと一緒のチームが良かったがそれも叶わず。消去法になってしまったが、ニーノとジミーと合流してチームを組んだ。


「おーい! ベル、イリシュ! 俺達8番だぞー!」

「はぁ、エイルさんが隣に来たらどうしよう······」

「ふふふ、強がってるからだ。たくさん甘えてから出て来れば良かったな。おーい! アレクス! 良い引きだぞー!」

 アレクスから無難な番号を引いた報告を受けて、対戦相手が何処になるのか不安で動揺するベル。それを少し誂ってから、イリシュはアレクスの仕事を讃えた。


 そしていよいよ空きが2箇所になり、オルフ達の隣の2番か、アレクス達の隣の9番に絞られた。

「シュナかベルのどっちかだよー」

「第一試合は嫌ね······」

「どっちもどっち······ろくでもないな」

 エイル達の運命を決めるのは、今箱の中に手を突っ込んでいるカマッセだ。カマッセは箱の中を手探り、2枚の木札を掴み取り、手の中で吟味して一枚を箱の中に落とし、取り出した木札の番号を読み上げた。

「9番だ!」

 その瞬間、観客から大きな歓声が上がった。それは一体何に対する歓声なのか分からないが、一応エイルが最後の札を引き、無事トーナメント表は完成した。


「アレクス頑張れよ。決勝で会おう!」

「はい! 決勝で会いましょう! 第一試合応援します! 頑張ってください!」

「ベル! 私達も決勝で会おうねー」

「え、ええ! そうね! 決勝で会おうね!」

 試合開始の前に一旦解散となり、エイル達とアレクス達は、別れ際に言葉を交わした。

 エイルとベルは、チラチラとぎこち無く横目でお互いを見合っている。その様子をイリシュとアンナは面白がって笑っていた。



「アンナさん、どう攻めますか?」

 エイル達は試合前の僅かな休憩時間に、オルフ達への対策を考えていた。

「頭上を取ってくるファル君と、脚の速いティムが厄介ね。多分オルフ君はシュナちゃんの護衛に着くと思うわ」

「でしょうね。先ずはファルですか?」

「そうね。ミーアちゃんとビオン君はティム、エイルと私でファル君を倒すわよ!」

「了解だよ! ビオン、ティムの咥えてる短剣の先には立っちゃ駄目だよ!」

「ワウ!」

「頼もしいなビオン! ───ヨシ! それじゃあ、行こうか!」


 歓声を上げる観客に囲まれて、直径80メートル程度の円形闘技場(リング)の中心線上の端と端で向かい合うのはエイルのチームとオルフのチーム。

 駐屯兵が木槌を手に持ち、手元の鐘に狙いをつけ力強く打ち付けると、試合開始の合図には少し小綺麗な音が響き、オルフ達が一斉に飛び出した。

「「死ねぇエイルゥ!!!」」

「いや、死ねって······アイツ等ルール理解してるのか?」

「ミーアちゃん! なんか全部一緒に来たけどやることは一緒よ!」

「はい! ビオン、ティムをお願いするよ。それで隙を見てシュナ倒して、行けビオン!」

「アオン!」

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 ・

「いやー、凄い闘いだった! 鳥人種って魔物相手じゃ力不足感があるけど、人相手だと凄え脅威なんだな!」

「ああ、ファルの奴、受付嬢のアンナさんの脚を完全に止めちまったからな! 真上に張り付かれちゃ、矢も撃てねえ!」

「ミーアちゃんだっけ? あの子も凄い活躍だったな! 頭上から射られた矢を弾くオルフもオルフだけど、それがエイルが懐に飛び込む隙を作ったんだ!」

「そこで勝負が決まったわね! エイルがオルフの手斧を両方とも掴んで二人で力比べ! 二体の魔獣もお互いに譲らずで、後は二人の魔獣使いがどう動くか!」

 ベテラン冒険者達が、今さっき繰り広げられていた闘いの感想を語り合っている。これと同じ様な光景が会場の随所に見られ、その中にはアレクス達のチームもあった。


「シュナとティムが同時にエイルさんに魔法を放って、エイルさんはそれをこうして·······こうやってオルフさんを振り回して、片方の魔法をオルフさんの背中に当てた!」

 エイルは掴んでいるオルフの左手を奥に押し上げ、左手は手前に引き下げ、互い違いのベクトルはエイルを中心にオルフにモーメントをかけ、オルフを道連れに即死判定を貰った。

 二人は退場になったが、魔法の照準を付けたティムの一瞬の隙をビオンは見逃さず、ほぼ同じタイミングでティムの襟巻きを噛み千切っていた。


「ここでエイルが囮になって、オルフとティムを倒せたのが勝敗の分れ目だ。アンナとファルも、ファルがアンナの首を、アンナがファルの左翼を攻撃して、ファルを飛べなくして勝負は決まった。あれでは鳥人種は、魔法使いで無ければ戦えない」

「そこからはもう、ビオンが一方的過ぎて······。私ではビオンを目で追えないと思う」

 アレクス達は、エイル達の闘いを振り返り、そして対策を考えていく。


 アレクス達の様に後の闘いを見据え作戦を練る者も居れば、闘いを終え反省会を開く者の姿もあった。

「うっ! ううっ!······オルフゥ、私、汚されちゃった」

「ビオンに押し倒されて服がな。まあ、お疲れ様だ。良く頑張ったなシュナ。ファルも良くあそこまでアンナさんを押さえてくれたな!」

「少し焦って無様な結果を晒してしまった。先にエイルからだったかな?」

「それだとアンナさんが暴れまわるぞ?」

「うっわ、しんど! ってかビオンもいるし、魔獣2体はずるくね?」

「「······ん? ああ!! ズリーな!!」」


 負けた者が居れば、それに勝った者も居る。

「あー、首痛い! ビオン君大活躍だったわね!」

「ああ、良く俺の意図に気が付いてティムをやってくれた」

「ワウ!」

「シュナの事も抑え込んでくれてありがとうだよー。次も頑張ろうねビオン!」

「ブレオもお利口さんでした。次はもっと活躍しようね。で、エイル君、やっぱり双剣の相手は難しい?」


 アンナはブレオを撫でながら、エイルに双剣───手斧や剣の二刀流について聞いた。

「ですね。俺の所にファルが来なくて良かったです。オルフもミーアのお陰でシュナにくっついて居てくれたので·······もし二人がかりで来られたら俺は捌ききる術を持っていません。さっきもオルフの動きを止めるのが精一杯でした」

 エイルにとっては大振りで強力な一撃よりも手数が多い方が苦手だ。何せエイルは素手だ。例えまぐれ当たりでも、刃が触れるだけで戦力の大幅ダウンに繋がる事になってしまう。

「あらぁ、私達のパーティー刃物持ちに滅法弱いわね?」

「そうだよ〜、私もビオンもエイルさんも、剣を受けられないんだよ〜」

「あれ? 俺達って不利······」

「何言ってるのエイル君! 格好良いとこ·み·せ·て!」


 そうこうしている内に第2試合が始まり、選考会は進行していくのであった。

オルフとファルが二刀流の理由

エイルとの型の研究の際の模擬戦で勝率が良かったから

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