表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

kurokuro 短編小説集

飛び込み症候群

作者: kurokuro

新年一発目の短編!!!

「飛び込み症候群って知ってる?」

高校の屋上にて彼女は聞いてくる。

「なにそれ、病気?」

フェンスの向こう側にいる彼女に私は、そう返す。

「ん~何て言うか、行きなり飛び込みたくなって、気づいたら飛び込んでるって感じの、先天的な物だね」

彼女はあっけらかんと説明してくれる。

「ふ~ん。で、今からその自殺でもするの?」

私はフェンスに背中を預ける。

「ハッハ~それは、飛び込みじゃなくて、()()()()だろ~」

ム。それもそうか。

「じゃあ、速くこっち側に来なよ。危ないよ」

「お前が行かせたんだろ~」

冗談交じりに、フッと笑いながら言ってくる。

「はいはい。もうすぐ終わるんだから、戻るよ」

五分前には戻って、教科書とかの準備がしたい。次の先生は、遅れたらめんどくさいから。

「ねぇ何処に戻るの?」

「教室」

私はフェンスから背中を離し、扉に向かう。

「ワタシ、虐められちゃうよ?」

また、言ってる。

「あ~信じてないな~本当だよ。ワタシ、虐められてるもん」

まだ言ってる。

「ワタシ、このままだと死んじゃうよ?」

面倒な子だ。

「別のクラスだけど、いざとなったら守ってあげるから、戻るよ?」

彼女を見ずに啖呵を切った。

「分かった、戻りますよ~この私が戻りますよ~」

そう言ったあと、ガシャンと音が鳴った。下からは悲鳴が鳴り、スマホを取り出す者や人を呼ぶ者が居た。その群衆の中には青ざめる者も居ただろう。


彼女は入学してから、一ヶ月たったある日、問題を起こした。あるカップルに飛び込んだのだ。学年の中でも人気のあるカップルに。彼女曰く、ウズウズしたからだそうだ。それから彼女は孤立した。私は出来る限り、そばに居た。私が居る限り手を出す事は無いからだ。が、それも最近では、無くなった。なので、先生に相談しカギを貰った。屋上のカギである。私たちはそれを使い、昼休みの間は屋上に逃げ込んだ。今思えば、カギを貰おうと言い出したのは彼女だった。彼女はその時から、企てていたのだろうか? 今の私には知る余地もない。まぁこれが彼女にとってのハッピーエンドなら、良しとしよう。どうしようと、私の力では彼女を幸せにすることはできなかったから。ただ、一つだけ言わせてもらう事がある。


「飛び込みじゃねぇじゃん」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ