第83話 アルミラージを狩ったのだが
正直よくわからない話です。
俺は森にやって来た。
ここはこの間ゴブリンと戦った森とは違い森で、あまり立ち入ったことがない。
「やけに静かな森だな」
俺はポツリと本音が漏れた。
耳を澄ましてみても俺と同じ冒険者がいるような雰囲気はない。
それもそのはず、この森は入り組んでいて初心者には向かない。
少しレベルの高いダンジョンだった。
それを痛感させるのは、まずは地面に生えている草だ。
赤い口紅のような色合いを放つ花が咲いている。
この花は人やモンスターの闘争本能を駆り立てる良くない花だ。
「まさかこんな危険なリップフラワーまで咲いているなんてな。初心者が立ち入らない訳だ」
俺は来て早々に納得し、注意しながらアルミラージを探した。
《武器庫の空間》から鷹之眼鏡を取り出して覗き込んでみた。
すると白いモフモフした生き物が飛び跳ねていた。
「いたな。とっとと狩るか」
俺は鷹之眼鏡を仕舞い、勢いよく駆け出した。
高低差のある地面を使い、腐って倒れた丸太や蔦に足を引っ掻けると、超高速で移動した。
「見つけたぞ」
俺は素早くアルミラージの真上を取った。
エクレアの陰に隠れてはいたが、俺のソロ歴を舐めるな。
「《千羽短剣》。食らえ!」
腰のベルトに差していた短剣をアルミラージ目掛けて飛ばした。
しかし俺が作ったとんでもないピーキーな性能の短剣だ。普通ではない。
スパッ! スパッスパッ!
地面や丸太に突き刺さった。
アルミラージは軽やかな身のこなしと小さな体を利用して、俺の短剣を回避する。
ナイフ投げを回避するとはなかなかやるなと思ったが、甘い。甘すぎる。
「射程距離2メートル、到達。俺の外れた短剣は“必ず当たる”」
地面に突き刺さっていたはずの短剣が姿を消した。
質量を持った物体が忽然と姿を消すなんて、普通は考えられないはずだ。
「ピギュ!」
アルミラージは逃げていた。しかしその脚が止まった。
急に喉の奥を貫かれたように、叫び声を上げると、パタリと倒れてしまった。
もちろん魔石にはならない。あの短剣は魔石を破壊することはできないからだ。
それこそ、確実に致命傷を与えるために作った特別な短剣だ。
「悪いな。コイツは俺が狙った相手に致命傷を与える短剣なんだ」
俺はアルミラージの口の中に指を入れると、いつの間にか瞬間移動していた短剣を取り出した。
ベトベトになっていたのでハンカチを使って拭き取ると、ベルトに納める。
赤い線が入っていたのでしばらく使えないが、よくやってくれた。
「さて、アルミラージは包んで持ち帰るとして、これからどうするか」
思った以上に呆気なかった。
とは言え俺からしたら腕は上がっている方だと思うが、流石にこの短剣の力を使うのはズル過ぎた気がする。
「そう言えば、パフィさんが言っていたのはこの辺りだったな」
今思えば噂になっていた森は確かここだったはずだ。
とは言え俺は頼まれていないので、特に興味を抱くことはなく、適当に狩りを続けて帰ることにした。
「ん? あれはオクロック・オウルか。珍しいモンスターもいるんだな」
薄暗い森だ。夜行性のモンスターも普通に過ごしている。
俺が見つけたモンスターは何故かガラクタの時計を脚で挟んで持ち運ぶ謎のモンスター、オクロック・オウル。
人に危害を加えることはないし、冒険者が特に標的にすることもないので、俺は無視することにした。
するとオクロック・オウルが「ホーホー」と鳴いた。
「ん?」
珍しいこともあると思い俺は立ち止まった。
するとオクロック・オウルの視線が上を向いていた。
首がぐるりと180度回るはずのフクロウ系モンスターが頭上を見るとは思わなかった。
「如何して上を見るんだ?」
俺は空を見上げた。
すると黒い体に黄色い線の入った鳥が飛んでいる。
「アレはイカヅチ鳥か? ん!?」
急にイカヅチ鳥が翼に怪我を負った。
揺ら揺らと空気抵抗に煽られて、飛び方が不安定になる。
「アレは落ちるな」
俺はそう思った。
しかしオクロック・オウルは「ホーホー!」とけたたましく叫び、人間の言葉を放した。
「あの鳥は、お前に最悪をもたらすだろう」
「はっ?」
何を言い出すんだこの鳥は。
俺は突然不謹慎なことを言われてしまい、ムカついた。
だがオクロック・オウルはそれだけ言い残すと、音もなく飛び立ってしまう。
フクロウらしく、音も気配も聞こえなかった。
「何だアイツは」
俺はムッとした表情を浮かべると、もう一度頭上を見上げた。
イカヅチ鳥はフラフラしている。
すると急にイカヅチ鳥が何かに貫かれたのを俺の目は捉えていた。
「ん? 銃か弓にでも撃たれたか?」
イカヅチ鳥がゆっくり俺のところに振って来る。
地面に落ちてみるも無残な姿になる前に、俺はイカヅチ鳥をキャッチすると嫌な予感がした。
撃ち抜かれた形が俺の知っている銃弾に似ていた。
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