第69話 外に出ると惨状
あの四角い箱の伏線を回収します。
洞穴の外にやって来た俺とエクレア。
傍にはゴブリン達から離れて俺達が連れ戻した少女がいる。
「うわぁ、明るい!」
エクレアは顔を覆った。
木の葉の間から降り注ぐ太陽光が顔に当たっていた。
こんな鬱蒼とした森で、一体どんな確立を引けばそんなことになるのか。
俺は呆れ顔になって少女に声を掛けた。
「これから帰るが気を抜くなよ」
「えっ?」
「この森はダンジョンの一部だ。今まではゴブリン達が猛威を振るっていたが、それから解放された意味がわかるかエクレア?」
「ここで私に振るの! えーっと、他にもモンスターはいるんだよ。ゴブリンよりも強くて大きくて恐ろしくて、だけど凄く面白いの!」
「おい、それじゃ意味ないだろ」
俺はエクレアの説明が戦闘狂にしか聞こえなかった。
とは言え俺はここで首を捻った。
だってモンスターの気配もなければ姿形もない。
ましてやあまりに静かすぎて、俺は腕を組んで考えてみた。
(この森に何かあったのか? 俺とエクレアが洞穴に入っていたのはせいぜい30分ほど。その間に他の冒険者が来たような形跡はない。あればわかるからだ。だがこの空気は様子がおかしい。明らかに静かすぎて逆に考えさせられるな)
だがこの続々感はたまらなかった。
正直ゴブリン相手は張り合いがなくてつまらない。
俺は今この瞬間が肌に突き刺さっていて、猛烈に喚起していた。自分でも言おう。気色が悪い。
「カイ君、その表情何? 気持ち悪いよ」
「お前にだけは言われたくない」
「私は気持ち悪くないよ! 可愛い方でしょ?」
「自分で言うような奴が可愛いとは俺は思わないぞ。それを武器として自覚しているのなら別だが……」
「私の武器は剣技と魔法と諦めない無限の行動力!」
ほら、やっぱりわかっていない。
エクレアは確かに自分の武器になるものを自覚していたが、肝心の可愛さがどこにも入っていなかった。むしろ迷惑なトラブルメーカーでしかない。
「はぁ。考えても仕方ないな。エクレア、この子を守りながら進め。俺が先陣を切る」
「了解! それじゃあ私と行こっか」
「は、はい」
エクレアの手をギュッと掴んでいた。
だけど左手で筆でも太陽の聖剣が抜けるように配慮していて、周囲一帯には《黄昏の陽射し》を展開して索敵をしていた。
「おいエクレア。あの光はなんだ」
「あれはね、生命力を探知するようになっているんだよ」
「お前はそんなこともできるのか」
「もちろん。当然できるよ」
当然と言い張る辺りが怖い。やはりコイツは普通じゃない。
「でも変だよね。モンスターの気配が何も感じないんだよね」
「やっぱりか。この辺り一帯にモンスターの気配を感じないとは思ったが……ん?」
「どうしたの、カイ君?」
エクレアは俺が立ち止まったのを見て一緒に立ち止まる。
すると俺は草むらの奥を覗き込んだ。何故か魔石が転がっている。
「魔石が落ちているな」
「魔石が? 誰かが落としたのかな?」
「その可能性もあるが、アレを見てまだそう言えるか?
エクレアは草むらの奥を覗き込んだ。
大量の魔石が転がっている。
乱雑に転がる大量の魔石を見て、エクレアはドン引きした。
「えっ!? ちょっと待ってよ。これって」
「何かわかったのか?」
「う、うん。ごめんね、みんなごめんね」
何故かエクレアは謝り出した。表情がいつものエクレアらしくもなく凄く暗い。
表情に影を落としているとは言えば聞こえはいいが、この状況を見る限りエクレアが何かしたのは明らか。そう思い周りを見回すと、四角い白い箱が落ちていた。いいやキューブだ。凄まじい熱量を持っていて、近づくだけで溶けそうになる。
「おい、これはエクレアが仕掛けたやつじゃないか!」
「そ、そうだよ。ごめんね、ほとんどワイヤーが外れちゃってるみたい」
「ちょっと待て! それはまさか、お前が仕掛けたキューブ状の罠か」
「そうだよ。まさかこんなに引っかかるとは思ってなかったんだ」
どうやらこれで全てが点と点で繋がった。
来る道中に俺とエクレアが楽をするためにと思い、せっせと仕掛けていた罠がゴブリンが討伐されたのを皮切りにして一斉に流れ込んできたモンスター達によって作動してしまったらしい。
「証拠はあるの?」
「証拠なら目の前に転がっているだろ。ここにある魔石はほとんどが違うだろ」
「違うって種類が違うの? 確かに少し魔力の反応が違う気がするけど……やっぱり、他のモンスターだよ」
いや、据えてお前が倒したんだけどな。
俺は今更わからないふりをしようとして逃げるエクレアの首根っこを捕まえた。
エクレアは「あはははは……あは?」と乾いた笑いを浮かべていたので、正直に言えば絶句してしまう。
「まあいい。しばらくこの狩場は諦めるぞ」
「ごめんね」
「謝るな。それに好都合だ」
「好都合?」
エクレアは気が付いていないのか。俺は少女をチラッと見た。
不安そうな顔をして、エクレアの服の袖を掴んでいる。
「余計な戦闘をしないで済むだろ」
「あっ、そっか。ごめんね、今すぐ帰ろうね」
エクレアは俺の少ない言葉から意図を汲み取ると、少女をあやした。
切り替えの早さもコイツの武器だ。
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