第42話 土産の品
私の気分がブルーな時に書いたものです。
俺は中華鍋を受け取り、魔法の鞄の中に入れた。
それから謎の骨の代金を聞こうとしたが、どうやらこの骨1本に鍋の代金と同額の価値があるらしい。マジで納得がいかない。
とは言え、骨を使った武器を使ったことがない俺だからこそ価値がわかっていないだけだ。
自分の不甲斐なさを痛感し、強く拳を握った。
「そう落ち込むな。お前はまだ若えんだ」
「落ち込むか……悪いが俺は落ち込んではいない。正直どうでもいい話だ」
「確かにな。武器を作る奴は自分の武器を信じてやんねえといけねえからな」
「そういうことだ。俺もそろそろ戻る。じゃあな」
俺は店を後にしようとした。
しかし——
「待ちな兄ちゃん」
「何だ。まだ用があるのか? 俺は頼まれていたものは貰ったぞ」
「そうじゃねえよ。コイツはお前にだ。受け取れ」
「うおっ!」
おっさんは俺に何かを投げつけてきた。
卓越した動体視力でもなければ受け止めきれなかったが、何とか左手で掴み取った。
硬い。受け取ったものはどうやら何かの鉱石らしい。とは言え骨のようなものが中に入っている。
「化石か何かか? それにしても妙な石だな。魔鉱石のようにもみえるが」
「それだけわかれば十分だ。その石の中に埋まっている化石はこの店にあるものよりも貴重な代物だぞ」
「貴重な代物? ダイナレックスの脊髄とでも言うのか?」
「さあな。そいつを使いこなせるかどうかはお前次第だ」
また俺を試しているのか。正直踊ってやるつもりはない。
だが受け取ってしまったものだ。今更返すのは癪だ。それに返させる気が感じられない。
「仕方ないな。貰っておいてやる」
俺はそれだけ言い残すと店の外に出た。
急に青空から太陽の陽射しが差し込んで、俺のことを照らし出す。
先程までの凄まじい殺気の圧を食らった後だと、体感の差がはっきりと出る。
「一体何だったんだ。この店は」
振り返ってみると、みすぼらしい外観の店だ。
けれど中は独特の雰囲気が立ち込めていた。
この店のおっさんとクルミナさんにどんな関係があるのかは知らないが、とにかく只者ではない。
俺は受け取ったものを早く持って帰りたいと思いつつ、残り2日はこの町を歩き回ってみることにした。
*
俺は適当な安宿に泊まり、プエルクを見て回っていた。
明日には帰る予定だ。そこで大抵のものは買っておいた方がいい。
少し手持ちが少ないので銀行に行って金を下ろしてこよう。
そう思い銀行に立ち寄った俺は、面倒なことに巻き込まれてしまっていた。
「すまない。金を下ろしたいんだが……」
俺は銀行員に頼んで金を下ろしてもらおうとした。
しかし突然、銀行内で叫び声が上がった。
「おい、強盗だ! 全員動くんじゃねえ」
うわぁ、馬鹿な奴らだ。
俺は突然の急襲にも動じず、怯えている銀行員に声を掛けた。
「すまない。俺はこの後も予定があるんだ。少しでもいいから金を……」
「おい、何べらべら喋ってんだよゴラァ!」
「そうだぜ。この状況がわからねえのか!」
「うるさいな。少し黙ってくれるか。俺は急いでいるんだ」
この後も用事が詰まっている。
こんなところで時間を食いつぶされて予定が崩れるのはごめんだ。クルミナさんのことだ。俺が戻らないとなればきっと心配して、退院したエクレアを向かわせてややこしいことになる。勇者パーティーの時よりも面倒くさい度は上がっていた。
「何だとお前。周りを見てもわかんねえのか!」
「そうだぜ。俺達は強盗だぞ。金を盗みに来たんだ」
「強盗がそんなことを言うか。するならさっさとやればいい」
「「な、何なんだお前……」」
正直このままだと埒が明かない。
一向に金が下せそうにないので、俺は少しばかり殺気を飛ばしてやった。
すると強盗と思しき2人組は、俺の殺気に当てられて黙ってしまう。
「何だ、この程度で終わりか?」
「あっ……ああっ、ああ……」
「はぁ……仕方ないな。俺が相手をしてやるよ」
「何しているんだお前たち」
聞いたことのある声が聞こえてきた。
振り返るとそこにいたのは、見た目を変えてはいたが俺が腕を捻ってやった獣人の男だ。
「あれ? もしかしてこの間の奴か」
「な、なんでお前がこんなところに!」
「「あ、兄貴!」」
「お前が兄貴だったのか。つまりお前を倒せばこいつらの指揮能力も失われるんだな。よし、今度は利き手も折っておいてやるから覚悟しておけ」
「んなわけにはいかねえよ! 今度こそお前から……ぐはぁっ!」
俺は獣人の男が喋ろうとする前に、腹に思いっきり肘を食らわせてやった。
男が汚い痰を吐き、服に付きそうになってので顎を叩いて蹴り飛ばしてやった。
瞬く間に獣人の男は戦線離脱を余儀なくされるが、俺は乗りかかって動けにように腕と足をへし折ってやる。
「い、痛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「悪いな。今度は治してやる金は出してやらない」
「あっ……ああ……」
「あ、兄貴がやられた」
「逃げるしかねえ。逃げるしか……」
「おい、逃げようって言うならそうはいかないぞ」
「「ヒィッ!」」
獣人の男の仲間2人は銀行から逃げ出そうとした。
しかし俺は殺気をとばして逃げ道を塞いでやると、獣人の男のポケットから炎の魔導石を手に取る。
「コイツがわかるな」
「そ、それは……」
「コイツは衝撃を与えれば爆発する炎の魔導石だ。お前の襟の中にでも仕込んでやるよ」
「や、やめてくれ。頼む、やめてくれ」
「もうしねえからよ。二度としねえって誓うからよ」
「それを決めるのは俺じゃない。ちゃんと騎士団に出頭するんだな」
俺は不気味な笑みを受かべていた。
幸い目撃者は少なく、銀行の職員ぐらいだった。
けれどその存在感は圧倒的で、俺がこの場を支配していたのは変わらない。くだらない輩は何処にでもいるな。
俺は溜息を吐き、銀行から金を下ろした。
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