第23話 悪の暗躍②
ここは絢爛豪華な調度品が並ぶ、どこかの邸宅の応接室だろうか───。暖色の淡い光源が、窓の無い部屋に5つの人影を照らし出している。
「どうでした? 我々の商品は」
部屋の奥側に座るのは、何処にでも居るような行商人の格好をした痩せと太っちょの二人組みの男。その痩せの方がそう切り出した。
「まあ、嘘偽りは無かったようだ。だが、戦力としては使い物になるのかな?」
部屋の手前側に座るのは、若い男と女。身成は格式が高く、上流階級に属することが見て取れる。その男の方が商品に対して疑問を呈した。
「手下が言うには、犬3匹と猫2匹、それと鳥だったか? そいつ等に成す術なく食われちまったみたいだぜ」
そう報告したのは、入口付近の壁に背を預け、綺麗な身成の割には如何にもな人相をした男だった。
「はっはっはっ! 魔獣6体に丸裸のオーガ1体では勝負になりませんよ!」
行商人の太っちょの方は、そんな事は当然とばかりに笑い飛ばす。
「全く無駄遣いでしたわ。“町の中で”と言った筈ですのに! 全く! たかが下民一人も連れてこれない! 役に立たない奴ばかりですわ!」
女の表情と声からは、商品の使用者と、それとは別件に対しての隠しきれない苛立ちが垂れ流される。
「俺達はバカだが、ちゃんと仕事を選べるバカだぜ。
今回のは、警備が厳重であんなデカイ石コロを持って町に入れなかったんだとよ。ああ、ブツはちゃんと持ち帰って来たし、腰抜け野郎にはしっかり教育しといたから、まあ、許してやってくれよ」
「まあ良いよ。機能は本当のようだから。それにもっと強い奴だってまだ有るんだろう?」
「それは勿論! まだまだ選り取り見取りで御座います!」
「そうかい、それじゃあ選ばせてもらおうかな?」
男は行商人が広げたカタログを覗き、商品の説明を受ける。その表情は新しい玩具を選ぶ子供の様ではあるが、隠し切れぬ内心が滲み出た下卑た大人の笑みであった。
「その腰抜け野郎、私に下さらない?」
「そいつは、女と交換ですぜ」
「仕入れましたら連絡致しますわ」
ここのやり取りは単純だった。只、己の趣向を満たすためだけの玩具の交換。それ以上でもそれ以下でも無い、この二人の為に誰かが不幸になるだけのやり取りだった。




