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第88話 悲しい光景

冒険者を続けるなら避けては通らない。

 犬のように走り出したエクレアは、何かに気が付いたらしい。


 俺とショコラは突然の行動にドン引きしたが、その眼が血走っていたことを気がついていた。


「何があったん?」

「行ってみればわかる」


 遺跡の調査をしていたショコラは手に持っていた石ころを捨てると、先に走り出したエクレアを追いかけた。

 とは言えアイツのスピードに追いつけるわけもない。

 俺も気になって、ゆっくり追いかけることにした。


「それにしてもあの形相。絶対に何かあったんだな」


 まあ、何となく想像はつくがよくもまあ他人にまであんな心配ができると思った。

 アイツが走り出したということは、つまりそう言うことなのだろうが、それはすなわちどうすることもできないことだ。


 つまり俺たちができることはそこにはない。


「いや、アイツは気づいているんだろうな。それでも走り出せるなんて、どれだけお人好しなのか。それとも逆にわかり過ぎているのか」


 俺は心配はしなかった。

 とは言え、その行動力が面白いと思った。


 *


 結局、俺もエクレアを追いかけていた。

 とは言え、ショコラが付いて行ってから大体10分後で、その間も俺は調査をしていた。


 特に目立ったものはなかったが、そのおかげでたくさんの罠を見つけることができた。

 どうやら信者でもない人間が勝手に立ち入り悪さをしようとすると、何処からともなく何かしらの罠が発動して、息の根を止めるようになっていたらしい。


 一歩間違えれば自分たちの命も危ないのだが、それすら気にも留めていないはずだ。


「相手はガーゴイルみたいなモンスターを信仰していた連中だ。命なんて惜しくないんだろうな」


 と、古臭い文化を鼻で笑った。

 ゆっくり罠を解除しながら進んでいくと、しゃがみ込むエクレアの素はたとその後ろで寂しそうに立ち尽くすショコラがいた。


 どうやら俺の予感は当たっていたらしく、ゴブリンに攫われた少女の時とは俺の対応も違っていた。

 かなりドライで、特に抱くものもなかった。これが冒険者の宿命だ。


「やっぱりか」

「あっ、カイ」


 俺が近づくと、冷めた目をしたショコラが俺のことを見ていた。

 どうしたらいいのかわからないのか、それとも慣れ親しんだ光景に反発しようとしているのか、俺に空気を委ねようとしていた。


「状況は……まあ見なくても分かるな。冒険者が4人死亡。これだけが真実だ」


 目の前には横たわって動かない冒険者の死体があるだけ。

 俺にとっては、それ以上でもそれ以下でもない。

 冷めた俺の態度に誰かが嫌悪するでもなく、この状況で一番冷静なのはまさかのエクレアだった。とは言え、コイツはそれだけのことができる器がある。


「どうだエクレア」

「全員死んでる。しかも、死んでからそう時間も経ってないみたいだよ」


 エクレアは押し殺すように淡々と口にした。

 辛いのか辛くないのか、普段の明るさからは考えられないドライな空気に包まれる。


「死因が毒だな。この部分が緑色になっている。皮膚感染だ」

「多分この石像に触れたんだよ。明らかに怪しいのに……」


 死体の前には確かに一際怪しい石像があった。

 その前には文字が彫られていて、如何やらこの文面に気が付かずに勝手に障ったらしい。

 石像は蛙のような姿をしており、勝手に触れば口から毒液が出るようになっていそうだ。


「ご愁傷さまとだけは言っておこうか。とりあえず、俺たちの最低限の依頼は達成した」

「そうだね。でも、4人まとめてなんて。もしかしてランクが低いのかな?」


 新ダンジョンの探索は基本的に見つけた冒険者達に委ねられる。

 とは言え、あまりに危険だと判断すれば冒険者ギルドがそれなりに力のある冒険者を派遣する。

 そうすることで、冒険者の死亡率を減らそうとしている。が、そう上手く行かないのが冒険者業だ。


 冒険者は常に死と隣り合わせ。一歩間違えればどんなベテランであれ、命を落とす。

 だからこそ、冒険者は常に周りに注意を払い、一番初めに自分の命を守ることが重要だ。


 しかも今回の被害の拡大は、聞いていた話では男が2人だけだったはず。

 けれどここには女がさらに2人。如何やら誘われたんだろうな。


「まさかこんなオチになるとは思わなかったんだろうな」

「一発当てようとして失敗した。ミイラ取りがミイラになった」


 ショコラはそう言いながら、石像に近づいた。

 すると書いてある文字に疑問を持ち首を捻る。


「この文面、他の石像にも書いてあった」

「ってことは本物以外は全部ブラフ。外せば即死が待っている代物か」


 全く厄介な遺跡だ。特に死と密接に繋がっている。

 俺は頭を掻きながら帰りたいと思ったが、1人異を唱えそうなやつが立ち上がる。


「もういいのか」

「うん。私も吹っ切れた。だからみんなで死んだこの人達の無念を晴らしちゃおう!」

「「はい?」」


 あまりに突飛な話で俺とショコラは首を捻った。

 この状況でまだそんな能天気なことが言えるのかと、無茶苦茶なことを言い出したエクレアに絶句してしまう。


「大丈夫。私たちは強いからできるよ」

「皮肉だな」

「皮肉かな?」


 気が付いていないのかわざと言っているのか、俺はつくづくエクレアと言う人間の持つ感情のバランスに困惑した。

 とは言いつつも、いつものエクレアに戻っていた。

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